第4話:Process1[導かれた少女]Flow4
「そんなわけで、メイちゃんです。よろしく」
「よろしく……」
俺がメイを連れて行った時の、エニア達の反応は、それはひどいものだった。
「リガルさん! 前々からそうなんじゃないかと思ってましたけど、いよいよ……ロ、ロリコンですー!」
「昔から子供には人気あったけど、やっぱり君はそういう趣味だったんだね……」
なんて疑惑をかけてくるエニアとクード。
「りがる、餌付けでもした……?」
バカなことを言うヒスイ。
「この子が昨日ドロボウした子? ダメだよ。もうドロボウしちゃ」
なぜか一番まともなことをいうプリシラ。そして、
「リガル……まさか、この子の前で私を『りょーじょく』して、私のはずかしい姿を見せるという『きょーいく』をする気ですか……! そんな、私、まだ心の準備が……でもリガルが望むなら……!」
「ファシエ! お前は最近ぶっ飛びすぎだ! 子供の前でなんて発言してんだ!?」
ファシエの暴走を聞き、メイは首をかしげている。
「『りょーじょく』? 『きょーいく』?」
「そ、そんな言葉は忘れなさい! エニア、メイの分の夕食も頼む!」
「え、は、はい! わかりました!」
そして俺たちは、メイと一緒ににぎやかな食卓を囲むことになった。
なんだか俺にだけは少し警戒心を解いてくれたらしく、メイは俺の隣にくっついて離れなかった。
そしてその日は、エニアの部屋にメイを泊めてもらい、俺は控室の寝泊まり用ベッドで寝ることにした。
すこしは不安や寂しさも紛れるといいんだけどな。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
そして夜、メイを寝付かせてから、俺は暇だったので店長の持っているマンガを拝借してベッドでごろ寝して読んでいた。
なかなかコメディパートのぶっ飛びっぷりと、シリアスパートのカッコよさが同居していて読みごたえがある。ちょっと夢中になって何巻も読んじまってた。
そんな時だ。俺の【SABER】専用通信魔道具に着信があった。応答すると、画面に映ったのはライヒアルトだった。
通信時にも兜つけてるよ。こいつ。
「夜分に申し訳ありません、リガル殿」
「いや、構わねえよ。マンガ読んでただけだし。どした?」
「それが、エレオス殿下の誘拐の話を聞いて、リガル殿がなにか知っているか気になってしまって……」
「ああ、なるほどな。でも悪い、俺もまだ何も知らないんだ」
「そうでしたか……まだ【SABER】への協力要請もないようですしね」
「まあ、冒険者に頼りっきりじゃ王家や騎士団は役立たずですって言ってるようなものだしな。今は恥も外聞も捨てて市民に情報提供を求めて回ってるよ」
「うーむ……わ、いえ、バールーフ殿や【不可覚】殿が協力すればたちどころに解決できそうなものですけどもね」
ん? いまバールーフの名前を呼ぶ前に「わ」って言ったのはなんだ? 嚙んだだけか? まあいいや。
「あいつらばっかに頼るわけにもいかねえだろ。俺が言うのもなんだけど、みんなでやるべきことを突出した個人に任せっきりだったら、人類何も進歩しないだろ」
「あはは。確かに【星河斬り事件】のシリウス殿が言うのは変ですね」
あっ、コイツ、俺の黒歴史ふたつもエグりやがって。
「【星河斬り】も『シリウス』も言わないでくれよ……この歳になるとちょっと、アレなんだよ」
「ふふ、アレですか。承知しました」
「楽しそうだなコノヤロー」
今、兜の下ではどんな顔で笑っているのやら。
「すみません。思いのほか話が盛り上がったので」
「まあ、お前とちゃんと話す機会はあまりないからな」
「そうですね。……っと、そういえば、昨日お話ししていただいた万引きの子、大丈夫なんでしょうかね……」
「ああ、その子なら今、俺たちと一緒に武器屋に泊まってる」
「おや、そうなんですか?」
さすがに意外だったみたいだ。声のトーンがちょっとあがった……って、兜で覆ってる割には感情豊かだな、コイツ。
「なんか偶然会ってさ。やっぱりなんかありそうなんだよ。ちょっとその子の家見てみたけど様子がヤバそうだし、父親は帰ってこないらしいし、親戚の家にも行きたくないっていうから仕方なく、ね」
「詳しい事情は聞けなさそうなのですか?」
「それが、全然しゃべらないんだよ。なにかあったのか、とか、なんで薬を万引きしたのか、とかさ。もしかすると、結構深刻な問題かもしれない」
俺がそういうと、なぜかライヒアルトはひっかかるところがあったのか、考えるような表情をした。
「深刻な問題……環境……それによって、その子の意志は……」
「ん? どうした?」
「ああ、いえ、すみません。小さい子供がなにやら追い詰められているようなのがいたたまれなくて」
「そうだな……俺もなんとかしてやりたいと思ってるよ。あの子、頼れる人もいないみたいだし」
「そこで子供たちのヒーロー、【神剣】シリウスの出番というわけですね」
「シリウスって呼ぶなっつってんだろが。シバいたろか」
「あはは」
そんな感じで、俺はライヒアルトと結構友好的に話をしてから、眠りについた。
少しでも面白いと思っていただけたなら、
下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてもらえると励みになります。
よろしくお願いします。




