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かまいたちの嫁~妖怪女子高生と退魔教師は今日も怪異を斬る~  作者: 鬼喜怪快
第五章 いつかあなたの心が太陽の輝く方へ

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50/80

50話 再会へ


 

 吹雪は落ち着いたものの、

 寒さが増す中、

 30分ほど経った頃だろうか。


 なまはげを乗せた朧車が帰ってきた。


 朧車には、なまはげの他に、

 着物をまとった骸骨姿の妖怪

 ――骨女《ほねおんな》と、


 人の形をしていながら

 全身が土で成り立っている妖怪

 ――泥田坊《どろたぼう》がいた。

 


「なるほど。

 この地には骨女と泥田坊がいたのか。

 これなら、なんとかなるやもしれんぞ」

 


 牛丸が白粉婆に向かって言った。



「おや、なまはげの旦那。

 旦那以外にこんな男前の殿方が

 3人もいるだなんて聞いてなかったよ。

 緊張してしまうじゃないか……」



 骨女は照れくさそうな仕草を見せながら、

 朧車から降りてきた。


 一方、泥田坊は一言も話さず黙っている。


 なまはげは、

 連れてきたこの2人について話し始めた。



「白粉の。

 この骨女の力をもってすれば、

 どんな骨でも見つけ出すことが可能だ」


「なまはげ殿、

 まずこの雪が積もる土の中から

 どうやって探して引き出すかが問題なんだよ。

 どうせ無理なのさ」 


「そこで、泥田坊の力が役に立つ。

 こいつは、どんな土や石でも粘度を

 調整できる能力を持っている。

 探し物が土の奥深くにあっても、

 土を最大限に軟らかくしてから

 骨女に引き上げさせれば問題ないはずだ」


 

「そんなこと……本当に可能なのかい?」



 白粉婆は興奮気味に問い返した。


 風吹も、

 うまくいくのか不安はあった。

 

 しかし骨女にとっては、

 簡単な作業のようだった。



「心配しなさんな。

 こちとら骨に関しては何でもござれさ。

 とりあえず白粉さん、

 探す相手の名前を教えてちょうだいな」


「……名は、

 草太と草助っていう2人なんだ……

 本当に可能なのかい?」


「まぁ、見てなよ」


 

 骨女は骨だけの手のひらを地面へ向けた。

 しばらく動かずにいたが、急に泥田坊へ指示を出した。



「泥ちゃん。

 この辺り一帯、深さ30メートルくらいまで

 最大限に粘度を下げてもらえるかしら?」


「……」


  

 泥田坊は黙って頷くと、

 両手を足元の雪に押し当て、

 妖力を放出し始めた。


 雪の下の地面が波打ち、

 やがて雪ごと泥の海へ沈んでいく。



「土と同化してしまった細かい骨は

 諦めておくれよ。

 欠損部分はあるけれど、

 2人の骨は見つけたからね」


「ほ、本当に?」


「引き上げるために、

 泥ちゃんに土の粘度を

 水くらいの柔らかさにしてもらったの……。

 それでもかなり脆い骨だろうから、

 ゆっくり引き上げなきゃいけない。

 もう少し待ってね……」



 それから間もなくして、

 次々と人骨が骨女の手によって

 引き出された。



 ――――――



 欠損部分はあるものの、

 大人と子どもらしい2人分の骨が

 取り出されていく。


 敷いたゴザの上に、

 骨が次々と置かれていった。


 白粉婆には、

 それが草太と草助の骨だと

 すぐに分かった。

 

 彼女は涙を流しながら、

 骨のそばに膝をつき、

 壊さぬよう両腕で包み込んだ。



 彼女たち家族は、

 数百年ぶりの再会を果たしたのだ。 



「ばあば、やったな!

 わたしも頑張った甲斐があったよ!」


「あぁ……本当に、

 みんな……感謝以外の言葉が

 見つからないよ」

 

「白粉婆よ。

 遺骨を持ち帰り、

 鞍馬山に墓を作ってはどうだ?

 それなら会いたい時に会えるであろう」


「そんなことしていいのか?」



 顔を上げた白粉婆に、

 牛丸は優しく頷いた。


 元人間の牛丸らしい

 気遣いだった。



「世話になっている旦那の頼みで

 ここまで来たんだけど、

 一件落着なら帰らせてもらえるかねぇ」



 骨女はなまはげに声を掛けた。

 

 なまはげは頷き、

 風吹たちの方へ顔を向けた。



「我々はこれにて失礼する。

 お前たちには、この度の件を心より感謝する」


 

 深々と頭を下げると、

 なまはげは骨女と泥田坊とともに

 朧車へ乗り込んだ。

 

 泥田坊は最後まで一言も発さなかったが、

 骨女は風吹たちに手を振った。



「狢退治、ありがとうね!

 骨探しはそのお礼だと思ってちょうだい」


「骨女、この恩は忘れない」


「ふふっ……。

 あなたの家族、

 わたしの呼び掛けにすごい勢いで

 反応してくれたから

 すぐに引き出せたのよ」


「……!」


「あなたと同じように、

 彼らもさぞ会いたかったのだろうねぇ」 



 骨女が話し終えると、

 朧車は動き出した。


 白粉婆は骨女へ静かに手を合わせ、

 深く頭を下げた。


 

 そして霧の中へ駆けていく朧車を、

 風吹たちは静かに見送ったのだった。





 

 

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