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三つの魔法
その昔、神々は人間に暮らしを豊かにするために魔法の力の欠片を最も優れた三人の人間に与えた。一人は欠片から奇跡の力を見出だし、神の恩恵を賜ったと信じて「祈祷術」を得て、その力で民を統べ、帝国の聖王となった。一人は星空に重ねた欠片から魔法を見出だし、雷や結晶の力を魔法となす「魔術」を得て、その叡智で築いた王国の女王となった。
しかし、魔法の欠片を与えられた最後の一人は神の恩恵も、叡智も得なかった。代わりに彼は欠片から覗く火から憧憬を感じていた。そして彼は理解した。火とは神が人間に与えてくれた最初の恩恵であり、ありのままの力を振るう原初の魔法であると。気づきを得た彼は誰も振り向かない単純なその概念を追求し続けた末、自然の力であり火の業である「呪術」を成した。だが人々は、人も己をも焼き殺せる火を自在に操る彼の姿を見て悪魔のようだと糾弾した。聖王と心優しき魔術の女王でさえも、彼を神に仇なす者として異端の烙印を押した。
そして孤独な呪術師は、ひっそりと大沼へ姿を消したという。




