思い出は、いつの日も美しく・・・
「やっと、これで我が最愛の娘メタボンヌを救う目途が建てられるな・・・」
街長のタメゴロが、応接室の壁に掛けられた
家族の肖像画らしき物に目を向けながら、そう呟いた。
街長の視線を追って、コインらが、その絵へと目をやると、
そこには、街長であるタメゴロが左側に、
そして、耳が長いエルフらしき美しい女性が右側に、
2人の間には、女性に良く似た
耳が少し尖った美しき少女が描かれていた。
「亡くなったっていう街長さんの奥方はエルフ族だったのかい?」
ポラリが、そう尋ねる。
「ああ、女房はエルフ族で間違い無いぞ」
「義姉さんは元々、兄貴や俺と一緒に、
他の国で冒険者をやってたんだよ、
お腹にメタボンヌが出来たんで、冒険者を引退して、
それまでに稼いだ金を元手に、この街を興したって訳さ」
ポラリの問いに、タメゴロと、
その弟でギル・マスのトンチキーが言葉を返す。
「へ~、これ程の街を興せるんだから、
冒険者パーティーとしては優秀だったんだね」
「ああ、まあ運の良さも多分には有ったんだが、
一応は、A級として活動をしていたな・・・」
「俺や兄貴は、体の頑丈さだけが取り柄だったんだが、
義姉さんの攻撃魔法は凄いもんだったよな」
「じゃあ、あの、お二人の間に描かれていらっしゃる、
可愛いお嬢さんが、メタボンヌさんですね」
コインが尋ねる
「うむ、あれが今回の薬草を必要としているメタボンヌだ、
あの絵が描かれた頃は、病気一つする事が無く、
元気に街中を飛び回って居ったのだがな・・・」
「そうだ兄貴、折角なんだから、
皆に、メタボンヌと会ってって貰えば良いんじゃ無いのか?」
「それもそうだな、メタボンヌからも、
皆に、挨拶とお願いの言葉を掛けさせるとするか」
「体調が悪いっていう娘さんに、無理をさせる事は無いよ」
2人の言葉を聞いたポラリが告げる
「例の薬の効果が、まだ残っている今現在は、
外出するのが辛いという程度で、屋敷の中で居る分には問題無いのだ」
「食事の時間には、ホロホロ鳥より速く飛んで来るよな」
「そういう事なら、まあ、お会いしとくかね・・・」
「うむ、当事者である娘からも、お願いするのが筋であるからな、
おい、ラザーニア、今聞いた通りだが、
娘を呼びに誰かを部屋に向かわせてくれ」
タメゴロは、メイドのニョッキと共に、
部屋の隅で、お茶の給仕に当たっていた
メイド長のラザーニアに、そう告げた。
「はい、畏まりました。ご主人様
ニョッキ、お嬢様に、応接室までお出で下さる様に、
お声掛けをして来てくれるかしら」
「メイド長、お嬢様は『食事の時間以外は声を掛けるな』と、
日頃から仰られていらっしゃるので、
お声掛けをしても、部屋から出ていらっしゃられないのでは、
ないでしょうか?」
「ニョッキ、もう少し頭をお使いなさい、
お声掛けをする時に『とても美味しいお菓子が御座いますが・・・』と、
お付けすれば、メタルラビットよりも早く飛んでいらっしゃるわよ」
「おお~、流石はメイド長、頭が良いですね」
「何かメイドさん達の、自分ん所の、お嬢様の扱いが、
随分な様な気がするね、ファー」
『キュキュ~』




