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第3話:Process1[最強への第一歩です!]Flow3

 俺とジョルジオのジーさんがそんな話をしているうちに、店長がエニアを連れてきた。


「おーいジオ坊。エニアのヤツ連れてきたぞー」


 しかしそのエニアはガチガチに緊張していた。


「は、初めまして、ジョルジオ様。ヒューレ師匠ので、弟子をしております、エニアと申します」

「なんじゃ小娘、別に取って食うわけではないんじゃ。そんな緊張せずとも良いわ」

「す、すみません。【SABER(セイバー)】の方とお話するのは初めてなもので……」


 なるほどね。【SABER(セイバー)】っつったら世界中に名を轟かす英傑ぞろいだもんな。それは緊張するだろう……って。


「おいエニア。俺も【SABER(セイバー)】なんですけど」


 するとエニアは光のない目をした笑顔でこちらに振り向き、


「リガルさんはノーカウントになってるので」


 ひどい。


 俺はエニアの俺に対する評価を改めるように言ってやりたかったが、話はエニアの合金に戻る。


「小娘、最近ヒューレんとこで売り出した武器、アレに使われてい合金を開発したのはおぬしか?」

「は、はい。そうです」

「ふむ……実はのう、その合金の製造方法なんかの技術情報を、ウチの工房にも教えてほしいと思っ取るんじゃ。もちろんタダでとは言わん。技術提携を結んでほしい」


 すると、それを聞いていた店長が話に割り込んでくる。


「おー、ウチと提携結びたいとは、ジオ坊も偉くなったもんだなー。で、そっちは何を提供してくれるってんだ? エニア、好きなもん何でももらっちまえよ」

「え、ええと……急にそんなこと言われても」


 いきなりほしい技術は何かなんて質問をされ、エニアは困ってしまったみたいだ。


「おい聞いたかジオ坊。お前んとこのヘボ技術なんて、オレの愛弟子は欲しくないってよ~、うひひひひひ」

「なんじゃと妖怪ババア!!」


 からかう店長と怒り出すジーさん。エニアはそんな二人に声を上げた。


「や、止めてくださいよ! そんな風に思ってませんから! 私は……そうです! ジョルジオ様の工房で作られている兵器の、熱や光、雷のコントロール技術を学びたいです!」


 エニアの要望を聞いて、ジーさんは嬉しそうにしていた。


「おお、それであれば喜んで教えてやるわい! 出来れば近いうちに、こっちに来て欲しいんじゃが、どうじゃ?」

「はい! 準備が出来たら、お伺いしたいです!」

「うむ。では魔法車を出すから、小童使って連絡をよこせば良い」

「分かりました!」


 こうしてヒューレ錬金術工房とジーさんの工房との技術提携がされることになり、エニアはジーさんの治めるオルデンブルクへ、研修旅行みたいな感じで向かうことになった。


   ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 それからというもの、武器屋メンバーは旅の準備に追われることになった。その中でやけに嬉しそうなエニアに話しかけるプリシラ。


「エニちゃん、なんか楽しそうだねー」

「はい。ちょっと作りたいものが出来るかもしれないので」


 作りたいもの? ちょっと気になるな。


「何作るつもりなんだ?」

「運動神経のない私でも魔物を倒せるようになる武器です!」

「諦めろエニア。そんなものはこの世に存在しない。お前はまずピコハンを極めろ。自分で出来ることと出来ないことを見誤るな」


 俺はエニアに現実を見つめることの大切さを説こうとしたが……


「うるさいです。なければ作ればいいんです」


 エニアさんの思想はやはり攻めであった。


「それがジーさんとこの技術でできるってのか?」

「そうですよーだ」


 俺とエニアの会話をどれだけ聞いていたのかは分からないが、プリシラも興味津々だ。


「エニちゃん、なにかスゴいの作るの? どんなの?」

「ふっふっふ、秘密です」


 そして他のメンバーも旅支度を進めている。


 戦闘はなさそうだと踏み、オルデンブルクでの食べ歩きをする気でいるヒスイ。


 とにかくお出かけが楽しみで仕方がないプリシラと、持ち物の注意をするアホ毛様。


 クードはファシエと離れたくないといいだすかと思ったが、なにか目的があるらしく、淡々と荷造りを進めていた。


 そんなみんなの荷造りが終わりにさしかかったとき、エニアが言い出した。


「ねえみなさん、【クラウ・ソラス】ってご存じですか?」

「初めて聞いた……」

「しらなーい。おいしいやつ?」

「僕は知ってるけど、少なくとも食べ物じゃないよ」


 エニアの質問にそれぞれの答えを返す。


 俺も当然知っている。サルティヴ王国の伝承に登場する伝説の剣。

 持ち主の意志を読み取ってひとりでに動き、相手を倒してしまう能力を持つ。

 伝承の中では、その力を増幅した悪党が自分で動く武器や兵器を作り上げ、王国に反乱を仕掛けた。

 しかし、一人の英傑の活躍で悪党は倒され、クラウソラスは封じられた。そして、それは……


「オルデンブルクに、その伝説の剣、【クラウ・ソラス】があるかもしれないんですよ! すごいです! かっこいいです!」


 そう。エニアの言うとおり、【クラウ・ソラス】は悪党の手からそれを回収したダーナ=マリー・シャトレによってオルデンブルクのどこかに封印された、という噂がある。しかし、


「でもさエニア、それは存在しないってジョルジオのジーさんが発表してたぞ?」


 いままでも、クラウ・ソラスはただの伝承ではなく、どこかに存在するのでは? と期待する声はあり、それを探し回る冒険者はいた。

 しかし、クラウ・ソラスを封じたとされるダーナの子孫であるシャトレ家はその存在を否定している。


 そして、結局クラウ・ソラスがあるかないか明確にさせるため、オルデンブルクを治めることになった当時のジーさんが大規模な調査をおこない、クラウ・ソラスがないことがはっきりと発表された。


俺がその事実を言うと、エニアはむくれた。


「むー、人がロマンに浸ってるのに余計なこと言わないでくださーい!」


 そして真実を述べたはずの俺の頭にピコハンが振り下ろされた。

 人生とはどこまでも不条理なものである。


 いまのところノーダメージだけどね。

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よろしくお願いします。

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