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第2話 城下追放の身

 町はずれに小さな粗末な家があった。そこには母子2人がひっそりと住んでいた。


「母上、ご気分はいかがですか?」


ムタヤは母のモリ―に声をかけた。彼女は病で床に臥せっていた。


「すまないね。ムタヤ。苦労をかけて。」


モリ―は体を起こそうとしたが、それを押しとどめてムタヤはモリ―を横にならせた。


「いえ、苦労などと・・・。さあ、寝ていてください。」

「学問所で秀才だったお前に畑仕事をさせるしかないと思うと・・・。父上が公金横領の罪を着せられて亡くならなかったなら・・・。」


モリ―はムタヤが不憫でならなかった。


「そのことで今は城下追放の身ですが、きっと父上の無罪が証明される日が来ます。それを信じましょう。それに畑仕事なんか苦になりません。気になさらないでください。」


ムタヤは笑顔で言った。それを聞いてモリ―は幾分か心が晴れたが、もう一つのことも気がかりだった。


「あの方との結婚が・・・。お前にはすまないと思っています。」

「それはもう言わないという約束です。もういいのです。それより母上は早く良くなってください。私は畑に行ってきます。」


ムタヤはまた笑顔を見せて腰を上げた。



 ムタヤは今日も畑に出て一生懸命働いた。そうすることで心にかかることをすべて忘れてしまえるような気がしていた。「ふうっ。」と鍬を置いて汗を拭いていると、後ろから、


「ムタヤ様。精が出ますね。」


と声をかけられた。聞き覚えの声にすぐに振り返ると、そこにミイナが立っていた。彼女は突然、ムタヤを訪ねてきたのだった。


「これはミイナ殿。こんなところに来てはなりませぬ。」


ムタヤはミイナの不意の訪問に驚きながらも、彼女を避けるように顔を背けた。しかしミイナはムタヤのそばに寄ってきた。


「父に止められていますが、そんなことはいいのです。お母様がご病気だというので。お加減はいかがなのでしょうか?」

「近いうちに医者に見せようと思いましたが・・・」


ムタヤはそう言ったが、父親のこともあり人前に出るのをはばかられていた。


「いま、療養所に先生は病気でおられないのです。でも方術師の先生がいるので診てもらいましょう。とっても腕のいい先生なのですよ。明日にでもお連れしますわ。」

「しかしそれでは・・・。もう私とあなたとは何もなくなりました。お咎めを受けた家の者のことなどお忘れください。あなたにも迷惑が掛かりましょうし、それにお父上が心配されます。」


ムタヤは諭すように言った。だがミイナは首を横に振った。


「世間様が何と言おうがかまいません。私は信じております。ムタヤ様のお父上の潔白を。いつかは晴れましょう。そうしたら元に戻るはずです。私はいつまでも待っております。」

ミイナはムタヤを見つめて言った。


「ミイナ殿・・・」


ムタヤはミイナの言葉がうれしかった。

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