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彩りの天弓魔女  作者: 板雪みゆ
目覚め編

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第9話『ベルとドラゴン』

「も、もしかして神様…ですか?」


 私は思わず、目の前の大きなドラゴンに問いかける。

荘厳(そうごん)なそのドラゴンは、その口を大きく開き ー 。


「我は空(そら)のドラゴン一族(いちぞく)の長(おさ)、【シディアン】である。お主、何故(なにゆえ)、この地へとやって来た?」


 ド、ドラゴン一族の長!?え、えらい方…!?

 威厳(いげん)がありすぎて、怖く見えてしまった。

 シディアンと名乗るそのドラゴンはさらに続ける。


「ここは人の子が来るにはかなり高度(こうど)な地である。後(のち)に、雷雨(らいう)となるだろう。早く元の家に帰りなさい。」


 その風貌(ふうぼう)に反して、この方はただ純粋に、心配をして言ってくれていたようだ。


 改めて、ドラゴンが喋っているという事実に、ここが本当に別次元の世界なのだと実感する。

私は全身に緊張感を持ちつつ、答える。


 「実は私、今日初めて魔法を使って、箒で空を飛んだのですが…き、気が付いたら、その…この高さまで来てしまいまして…。」


「わ、わたし、どうやって帰ればいっ…」


私が言葉を続けようとしたその時。


視界が、急に反転した。


高い高い空の上。


それはそれは綺麗に。


私は、真っ逆さまに落ちていくのでした ―。





        終わり。










「ぃいやぁぁぁああああっー!!!!!!!」




 終わってたまるか!!まだこの世界に来たばかりなんですけど!!なんかEND感出ちゃったけどぉお!!


 悲鳴をあげても私が今、空を落ちているという事実は変わらない。


 ドラゴンと話している間、箒からの意識が逸(そ)れていた私は、魔力を込めることを忘れていた事に今さら気がついた。


 今からでも間に合うかな!?

何とかして魔力を込めようとするけれど、気が動転していてうまくいかない。


ついにENDルートを覚悟しかけたその時。


 私の視界は真っ直ぐに戻り、空中でぴたっと止まる。

そして、暖かい温もりを背中から感じて。

 先程の大きなドラゴンが助けてくれた!?と思ったのだけれど、どうやら私を助けてくれたのは、黒く赤い瞳ではあるけれど、先程よりも一回り小さなドラゴンがその背中に私を乗せてくれていた。

とにかく助かったっ…!!お礼を言わなけば!

 私は助けてくれたそのドラゴンにお礼を言おうと口を開いたけれど…。


「あっ、ありがとうございますっ…!助けてくれて本当にあり…」


「チッ…。」

 

チッ…?

舌打ち…?

私が舌打ちを理解するより、早く。


「って…あれ??」


 風の波が一瞬見えて、気が付くと私は、自分の家の庭へと戻っていた。

 そして前方から、慌(あわ)てて駆けてくるママの姿があり、私は思い切り抱きしめられる。


「ベルちゃんっ!!よかったぁっ!!!一体どこまで飛んでいったの!?」


「ママっ…苦しい…。」


「あっ…ごめんなさい!!力(ちから)強かったかもっ!」


 ハッと、ママは落ち着いて、抱きしめていた力を緩(ゆる)める。心配かけてごめんね、ママ。


 程無くして、晴れていた空は、雷を連れてきて、激しい雨模様へと変わった。

 あのドラゴンの長さんの予言が見事に的中したのだ。

 ひとまず、本格的な魔法練習はまた明日からにしよういうことになり。

 目まぐるしい私の異世界生活一日目は終了したのだった。



なんだかこれからもっと大変かも…。

なんて、不安になりながらも。


 この日、ママの作ってくれた夕食のトマトパスタが 美味しすぎる…。

なんて、呑気(のんき)に考えながら…。  


助けてくれたドラゴンとは初めて会ったはずなのに、懐(なつ)かしい感じがしたのは何故(なぜ)だろう…?


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