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竜使いの聖域~少年剣士カミルの探求記~  作者: チャラン
第2章 『広き世界ヴァイテヴェルト』探求の旅(前編)

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第34話 贈り物

 道のぬかるみに足を取られないよう気をつけながら進み、アルバンの両親が経営する万屋まで来たカミルたち一行は、それなりの広さがある出入り口を通り、店内へと入って行く。


 アルバンの万屋は、一応なりとも農村シューンで一番大きな商店であり、店内スペースは十分広く、商品棚を多く設置することができている。そうした環境を用いて、この万屋は、村民の日常生活に不便が出ないよう、多種多様な食料雑貨類を毎日取り揃えているのだが、ちょうど今は昼前であり、店内はパンなどの食料品を求める客足で賑わっていた。


「結構繁盛している店なんだね。それで、カミルとエミリアの友だちの、アルバンって言う子はどこにいるんだい?」

「そうですね……。多分、店の中のどこかにいるはずなんですが……。あっ! あそこにいた!」


 なかなかの賑わいを見せている店内の様子に感心した(のち)、ソフィーは、アルバンの所在をそう尋ねたのだが、目を皿のようにして見回していたエミリアが、少しばかり懐かしい幼馴染の顔を発見したようだ。


「毎度ありがとうございます。またお越し下さい」


 万屋の息子であるアルバンは、店内の店員用カウンターの中に立ち、手慣れた様子で、接客を行っている最中であった。


 アルバンは、カミルとエミリアと同い年の16歳であるのだが、年若いながら商売人らしい愛想を振りまき、素早い暗算で出した釣り銭を返しつつ、手際よく客を捌いている。万屋の跡取り息子として商才の片鱗が伺える、とても感心な働きぶりだ。


 手際の良い接客をしばらく続け、客足の流れを一段落させたアルバンは、ホッと一息ついている。カミルとエミリアは、そのひと時を狙い、


「よっ! アルバン!」

「よく働いてるわね。アルバン」


 気の置けない幼馴染の彼に、親しみを込めてそう声をかけた。思わぬ2人の顔を目に映したアルバンは、一瞬だけ見間違いかと感じたようで、呆然としていたのだが、間違いではないのに気づくと満面の笑みを浮かべ、


「カミル! エミリア! 帰ってきたんだな! おかえり!」


 心からの安堵をもって2人の無事を喜び、幼馴染たちの肩を軽く叩いた。カミルとエミリアも、またこうして幼馴染の親友と無事に再会できたことが嬉しく、自然な笑顔がにじみ出ている。


「話したいこと聞きたいことが沢山あるんだ。旅はどのくらい進んでいるのかとか、どんな町に行ったのかとか、どんなモンスターと戦ったのかとか、カミルとエミリアが帰ってきたら色んな話をしようと思ってたんだけど……」


 カミルとエミリア、2人の幼馴染と再会できたアルバンは、少し興奮気味にまくし立てていたのだが、一旦言葉を切ると、


「この人は? すごく綺麗な人だけど?」


 傍で微笑ましく様子を見守っていたソフィーに目を向け、怪訝な顔でそう聞いてきた。


 カミルと同じく正直そうなアルバンに、綺麗と評されたソフィーは機嫌が良いようで、


「私はソフィーと言うよ。ラーヴァルトでカミルとエミリアの仲間になったんだ。ちょっとした通り名を持っててね。『魔剣のソフィー』って呼ばれてる。綺麗と言ってくれたけど、こう見えても強いんだよ?」


 と、少々いたずらっぽく自己紹介をしている。若年ながら商家の跡取り息子として、様々な人と会ってきたアルバンは、自己紹介の中で見せたソフィーの何気ない所作から、只者でない雰囲気を感じ取っており、


「言葉通り、確かに凄く強そうな人だ。カミルとエミリアをよろしくお願いします、『魔剣のソフィー』さん」


 彼は銀髪の彼女が持つ実力に敬意を払い、親友たちのため、そう頭を下げて頼み込んだ。友だち思いのアルバンからの丁寧な礼を受けたソフィーは、当然悪い気はせず、


(とても良い子だね。カミルとエミリアは、いい友達を持っているんだね)


 心の中でそう納得しながらうなずき、これからもカミルとエミリアの力になることを、しっかりと請け負っている。




 昼前から昼にかけての忙しい時間が過ぎ、店の様子が落ち着いてきた。アルバンはその時間を利用し、カミルたち3人と、ここまでの旅で何があったのかなど、幾ら話しても興味が尽きない話題を、ざっくばらんに語り合っていたのだが、


「あっ! そうだ! カミルとエミリアに会えてホッとしたから忘れるところだった。ちょっと待っててくれ。渡す物がある」


 彼は何かを思い出したようで、手を叩いてそう言うと、店の奥にある商品在庫置き場へ歩いて行く。少しだけ経ち、アルバンは、2つの木箱を乗せた台車を慎重に手で押しながら、店内の、カミルたちがいる店員カウンターの前まで戻って来た。


「開けてみるよ。ふふっ、きっと2人とも驚くぞ」


 カミルとエミリアは、何を渡されるのか要領を得ず、きょとんとした顔でこちらを向いているのだが、アルバンは、その視線を受けながら得意そうに笑うと、2つの木箱の蓋をゆっくり開けた。


 2つの木箱の中には、鋼鉄の大剣、青玉鋼のプロテクター、白銀糸の強化服、菩提樹の杖、白銀糸のローブといった、強力で価値が高い、5つの武器防具が入っていた。

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