表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜使いの聖域~少年剣士カミルの探求記~  作者: チャラン
第2章 『広き世界ヴァイテヴェルト』探求の旅(前編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/29

第22話 颯爽

 ハンネスから聞いた情報を頼りに、ラーヴァルトの宿屋街まで移動した、カミル、エミリア、ソフィーの3人パーティは、少しの間ウロウロしながら辺りを見回していたが、どうやらちょうどよく、それなりにリーズナブルな宿を見つけたようだ。


 ワインの酔いが幾らか回っているソフィーをエミリアに任せ、カミルは今、宿屋の主人に、個室が3部屋空いていないかと聞いている。当然ながら、若い女2人と男1人が相部屋ではマズいわけで、カミルは、その辺りの事情も含めて宿屋の主人に話し、無理を承知で頼んでいるところだ。


 事情が分かった宿屋の主人は、カミルを見ながら、若干含みのあるニヤつき顔を浮かべていたようだが、


「あんたついてるよ。今夜は、まだ部屋に空きがある。人数分の個室を貸そう」


 と、親切にも、得な値段で3部屋を貸してくれた。


(よかった……。相部屋しかないと言われたら、どうしようかと思ってたからな)


 無事、個室を取れたカミルは、ホッと胸を撫で下ろすと、星空の下でぼんやり待っているエミリアとソフィーを、早速呼びに行く。




 3人が、それぞれの個室で一泊した翌朝。


「おはよう」

「おはよー」

「……おはよ」


 身支度を済ませ、宿屋のロビーで顔を合わせた、カミル、エミリア、ソフィーの3人パーティは、朝の挨拶を何気なく交わしていた。その挨拶の中で、エミリアの声だけがいつになく小さく、元気がないように聞こえる。彼女の顔を見ると、少々目にクマがある。どうやら今朝のエミリアは、睡眠不足のようだ。


 エミリアは、酔っていたソフィーが部屋を抜け出し、カミルに何をするか分からないと考えていたらしく、警戒している内に目が冴えてしまい、なかなか寝付けなかったのだ。


 ソフィーを旅の仲間に引き入れるとき、カミルは柄にもなく、ハートを射ち抜く結構な言葉で、彼女を口説き落としていた。酒場で口説かれたソフィーの方も、


「あんた気に入ったよ!」


 と、ハッキリとした好意をカミルに伝えていたため、昨夜のエミリアは、一連の流れを思い出し、銀髪の彼女の動向が気になって、よく眠れなかったというわけである。


 エミリアには、そうした経緯があるため、


「どうしたんだ、エミリア? 元気がないじゃないか?」

「カミルのせいで今朝はこんななのよ……」


 と、睡眠不足の原因を作ったカミルが気遣っても、けんもほろろな返答をしている。


 カミルは、ここまで機嫌が悪いエミリアを、今まであまり見たことがなく、


(??? 俺のせい?)


 いったい自分の何が悪かったのかと、自覚のない彼は、当惑するしかなかった。




 エミリアの不機嫌もあり、少しばかりチームワークがギクシャクしている3人パーティだったが、一応なりとも皆、宿屋で眠り、英気を養えた。今朝のカミル、エミリア、ソフィーは、それぞれ、武器防具類を装備している。ザッとパーティを見る限り、ハンネスの依頼をこなすための旅支度は、十分整っているようだ。老翁ハンネスは神経痛に悩んでいる。できるだけ早く特効薬を手に入れ、悩みを解消してあげたいところである。


 今日の目的はそのように決まっているのだが、寝不足のエミリアの頭は、まだボーっとしていて、若干心身が定まっていない。カミルは、そんなガールフレンドの状態が回復するまでしばらく時間を置いた(のち)


「じゃあ、そろそろいいかな? 行こうか」


 適当な頃合を見て、エミリアとソフィーに出発の声をかけた。


 カミルの呼びかけに応じた2人は、彼の後を歩き始め、旅のパーティは、ラーヴァルトの北出入口から、ムンターの村へと向かって行く。


 西の大陸の地図によると、ラーヴァルトからムンターまでの距離はそれほどでもなく、若く元気の良い3人の足ならば、昼までに時間を余して到着できる見込みだ。それゆえ、今回の移動では、ラーヴァルト北の街道の途中まで出ている馬車を使わず、パーティは現在、ムンターの村までの道のりを黙々と歩いている。


 一行の中で旅慣れているソフィーは、ムンターまで続くこの街道を歩いた経験があるらしく、道すがらカミルとエミリアに、


「安全な道とは言えないからね。用心に越したことはないよ」


 若干意味深長な真顔で、そう忠告していた。




 丘陵にあるムンターの村へ行くには、道中、森林の中につけられた街道をどうしても上っていく必要があり、カミルたち一行は、今そのポイントに差し掛かっている。


 ソフィーが先程忠告していた通り、用心に用心を重ねて進んで行くしかないポイントだが、幾ら慎重に事を運ぼうとしても、避けられないエンカウントというものは、絶対的な形で発生してしまう。


「!? なんだこれは!?」


 森林街道の危険な雰囲気を感じ、辺りを窺いながら歩いていたカミルの腕を、木陰からニュルリと現れた青色透明の()()が、突如として絡め取ってきた! 不意打ちを受けたカミルは焦り、腕を持っていかれまいともがくばかりで、対処が遅れている!


 その窮地に!


「シッ!」


 ソフィーが振るう、炎の魔剣が颯爽と割って入った!


 カミルの腕を絡め取っていた青色透明の軟体モンスターは、立ちどころに中の(コア)ごと斬られ、形態をとどめること(あた)わず、消滅しかけている!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ