11/13
大賢者
かつて王国に、一人の魔術師がいた。その魔術師は建国と魔術の発展に最も貢献した事からその叡智を女王に認められて直々に大賢者の称号を賜った。ただ御国の為に魔術を探究してきた魔術師は、だがある時行き過ぎた探究の果てに禁忌の力を見出だした。結晶魔術と相反する、人の本質的なものを蝕む闇の魔術を。女王は彼の研究と彼自身の叡智を危険なものとして見なし、彼とその同胞を追放した。
「誰も傷付けないと仰ったあなたが、一番あなたを支えた私達を見放すというのか。」
暗闇の中で彼は絶望した。それと同時に自分達を見放した女王とこの世界への憎悪を覚えた。
__自分が世界を支配すればいい。
暗闇が彼の耳元に囁いた時、彼の心の中にも闇が生まれた。そして彼は自らの内にある闇と結託し、その闇と渇望に身を任せ、女王が閉じた闇の魔術の封印を解き、その力で女王を殺した。女王を殺した彼は復讐を果たした喜びを噛み締めつつも、その闇に心を蝕まれ続け、自らをこう名乗った。
「我はヴァン・パラケルス。王国を支配し、世界を闇に誘う魔術王なり。」




