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神剣のプロトコル ~底辺まで落ちた元S級最強剣士の俺が、錬金術師少女に『武器の臨床評価』とかやらされ、結果的に世界を救うまで~  作者: 深井立花 数白
第3章:転移術師の犯罪学

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第16話:Process4[悪しき原因]Flow2

 ファシエが自身の心中を吐露した翌日、リガルが騎士団との捜査をしている時だ。

 スコットから借りていた闇魔道具の解析がやっと終了し、エニア達はその周囲に群がった。


「エニアちゃん、なにか分かりそうかい?」

「はい。この魔道具の魔力回路部分の内部解析ができました」

「ま、まりょくかいろぶぶんのないぶかいせき……????」


 エニアの説明はプリシラには早かったらしい。その肩をヒスイがぽんぽんと叩く。


「ぷりしら、どんまい……わからないなら、しょうがない……」


 そして昨日、自分の辛い話を聞いてもらってから張り切っているファシエが、エニアに聞く。


「それで何かが分かったのですか?」

「はい。この結果と闇魔道具商のデータを照合すれば、どの人物がこの闇魔道具を作ったか判別できます。しかも、騎士団はすべての闇魔道具商の居場所を特定していますからね」

「では、シュラーのほかにその魔道具を買った人物がいれば……」

「模倣犯の容疑者が絞り込めるね!」

「そういうことです!」


 とんとん拍子に会話をすすめるエニア、クード、ファシエ。

 その後ろでプリシラは、会話の内容が全くわからず呆然としていた。

 その肩をまたヒスイがぽんぽんと叩く。


「ぷりしら、どんまい……」


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 その日の夜、商業区画の裏路地を深く進んだ先。

 そこには闇魔道具商のひとりが店を開いているという情報がある。違法性が低いとされ、摘発する優先順位もまた低いとされていた人物だ。


 そこへ、サングラスをかけた少女たちと青年の姿がある。

 エニア達である。ファシエは体調を考慮し、店で待機している。


「……ね、ねえエニアちゃん」

「はい、なんでしょう?」

「本当にサングラス必要あったのかい?」


 一行の中で最もサングラスの似合わない少女、エニアはそれでも主張する。


「当然じゃないですか! 相手はこのシデロの闇商人のひとり、なめられたら終わりです!」

「でもさー、エニちゃん。暗いところでこのメガネかけてると何にも見えないんだけど」


 めずらしく、プリシラがもっともなことを言う。


「ええ~、でも、ヒスイさんは平気そうじゃないですか」

「わたし、夜目使えるから……」

「よ、夜目ですか? ナイトアイですか? か、かっこいい……ずるいです!」


 そうして一人以外あまり周りが見えていない集団は、闇魔道具商の店の前まで来た。

 エニアはためらわず扉を開き、ずんずんと勇ましく進んでいく。

 店主の男は、エニア達を見てニヤニヤと笑っている。


「なんだい嬢ちゃんたち。来る場所間違えてねえかい? ここにはミルクもおしゃぶりもないぜえ?」


 店主は明らかに小柄なエニアをバカにしている。


「な! 私はそんなんじゃないです! 私たちは、その……そうです! 秘密騎士団です!」

「え、そうだったの……もがもが……」


 エニアのアホな発言に反応したプリシラだったが、とっさにクードに口をふさがれた。

 しかし店主は、当然と言っては当然だが、大笑いして言った。


「だあっはっはっは!! そうかい、その『こども秘密騎士団』が俺になんの用だい?」


 しかしエニアが件の闇魔道具をとりだすと、一瞬にして店主の表情が険しくなった。


「この魔道具、作ったのはあなたですね? 巧妙にごまかしてますが、あなたが作った他の魔道具と、魔力回路の構造に同じ癖があります」

「へえ……あんた、同業かい?」

「一緒にしないでください。私は正義の錬金術師にして、秘密騎士団のリーダーです」

「へへ、そうかい。で? それがウチの製品だったらなんか問題あんのかい?」

「帳簿はありますか? 最近、この魔道具を複数買った人がいるはずです。すべて教えてください。さもないと……」


 エニアは目つきを鋭くして(というつもりで)店主を睨みつける。

 店主は、へっ、と鼻で笑い、一度奥へ引っ込み、帳簿を持ってくる。

 それを受け取り、最近の日付からさかのぼって読んでいくエニア達。しかし……


「シュラーの名前がないね……」

「はい、おかしいですね。じゃあシュラーさんはどうやって……いや、もう一度確認しましょう」


 そうして再び帳簿をめくっていくと、あるページでヒスイの目がある人物の名前を捕えた。


「みんな、見て! この名前……」


 ヒスイの指さす先、そこにあったのは――


「こ、この人って、確か……」


 マーサ・カリス。シュラーの姉だった。

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