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【第2章まで完結済】神剣のプロトコル ~底辺まで落ちた元S級最強剣士の俺が、錬金術師少女に『武器の臨床評価』とかやらされ、結果的に世界を救うまで~  作者: 深井立花 数白
第2章:クラウ・ソラスはかく語りき

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第18話:Process5[クラウ・ソラス防衛戦です!]Flow1

 ラヴィナからクラウ・ソラスを守るために遺跡に向かうことは決まったが、ダーナの里の兵士達の準備はもう少しかかりそうだった。


 その間にトーヌフがエニアに話しかける。


「どうでしょう、エニアさん。クラウ・ソラスを守ることができたら、その技術を解析してみませんか?」


 それはエニアにとっては願ってもない申し出だった。


「え、いいんですか! ぜひとも解析してみたいです!」


 しかし、ジョルジオの言葉をふと思い出す。


「……あ、あれ? でも、トーヌフ様達はクラウ・ソラスを封じて外に出さないようにされたいと聞いていましたが……」

「それはラヴィナ達のように、クラウ・ソラスの技術を悪用されないためです。ジョルジオ殿から、エニアさんならクラウ・ソラスの技術を平和的な方向に活用してくれるだろうと聞いています」

「はい、確かに、身体が不自由な人の補助ができるようになると考えていますが……それはジョルジオ様も同じなのでは?」


 エニアの疑問に、トーヌフは静かに首肯した。


「そうですね。ジョルジオ殿も同じ事を考えていらっしゃると思います。しかしジョルジオ殿は、ご自身が貴族であり、工房も国の命令に逆らえないであろうことを危惧しておられました。ラヴィナがそうしようとしているように、兵器に利用される危険はあるのです」

「な、なるほど……」

「しかし、エニアさんの工房はそうではありません。加えて工房の代表も国の言うことを聞く人物でないと聞いております。なのでジョルジオ殿はご自身の工房ではなく、エニアさんの工房にクラウ・ソラスの技術を預けたいと考えておいでなのです」


 エニアはトーヌフの言葉を聞き、自身に期待が掛けられていることが嬉しくなった。そして自信に満ちた表情で答える。


「そういうことなら私に任せてください! 人の助けになるように、クラウ・ソラスの技術を使わせてもらいます!」


 エニアの返事を聞き、トーヌフは穏やかに微笑んだ。


「そうしてくださると、こちらも嬉しいですな」


 そして、なにか楽しそうな雰囲気を感じたのか、プリシラが話しかけてくる。


「エニちゃん、よかったねー!」

「はい! これはプロジェクト・レグルスの実現に向けた大きな一歩です!」

「ん? プロジェクト・レグルスってなーにー?」

「ふっふっふ。それはですね……私の意志を読み取って動く鎧を作ることにより、運動神経のない私でも剣士になれちゃう計画です! まあ、最終的にはリガルさんなんか目じゃないくらい強くなっちゃうでしょうね!」


 そんな妄想まみれのエニアのプロジェクト。しかしプリシラは素直な感想を述べた。


「すごーい! エニちゃん、かっこいい!」

「そうです! 私は凄くて、かっこいいのです!」


 なんて会話をしているうちに、トーヌフから遠慮がちに声がかかる。


「えーと、そろそろ兵の準備が整うので、遺跡に向かっていいですかな?」

「あ、は、はい。お願いします……」


 エニアははしゃいでしまった自分をちょっと反省した。


   ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 クラウ・ソラスが祀られる遺跡は、古代に作られたであろうことが一目で分かる、大きな石の門を持った地下遺跡だった。門の所々には苔がむしている。


 その入り口には、やはりラヴィナの私兵がいた。全部で6人確認できた。

 エニア達は、遠くの木陰からその様子をうかがう。


「ううむ、やはり固められていますな。我々に邪魔をさせないつもりなのでしょう。こんなところで兵を消耗したくないところですが……」


 考えるトーヌフにクードが提案する。


「でしたら、僕とプリシラちゃん、タバサちゃんで制圧してしまいましょうか。皆さんは周りを囲って、逃がしたり増援が来ないかを見張っていてください」

「それが良さそうですな」


 しかし、話し合うクードとトーヌフに、プリシラが緊張感のない声で告げた。


「でもさー、エニちゃんがヒーちゃん連れて行っちゃったけど」

「「ええ!?」」


 クードとトーヌフがぎょっとして見ると、確かにヒスイを引っ張ってエニアがラヴィナの兵士達に近づいている。


 自分の新武器ならこの程度の敵は脅威にならないと、先ほどの里での活躍ですっかり自信がついてしまったのだ。


「こらー! クラウ・ソラスを強奪しようなんて、何考えてるんですかー!」


 そして言うが早いか、電撃弾を乱射する。そして、


「ああ? 何だお前……って、あばばばばば!!」

「あばばばば!」

「あばばばばば!!」


 それは里で起きたことの全く再現だった。エニアの発する誘導電撃弾から逃れられる敵はおらず、6人の兵士は瞬く間に沈黙してしまった。


 それを呆然と見ていたクード、トーヌフ、タバサ。


「……もう、相手の兵はエニアちゃんに任せちゃっていいかも知れませんね」

「……そのようですな」


 その中で、やはりタバサだけが悔しそうな顔をしていたことには誰も気づかなかった。


   ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 そしてエニア達は遺跡に進行する。

 充分に武器を振り回して戦える広い石造りの通路に、等間隔に魔力灯が置かれている。そこをエニア達は進んでいた。


 トーヌフによると、この遺跡は人為的にダンジョン化されているということだった。


 それはつまり、辺りに魔物を発生させる魔道具【百害】が設置されていることを意味する。クラウ・ソラスを守るためのものなら、それと一緒に最深部にあるだろう。


 そして【百害】の機能のより、遺跡の各所に魔物を発生させる【魔水晶】が発生しているはずだった。

 ダンジョンを攻略するには、それを見つけて破壊しながら進むのが定石である。それくらいの知識はエニアにもあった。


「トーヌフ様、この遺跡は全部で何階層あるのですか?」

「全5階層です。ただ、最深部は非常に広い造りになっており、そこにはダンジョンボスが発生していると予想されます」


 ラヴィナ達も、魔水晶を破壊しながらそこを目指しているのだろう。第1階層には魔物も、魔水晶も、ラヴィナの兵の姿もなかった。


 しかし、第2階層を進んでいる途中、負傷して動けなくなっているラヴィナの兵を見つけた。それをめにしたトーヌフは呻く。


「むう、どうやら動けなくなった者達は置き去りにして先に進んでいるようですね……」

「そんな、ひどい……」


 そしてエニアはトーヌフに申し出る。


「トーヌフ様、私、ポーションならたくさん持っています。彼等に配りたいのですが……」

「そうですな、このまま見捨てるわけにもいきません。拘束はさせてもらいますが、最低限の手当はいたしましょうか」


 しかし、トーヌフはすこし考える仕草を見せる。


「その場合、我が方の兵士から人手を割かなくてはなりません。戦いはエニアさん達の方が優れていらっしゃるので、お願いなくてはなりませんが……」

「分かりました! 任せてください!」


 これまでの勝利ですっかり勢いづいているエニアは、一も二もなくそう言った。

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