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【第2章まで完結済】神剣のプロトコル ~底辺まで落ちた元S級最強剣士の俺が、錬金術師少女に『武器の臨床評価』とかやらされ、結果的に世界を救うまで~  作者: 深井立花 数白
第2章:クラウ・ソラスはかく語りき

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第21話:Dummy Process[なんでですか]Flow1

 黒龍が消滅すると、それに反応したように最奥の部屋から漏れ出る光は弱まった。

 トーヌフは安堵する。


「おお、やはりボスが倒れると同時に、【百害】の暴走も収まったようですね」


 それを聞いたリガルは、今ひとつ状況を理解していないようだった。


「あー、やっぱなんか起こってたのか? 部屋の前が魔法陣で塞がってたから、【仮面剣】使って斬っちゃったけど」


 そこに回復が終わったクードがやってきて事情を説明する。


「そうなんだよ。実は僕もしくじっちゃってさ、結構ピンチだったんだ」


 それでも、誰一人死者を出すことなく、皆ほっと一息つき、思い思いのことを口にしていた。


 エニアはいいところを持って行かれたとふてくされ、

 ヒスイは氷竜の攻撃に耐えて疲れ果て、

 プリシラとアホ毛様はとにかくはしゃぎ、

 タバサは自分のせいでピンチを招いてしまったと反省していた。


 そして、その集団にラヴィナが近づいて言った。


「み、皆様、とりあえず私の命を救ってくれたこと、感謝いたしますわ……」


 そのラヴィナにずいっとせまるリガル。

 そんなリガルにびくっとなるラヴィナ。


「おい、お嬢様。いろいろジーさんから聞いてるぞ。何でも、自分の才能の無さをなんとかしようとしてクラウ・ソラスを手に入れようとしたらしいな?」


 エニアにとっては、そんな話は初耳だった。


「え、そうだったんですか?」

「ああ、他人の都合ぶっちゃけちまうけど、シャトレ家のこいつの兄弟はみんな優秀らしくてな。コイツは肩身の狭い思いをしてきたらしい。クラウ・ソラスの力を増幅する魔道具を手に入れた経緯までは分からねえけど、それがあれば活躍して、みんなに認めてもらえるとか思ってたんじゃねえの?」


 それを聞いているラヴィナは顔を真っ赤にしていた。おそらくリガルの言葉は事実だったのだろう。

 その彼女にリガルはビシッと指を突きつけて言った。


「お嬢様。活躍したいってのは否定しないけどさ、モノに頼ってラクして手に入れた栄光なんて、何かのはずみですーぐなくなっちまうぞ。もーちょい、自分の身につけたモノで勝負した方がいいぜ?」

「う……わ、分かりましたわ……」

「……?」


 エニアは妙に聞き分けのよいラヴィナに違和感を覚えたが、これでクラウ・ソラスは守られ、その技術が悪用されることはなくなった。


 そして、一段落したところでトーヌフが提案してきた。


「皆さん、クラウ・ソラスを見ていかれますか? 特にエニアさん、これからクラウ・ソラスの技術を解析してもよいとお約束しておりましたね」

「は、はい!」

「そしてリガルさんが側にいれば、クラウ・ソラスを預けても守ってくれるでしょう。今すぐお貸しする、と言うわけにはいきませんが、どうでしょう?」

「もちろん見たいです! お願いします!」


 エニアだけではなく、プリシラやタバサ達も興味があるようだ。


「伝説の剣! すご~い! 見たい!」

「私も見てみたいですね……!」


 盛り上がる中、ラヴィナがおずおずと手を挙げた。


「あ、あの、私も見てもいいでしょうか……もう、クラウ・ソラスを手に入れたいとは申しませんから……」


 トーヌフはすこし考えたようだが、その申し出を受け入れた。


「そういうことでしたら構いませんよ。皆でクラウ・ソラスを確認して、それで終わりにしましょう」


   ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 一行は最奥の部屋へ入る。

 そこには石で作られた、棺のような形状の箱。石の板が蓋をしている。


 その上には赤黒い円筒状の魔道具が鎮座している。【百害】だ。

 トーヌフはそれを回収する。そして、


「私もこの箱を開けるのは初めてですが、ここにクラウ・ソラスは安置されています。では、開きます……」

「わあ……」

「どきどき……」

「どんな剣だろうね……」

「こ、これがプロジェクト・レグルスの第一歩……!」


 そして、石の蓋をずらして開いた箱の中には――


「……おや?」

「え?」

「あれ……?」


 何もない。


「お、おかしいですね。確かにこの箱に封じてあると伝えられているのですが……」

「そ、そこが2重になっているとかでしょうか?」


 エニアは必死にクラウ・ソラスを探そうとするが、


「いえ……本当にこの中には無いようです」


 エニアが期待したような仕掛けはなかったようだった。

 次にタバサが可能性を口にする。


「まさか、すでに盗まれているということは……」

「いえ、それはありません。私が開ける前に箱をあけた形跡はありませんでした」

「そうですか……」


 そして、箱の蓋を全て取り去ってしまっても、やはり剣の形をしたものは見当たらない。

 しかしその代わりに、一枚の石版をクードが見つけた。リガルもそれをのぞき込む。


「なんだそれ?」

「この石版……なにか書いてあるね」

「も、もしかして、それにクラウ・ソラスの真のありかが書かれているのでしょうか……?」


 エニアはそう期待するが、トーヌフは首をひねっている。


「ううむ、そのような伝承はありませんが……」

「まあ、とりあえず読んで見ますね」


 その石版にはこう文字が彫られていた。



 クラウ・ソラスを求めてこの遺跡に来たみんな、ごめんね!

 クラウ・ソラスっていう武器は、本当は存在しないんだ!

 でも、みんなにはクラウ・ソラスなんて必要ない! 

 ここまで共に戦ってきた仲間こそが、何にも勝る、最強の武器なんだゾ☆



「……だ、そうです……あ、あはは……」

「………………」


 沈黙が支配する部屋の中、エニアは膝から崩れ落ちた。

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