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神剣のプロトコル ~底辺まで落ちた元S級最強剣士の俺が、錬金術師少女に『武器の臨床評価』とかやらされ、結果的に世界を救うまで~  作者: 深井立花 数白
第3章:転移術師の犯罪学

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Results2[そして俺の求めるものは]

 バールーフの演説後、サルティヴ王国の対応は早かった。なんといっても、国王の勅令が発せられたからだ。「司法制度改革に半年以内に着手する」と発表し、バールーフに、匿った犯罪者の引き渡しを求めた。


 バールーフは、改革が終わるまで彼らの刑を決定しないことを条件にそれに応じた。


 その引き渡された犯罪者の中には、当然シュラーさんもいる。

 彼はしばらくしてから正気を取り戻したようで、面会に来たメイと俺たちに涙ながらに謝罪していた。


「お父さん、メイ、待っているから。また一緒に暮らせる日まで……。そしたら、メイとリガルお兄ちゃんの結婚式挙げるの」


 挙げねーよ。

 しかし、ここからメイの雰囲気がちょっと変わり、なんだか暗いオーラのようなものを纏っているようにすら感じる。


「もうメイはリガルお兄ちゃんのものだし、リガルお兄ちゃんのものは、全部……全部メイのものだから……フフ、フフフ……」

「あの、メイ? メイさん?」

「もしリガルお兄ちゃんが他の女に……そのときは、お兄ちゃんの……を、……して……フフ、ウフフフフ……」

「そ、そうかそうか。あはは、メイはリガル殿が大好きなんだねえ……」


 シュラーさんはひきつった笑顔で答えていたが、面会の最後、俺にだけ聞こえる小声で、


「リガル殿……娘に手を出したら……分かっていますね?」


 あっれー? シュラーさん、犯罪者に逆戻りしないよね?

 なんかメイの方もしばらく構ってないウチに、なんか変なことになってない?

 俺、これから大丈夫なのかな?


    ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 そしてメイは、シュラーさんの出所まで孤児院で面倒を見てもらうことになった。シュラーさんの屋敷を、孤児院の別棟として、子供たちの遊び場や勉強の場にするらしい。


 しかし、メイをクララに突き合せた時に、どれくらい面倒なことになるかについて、俺は甘く見ていた。


「あなたがメイ? リガルを気に入っているようだけど、無駄よ! リガルは私のお婿さんになる運命なんだから!!」

「運命? なにそれ。そんなものを信じているなんて、まだまだ子供……。フフ、私はもう、リガルお兄ちゃんとひとつの布団で寝たのよ?」

「そ、そんな……ねえリガル、嘘よね!? 嘘って言って!!」

「違えよ。メイが勝手に潜り込んできただけだって……」

「な、なんだ。そういうことなのね!」

「でもその後、リガルお兄ちゃんは……フフ」

「え……どういうこと? 何があったの? リガル! これはどういうことなの!?」

「だ~から、なんもしてないって~」


 なんで5歳児と7歳児の修羅場に巻き込まれなきゃいけないんだよー。

 え? 俺なんか『悪しき原因』にでもなってたの?


 俺は孤児院の職員、ジョセフさんに助けを求めたが……。


「いやあ、あはは。子供たちに慕われているのは、とても良いことですよ。それにその子たちの間に入るのは、とてもめんどくさ……いえ、リガル殿が一番向いているでしょう。これからも頻繫に来てくださいね」


 なんかジョセフさん、「俺が来ればラクできるからいいなあ」みたいに言いやがった。

 覚えてろコノヤロー。


    ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 そしてバールーフの発表が与えた影響がもうひとつ。


「児童誘拐事件の犯人はエニアの剣を使っていた」というウソのニュースを流した、という武器屋が現れたのだ。


 なんでもその武器屋は、自分が流したウソ情報のせいでファシエが襲撃されたと知り、衝撃をうけたらしい。本人曰く、「そこまでのことになるとは思わなかった」とのこと。


 その武器屋のコメントが知れわたると、当然ウチの工房は、以前にも増して賑わうようになった。


 そして、人々の間では、「自分の悪い行いが、他の人を傷つける『悪しき原因』になるかも知れない」という考えがちょっとずつ浸透していっているみたいだ。


 今はみんなそういう考え方に慣れてないらしくって、市場(いちば)とかだと変な緊張感が漂っている感じがあるが、そのうち人々の心に浸透していくんじゃないかと思う。


 そして、なんか冒険者の間では「ヒューレ錬金術工房で、自分専用の超強力武器を作ってくれるらしい」なんて情報が出回り、特注武器の注文が何件か来たりして、エニアは毎日るんるん気分で武器を作っている。


 今日は、必殺技の名前を叫ぶと、それに応じた効果が発生する長剣【万象覇王剣:エレメンタルカイザー・極(アルティメット)】の臨床評価だ……って、誰だよ! そんなもん注文したアホは!? 毎回恥ずかしい思いすんの俺なんだぞ!!


 俺の内心も知らず、エニアは魔物の群れをビシッと指して指示を飛ばす。


「さあ、リガルさん! 必殺技のテストをしますよ! まずは【極(アルティメット)・セラフィム・バスター】です! 大声で叫んでください、かっこよく!」


この一言で俺の胃の痛みはさらに増した。


もうやだ。

おうち帰りたい。

おうちでプリンたべたい。


俺の胃に『良き原因』を求む。


(第3章:転移術師の犯罪学 完)

第3章を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。


ちょっと人によっては当たり前すぎる内容かもしれませんし、

逆に受け入れられない内容かもしれないと思っていたので、

ここまでお付き合いいただいて感謝です。

この作品が読者の皆様にとっての『良き原因』であれたらと思っております。


少しでも面白いと思っていただけたなら、下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてもらえると、作者の精神に強化魔法を付与することができます。


また、下にある「ブックマークに追加」をクリックすることでも強化魔法は付与できます。


あなたも『良き原因』になってみませんか?

ぜひとも、よろしくお願いします!

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