第19話『また話そう!』
気付けば現在の時刻は、21時になろうとしていた。
「今日はなんだかんだ遅くなってしまったし、さっきの場所は追いかけてきた彼らがまだ居るかもしれないし…先ほど君が頼んでいた食事は僕の従者、ルカに部屋まで届けさせるよ。」
彼は従者のルカさんという方に、学食を一人で買ってくるミッションを社会勉強の一環として行っている最中だったと話してくれた。
正直、あの時の券売機の前で呪文を唱えていた彼は少し…いや本当はかなり、面白かったのだけどここだけの秘密です。
明日は入学式で早いというのもあり、私は彼のお言葉に甘えることにした。
そして、今日はお互いについて深く話をできなかったので、私たちは去り際に一言ずつ話す。
「ベル、また今度いろいろと話をしよう!必ず!改めて今日は声を掛けてくれてありがとう!君と話せて良かった!」
「こちらこそ…!えっと…助けてくれてありがとう…!アトリア!」
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その後、自室の寮部屋へ戻って程なくすると、アトリアの従者と名乗るルカさんが私の頼んでいた学食のオムライスとトマトスープのセットを届けに来てくれた。
彼にお礼を言ってから、今度アトリアとルカさんに何かお返しをしよう!と考え込んでいると、ドッ!!と鈍い音が突然部屋に鳴り響いた。
顔を上げて見れば、私とアトリアよりもかなり長身の彼は、部屋を出る際、私の部屋のドアに思い切り頭をぶつけてしまったようだ。
とっさに私が『だ、大丈夫ですか!?』と声をかけると、『…問題ありません。』と、彼は顔を背け、クールに一言だけ答えて部屋を後にした。
クールな人だと思ったけれど、もしかしてアトリアと同じくらいの天然な人なのかも…?
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「ルカ、ベルの部屋まで食事を運んでくれてありがとう。助かったよ。」
「いえいえ、それよりもアトリア様…。ベル様…。あの方と同じお名前なのは果たして偶然なのでしょうか?」
「…あの子とは容姿は違っていたけれど…。」
…何よりも、僕が忘れたくても忘れられないあの魔力には覚えがある…。
とても心地よくて、暖かくて…。
「…アトリア様…?やはり何か…。」
「…いや、優しい子だったね。また話せたら嬉しいなと思って。」
(もし本当にあの子だったらきっと僕は平常ではいられない。ずっと…ずっと…逢いたかった。)
生徒達が寝静まる静寂の今夜。
アトリアは遠くの星空を見た。
一段と星が輝いて見えたこの夜に、誰かに想いを馳せる彼の心の声を、今は誰も知る由もなかった。




