第8話『ベルと魔法』
そして、私はママと共に初めての魔法を使う為に、家の外に出ることになった。
部屋の窓から見えた景色とは、迫力が桁違いだ。箒で空を飛ぶ人々は、まるで羽を伸ばしながら羽ばたく、自由な鳥のように見えた。
それからさらに驚いた事…この庭がとても広い!!
私は瞬きを繰り返しながらママに話しかけた。
「この庭、すごく広いね?びっくりしちゃったよ…!」
「うふふ、この庭はベルちゃんが生まれた時に敢えて広くしたのよ。」
「そうなの!?」
「ベルちゃんが思いっきり魔法を使って、のびのびとこの場所で過ごせるようにってね。」
ママは、どこか懐かしむように、そして嬉しそうに私にそう言った。
まるで草原のようなこの庭には、よく見れば魔法を使ったような跡がところどころにあった。
一部だけ燃えて焦げているような場所と、逆に魔法で成長したような、天まで届きそうな長さにまで伸びている花…。
この庭を散策するのは後にして、私には早急な問題がある。
7日後に、王立クレアスカイ魔法学園へと入学するのだ。(と、特待生として…。)
この世界にもそうだけど、“魔法”というものにも、慣れなければならない。
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「では、ベルちゃん。早速だけど、まずは空を飛ぶ魔法からやってみましょう」
ママは持ってきた2本の箒の内、沢山のリボンが巻き付いた、とても可愛い箒を私に渡してくれた。
「この箒、すごく可愛いね」
「ベルちゃんの、一番お気に入りの箒を持ってきたわよ~♪」
そう笑いかけてから、ママは続ける。
「まず、箒にまたがったら、【魔力】を手の平に込めて、そして全身にその魔力を巡らせる為に、意識を集中するの。」
「この、いわゆる魔法箒には、命が宿っているの。箒に乗りたいという心を持つ者に、ほうきが応えてくれるの!」
「魔力を込めることも大切だけれど、気持ちもとても大切なのよ。」
ママは箒に跨がって、二階の窓の高さまで飛び、そのままくるくると家の周りを一周して、軽々と乗ってみせた。
箒に命が宿っているというのはどうやら本当のようだ。
彼女が乗った時、箒はその声に応えて、嬉しそうに空へ浮かびあがったように見えたのだ。
「いきなり出来るか不安だけど…私もやってみる!」
この世界で目覚めた時から、体の中に血とは違う何かが巡っているような温かい感覚があった。
これがもしかしたら【魔力】なのかもしれない。
ママに倣って、私も箒に足をかける。
『あなたに乗せて。』
そう、想いを込めて。
すると次の瞬間、ママも、そして私ですら驚くことが起きてしまう。
箒に乗って、空を飛べた!と思ったその時。
「わっ!やったぁ!飛べた!!…んん?あれっ!?ちょっ…!っ高い!!高ぃい!!!」
私が乗った箒は、この庭の空まで伸びていたあの花を高く飛び越えていた。
「ベルちゃあぁーーーん!!」と、
ママの声が下からかすかに聞こえる。
私は悲鳴を上げながら、そのまま雲まで掴めそうな 位置まで飛び上がる。
高すぎるよぉぉ!!
恐る恐る下を見れば、ママも家もとっくに見えなくなっていた。
そしてこのあまりの高さに、『あ、私もう死んでしまって、ここはお空の上の世界なんだわっ!
』なんて、とても危ない思考になりかけたその時。
??「お主、人の子か?」
と、私はいよいよ神様の声を聴いてしまったらしい。
しかし、その姿を見て、さらに驚く。
そこに居た声の主は、とても大きな翼を持った赤い瞳の黒いドラゴンだったのだ。




