表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜使いの聖域~少年剣士カミルの探求記~  作者: チャラン
第2章 『広き世界ヴァイテヴェルト』探求の旅(前編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/31

第23話 コアスライム

 疾風の如きソフィーの魔剣によって斬られた軟体モンスターは、真っ二つになった(コア)だけを残し、消滅した。モンスターに絡め取られていた腕が自由になり、窮地を脱したカミルは、鉄の両手剣を構え、次は不覚を取るまいと、辺りを注意深く見回している。


「今、私が斬ったのはコアスライムという魔物さ。動きは鈍いが、さっきみたいに音もなく近づいてきて、不意打ちを食らう場合がある。中心の核を斬れば倒せるが、幾らか剣の攻撃が通りにくい。思い切って攻撃しないと、核まで剣が届かない。それに……」


 ソフィーが解説を途中で切り、指し示した木陰から、3匹のコアスライムが、新手としてニュルニュルと現れてきた!


「こういう風に、群れで出現するパターンが多い。カミル、エミリア、油断するんじゃないよ」


 ソフィーは、的確なアドバイスを2人に送り終えると、炎の魔剣をゆったりと構え、隙のない万全の戦闘態勢を整えている。


 助言を頭に入れたエミリアは、先程、ソフィーが見せた戦いぶりを思い出し、緩慢な動きでこちらに近づいて来るコアスライムたちに狙いをつけると、


「フランメ!!」


 3方向に炎の魔法を撃ち放つ! 唸りを上げて飛んで行く炎の塊は、動きの鈍いコアスライムの軟体に全て命中し、3匹とも高熱による大ダメージを負った!


 炎に焼かれ、大きく縮んだコアスライムの軟体は、剣の攻撃が通りやすくなっている。カミルは、その好機を逃さず、


「ウオオオッッ!!」


 気勢を上げ、水平に構えた鉄の両手剣で素早い突きを繰り出した! カミルが放った刺突の2連撃により、核を次々と破壊された2匹のコアスライムは、形状を留めること(あた)わず、消滅していく!


 残り1匹となったコアスライムの方を、カミルとエミリアが見たとき、既に片はついていた。万全の体勢を作っていたソフィーが、あっさりとコアスライムの核を斬っていたのだ。


 愛用の鋼鉄の片手剣にまとわせていた、魔法の炎を収めたソフィーは、まるで戦いなどなかったかのように、笑いながら2人の方を見ている。


「最初、不意を突かれてたから、どうかな~と見てたけど、2人とも結構やるじゃないか。これならそれほどお守りはいらないね。ちょっと安心したよ」


 ソフィーは、笑顔を浮かべたままカミルとエミリアに近づき、そう話すと、2人の肩を軽くポンと叩いた。どうやら『魔剣のソフィー』は、カミルとエミリアの実力を、一定程度認めたらしい。


 彼女のさっぱりとした個性から出た、フランクな軽い肩叩きが、その証だ。




 モンスターの襲撃を何とか切り抜けた、カミル、エミリア、ソフィーの3人は、コアスライムたちが遺した(コア)の残骸を戦利品として回収した(のち)、ムンターの村に向かって再び歩き始めた。


 回収後、魔法のポーチに仕舞われた核の残骸の使用用途についてだが、この戦利品は、各種の症状や傷などに効く、万能薬の材料になる。それゆえ、町や村などの拠点において、なかなかの高値で買い取ってもらえるらしい。


 戦いが終わった直後、ソフィーが、カミルとエミリアに上述のことを教えており、


「忘れずにコアを拾っておくんだよ。後々役に立つからね」


 と、旅慣れた銀髪の彼女は、そのとき2人に回収の指示も出していた。


 戦利品をサクサクと拾った後の旅路は順調で、森林街道を上りきったカミルたち一行は、ムンターの村に無事たどり着けた。南の出入口からムンターに入ったカミルたちは、どことなく牧歌的で鄙びた村の風景を目に映し、心をホッと和ませている。


 ハンネスが言っていたが、良薬の里として知られるムンターの村は、少しばかり標高が高い丘陵の上にある。それゆえ、低地の森林地帯に造られたラーヴァルトの町より、冷涼な風が吹いており、程よく涼しい……というより、初夏の今は、少し肌寒いくらいだ。


「いいところだけど、今の時期ちょっと寒いな」

「そうね。シューンよりも涼しい風が吹いてる。もう一枚羽織ってもいいくらいだわ。少し涼しすぎるから、そろそろ薬屋さんを探しましょ。ハンネスさんに頼まれた薬を買う前に、私たちが風邪を引いちゃうわ」


 服の上に防具を身に着けているとはいえ、カミルとエミリア、それにソフィーは、ムンターの村の冷涼な気候に沿わない、薄着の格好をしている。もうしばらく、丘陵の村の原風景を楽しみたいところではあるが、エミリアがカミルに話している通り、風邪を引かない内に件の薬屋を探し、早めに目的を果たした方が賢明だろう。


 カミルたち一行は、肌寒さに少々身を縮めながら、近くの村人に薬屋の所在を聞いた(のち)、移動を始めるため、サッとその場を立ち去った。




 ラーヴァルト周辺地域の特産品である木材で造られた小屋が、カミルたち3人の目の前に建っている。これが件の薬屋なのだが、ムンターの冷涼気候に一行は少々耐えかねているため、何はなくとも小屋に入り、まず暖を取らせてもらおうと、今、カミルは考えていた。


「ごめんください」


 カミルが、挨拶と共に引き戸を開け、小ぢんまりした薬屋の中に入って行くと、エミリアとソフィーも肌寒さに肩をさすりながら、その後に続いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ