第2話『女子高校生です。』
私は頭を抱えていた。理由は二つある。
その一。起きたら日本ではない知らない場所で目覚めていて、訳が分からない状態だということ。
そのニ。これもっとも重大!
【昨日までの記憶が曖昧だということ!!】
頭の中に靄がかかったように、うまく思い出せないのだ。
私は日本で生まれた平凡な女子高校生…。
【冬柴 鈴】。
名前はなんとか頭に浮かんできた…のは幸いだけど自分は高校生だったよ…ね…?。と、そこからの記憶が曖昧だった。
こうして言葉を考えることはできたり、携帯だったりドラゴンだったりといった物や生き物の名前もすぐに言えるのに、自分の事だけがよく分からなくなっていた。
寝る前に私自身がおそらく着ていたであろう白いワンピース型の寝間着を纏いながら、私は今、自分が置かれている状況を一度整理することにする。
①おそらく高校生だった…はず…!
名前だけはなんとか思い出せたYO!
②おかしいな…?夢が覚めない…?ここは一体どこですか…!?
③多分、異世界です。
うわぁあ!!!本当に訳が分からないよ!!
混乱が収まらない中、ふと、頭の中にシンプルな疑問がよぎり口に出す。
「まずこの家に誰か人がいるか確認しないとだよね…。」
状況はまるで飲み込めていないが、おそらくここは二階建ての家のようだ。
辺りを見渡すと、部屋は一人にしては丁度いいか、あるいは少し狭いと感じるほどの広さだった。
部屋には今、私が目覚めた一つのシングルベッドと木の小机とイスがあり、そして部屋の壁の中央に、小さな片開きの小窓があった。
「さっきは窓からちらっと見えただけだったけど…。」
先程見た光景を思い出し、改めてこの小窓に手を掛け、吹き抜けた風を感じて私は少し固まる。
「やっぱり人がほうきに乗って空を飛んでるし、ドラゴンも見えるし、もうどういう事って感じではあるけど…。」
改めてこの窓から見た景色に、私は感嘆の息を漏らす。
鼻に香る溢れんばかりの自然の息吹に、私は感銘を受けていた。
「こんなに新鮮な空気を感じるのは初めて…。」
あれ…?
-【初めて】。
少しだけ心がざわついたのは、きっと気のせいだ。
だって、私は日本で生まれた平凡な女子高校生だ。そのはず…なのだから。
そうして、しばらく私は景色を見ていたのだが、そういえば!とハッとする。
「そうだ!この家の住人の方!その方に会わなければ!!」
その方に会えば、自分の事も、ここが一体どこなのかも分かるかもしれない。とにかく早く誰かに会わなければ!
なんて意気込んだその時だった。
??「やっとお目覚めか、主。」
ついさっきまで、誰もいないはずだったこの部屋に突如として現れた謎の黒髪の青年が私に話しかけていた。
その青年は、美しい短髪のストレート黒髪で、まるで執事のような格好をしていた。
「あー…。その、主…その前に、自分の事、思い出せるか?」
その青年は私を主と呼び、まるで私の事を以前から知っているような口振りだった。
私は自分で思っていたよりもずっと混乱していたのかもしれない。
その青年に開口一番にこう言った。
「女子高校生です。」
「……。あぁ?」




