第23話『再会の彼らと予言』
ー王立クレアスカイ魔法学園5階:魔法学授業:座学エリア:timeー
教室の数はA~Jとなっており、一クラス30人で構成されているとのことで、私が説明を受けて向かっているのはC教室だ。
学園内はやはりとても広いのだけど、新入生達の流れに乗って歩いて行った為、難なく辿り着くことが出来た。
成績別で教室が分けられるのは、三年生からとのことで、一、二年生の内は完全にランダムでクラスが振り分けられるらしい。
という事は、アトリアと一緒のクラスになれるかは運次第だ。
あれ、なんで私こんなに気にしてるんだろう…?
なんて考えながら廊下を歩き、注意が疎かになっていたのか、前方から向かってくる誰かに正面からぶつかってしまった。
「……あっ…!?ごめんなさいっ…!!」
すぐに謝罪をして頭を深く下げると、聞き覚えのある優しい声が耳に届いた。
「いえ!こちらこそよそ見していて…あ、ベル!」
バッと顔を上げると、つい先日偶然に縁を持つことになった初めての友人でありながらこの国の第一王子のアトリアが居た。
「あっ、アトリア…!嬉しい!会いたかった!さっきの事もお礼言いたくて…。」
先程彼の事を考えていたからか、私は自分でも分かるくらいに、彼に会えて嬉しいという気持ちが膨らんで、弾むような声色になる。
そのまま話し続けようとした時だった。
今度も聞き覚えのある、力強く懐かしい声が耳元に届く。
「待たせたな、主。」
「…!?…ふ、フレア…!?」
いつの間にか私のすぐ傍に居たのは、異世界に来て初日以来に行方知らずになっていた、私を主と呼ぶ青年だった。
彼は出会った時の執事のような姿ではなく、なんと王立クレアスカイ魔法学園の制服を身に纏っていた。
私は驚きつつ、久しぶりに会った彼に声を掛ける。
「フレア久々だね…!?一体どこに行ってたの…?というかその制服…フレアもこの学園の生徒だったの…!?」
「いや俺は…おっと…お、お前は…。」
するとフレアは、アトリアの姿を確認すると、一瞬だけ言葉を詰まらせ後、彼に向けて話しかけた。
「…久しいな。お前、アトリアか。」
「…えっと僕達どこかでお会いしましたか?」
いきなりいつもの砕けた口調でアトリアに話しかけたフレアに私は少し動揺する。
話しかけられたアトリアも、フレアとは初対面のようで戸惑っているのを感じられた。
そして、フレアは姿勢を正すように今度は真剣な声色でアトリアへと話し始めた。
「アトリア、お前に忠告してやる。お前には、決められた運命…婚約者との結婚を推奨するぜ。俺は。」
「…えっ?」
「まぁ…お前が運命に抗おうと言うなら俺は手助けするつもりだけどな…っ、ここまでか…言えるのは。」
「フレア…っ!?」
いきなり予言のような事を言い出しかと思えば、顔を歪めた彼の額になにか痣のようなものが浮かび上がってきた。
そう言えば、前に確か口止めの契約をしてるって…確か…いろいろと喋りすぎると死ぬって…ままま待って…。
「…フレア…!プリズム・ヒールバタフライ!!」
咄嗟に私は青白くなった顔で、光属性の今使える 回復魔法を唱えた。
これは祈り魔法と云って、杖を必要としない為、掌に目一杯の魔力を込め、フレアに向けて発動する。
その場に美しい光の蝶が数羽現れると、蝶はフレアへと向かい、優しい波動を放ち始めた。
魔導書で習得していた唯一の回復魔法だった。
「…っ、主。俺は大丈夫だ…相変わらず優しいな。ありがとな。」
魔法の効果もあってか彼の額に浮かんでいた痣は引いていき、フレアの顔色は段々と良くなっていった。
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それから取りあえずフレアを休ませなければと思い、学園の保健室へと急いで向かうこととする。
アトリアも『僕も一緒に行くよ。』と言ってくれ、フレアを保健室の先生に送り届けた後、私はアトリアと二人きりとなった。
そして私達の間には不思議な沈黙が流れた。
まずはここまで付いてきてくれた彼にお礼を言おうと、先に口を開く。
「…えっと…まずはありがとう、アトリア。フレアはその…私の事を主と呼んでいる私の…友人…ではないか…えっとそのね…。」
と、口を開いたはいいものの、今の私はフレアの事を語れるほどの知り得た関係ではなく、うまく言葉が出てこなかった。
するとそんな私の様子を見て、アトリアは気遣うような様子で口を開いた。
「大丈夫だよ。フレア…早く良くなるといいね。…いろいろと気になる事を言っていたし聞きたいことはあるけれど、もしかして…何かしらの契約によって話せない感じかな?」
鋭い彼の一言に私はハッとさせられる。
「…っ!アトリア、どうしてそれを…。」
「あっ、僕の個人的な憶測で…いきなりごめんね。 ねぇ、ベル…一つだけ質問してもいいかな?あの、答えにくかったから大丈夫だから。どうしても聞きたい事があるんだ。」
「…?う、うん。どうしたの?」
彼はそう言うと、私の目をしっかりと捉えて真剣な表情で私に問いかける。
「ベル…君は今までどの世界で過ごしてきた?」
「え…?」
その一瞬、その問いかけに私の鼓動はドクンと跳ね上がった。




