第25話『愉快なクラスメイト達』
ー王立クレアスカイ魔法学園5階:《C教室》ー
??「C教室の皆さん、初めまして。私はC教室の担任となりました。サリエと申します。担当魔法学は応用魔法です。本日から1年間、よろしくお願いします。」
…私アトリアと一緒に話してて…フレアとも、ばったり再会して…だけど、フレアの様子がおかしくなってしまって…それから、それから…?
…痛っ…。頭が…。
先程までの事を思い出そうとすると、頭痛が引き起こされた。
思わず頭を押さえるほどの頭痛だ。
何かとても大切な事を思い出した気がしたのだけど…。
「ー…では、次の自己紹介はベルさんですね。よろしくお願いします。」
…今はぐるぐる考えるのはやめて、一旦学園生活に集中しようっ!フレアの事も気になるし…あとで様子を見に行こう!
「…ベルさん?」
そういえば、アトリアはクラスに居る…?
そう思って周りを見渡すと…。
…ん?なんだかクラスの皆が私を見ている…。
「…ベルさん…自己紹介を…聞いていないなどという事はないです…よ、ね?」
私の目の前に、担任の先生と思われる髪の長い女性が迫ってくる。あ、圧を感じる…。
私はぼーっと考え事をしすぎて早速、クラス内での初めての一大イベントと言っても過言ではない、先生とクラスメイトの自己紹介を聞いていないというミスを犯してしまう。
これは正直に話すしかないっ…!
椅子から立ち上がった私は、曇りなき眼で姿勢を正す。
「…えっと、皆さん初めまして、先生も初めまして!ベルと申します。今日からよろしくお願いします!話を聞いてなくてごめんなさい!かなりぼーっとしていました!…仲良くしてくださったら嬉しいです…!」
しーん…。
私の開き直った自己紹介の後、クラス内はそよ風すら感じないくらいの静けさに包まれた。
そんな静寂を破ったのは、赤い髪の快活そうな男子生徒だった。
「皆ー!!ベルさんは天然属性付きだー!!これは楽しくなりそうだなー!」
「っ!?!?」
その男子生徒の声を筆頭に、今まで口を閉じていたクラスメイト達が各々に口を開き始めた。
「可愛くて天然とかマジかよーー!正直付き合いたい!!」
「分かる!!もうずっと黙ってたけど直視できないくらい可愛いし。」
「男性陣は怖すぎますわ。ベル様は貴方達には近付けません。ベル様、あとでゆっくり二人だけで…ふふっ…お話しましょう?」
「ベルちゃん!!仲良くしてほしいっ!!!てか、そのふわふわの髪をあとで独り占めさせて~!」
「いや女性陣も怖すぎだろ!本音駄々漏れだろ!?」
「…あ、あの!?」
いつの間にか置いていかれた私は、皆から向けられる好意の声にどうしたら良いか分からず、戸惑いを隠せずにいた。
すると、見兼ねたかのように担任の女性の先生が教室内に響く音で自身の両手をぱちんと手を叩いて話し始めた。
「…はい!皆さんお静かに!それとベルさんは…しっかりと話を聞くようにしましょうね?私はサリエと申します。」
担任のサリエ先生は、クラスの皆を優しく諭した後で、もう一度私に優しく自己紹介をしてくれた。
「はっ…はい!サリエ先生!よろしくお願いします!ぼーっとしていて…すみませんでした…!」
改めて、しっかりと反省し先生にそう話すと、彼女は優しく微笑んでくれた。
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その後も、このC教室の愉快なクラスメイト達による自己紹介は進んでいった。
とある男子生徒一人を除いて ー。
「ー…ええ、それでは最後の自己紹介はフレアさんですね。よろしくお願いします。…あら?」
「えっ!フレア…!?」
聞き覚えのあるその名前に、私が思わず声をこぼすと、皆の視線は私に集まった。
教室の最後列に、一つだけ空白の席があり、先生は顔をしかめた。
「もしかしてベルさん、フレアさんが何処にいるかご存知ですか?」
「…えっと…。」
フレアは先程まで一緒に居たはずだけれど、突然様子がおかしくなって…。
記憶を整理しながら私が言葉を詰まらせていたその時、教室の扉がバッと、勢い良く開かれた。
するとそこに現れた人物はー。
「…はぁ…はぁ…主!!」
何故か息を切らしながら、先生やクラスメイトの視線を一切気にせず、私へと一直線に向かってくるフレアだった。
「フレア…!一体どうして…って!っ…!?」
フレアは現れるなり、私の事を強く抱きしめた。
何がどうなっているか分からない私。
同様にいきなり何のロマンチックが始まったんだと動揺が走る先生とクラスメイト達。
私を強く抱きしめながら、一人、何かを呟くフレア。
「…あ、あのフレア!!どうしたのっ!?」
慌てて私がフレアに話しかけると、彼はようやく抱きしめていた腕を離してくれた。
「…!!いきなり悪かった。主、それより…。」
フレア君…君はどうやらこの状況が分かっていないようだね。
こちらの愉快なクラスメイト達からは簡単には逃げられないよ。
思わず心の中の謎キャラで私が話し出すと、案の定、フレアに対して、クラスメイト達の質問の嵐が巻き起こった。
「ちょっと君!俺達の天使、ベルさんに馴れ馴れしくいきなりなんなんだ!」
「そうだぞ!俺達のほとんどがベルさんとお近づきになりたいと思っているというのに!」
「ベル様、どうかこちらへ来てくださいまし。
私の抱擁で上書きいたします。」
「ベルちゃん、いきなりびっくりだったよね…こっちへカモン!あたし、なでなでするよ!」
「おい!しれっと女性陣の下心が丸見えだぞ!」
そして、再びサリエ先生による静止の声と手の合図が響き渡るまで、この愉快なクラスメイト達に寄る会話は収まらなかった…。
近くに居たフレアは少し引くような苦い顔をしていたのだった。




