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彩りの天弓魔女  作者: 板雪みゆ
目覚め編

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第17話『光の王子様』

 彼に券売機の使い方を教えた後 ー。


 私は思った。

 彼は実は天然なのか、それともかなりの箱入り息子なのか。


 私は後者(こうしゃ)だと思う。実際話してみて見て、彼の所作(しょさ)一つ一つに気品を感じるのだ。


 けれど、もう今はそれどころではない。


 忘れかけていたけれど、私は容姿を変える魔法を使っていて、不安定な完成度のこの姿が解けてしまう…!まるで童話のお姫様のように…!!


「では、こちらの券をあちらのカウンターに出してくださいね!わ、私はこれで!」


 と言って、今後こそ私が素早く立ち去ろうとすると…。



      「…待って!!」


 私はその時、これまで優しく語り掛けるように話す彼の大きな声を初めて聞いた。



「困って居た所を、助けてくれて本当にありがとう!僕の名前はア(・)ト(・)リ(・)ア(・)と申します。よければ、君の名前を教えてくれないか?」


彼は『アトリア』、と私に名乗った。

どこかで聞いたことがあるような…?



「い…いえいえ!えっと…私の名前は…ベルと…。」



続けて名乗ろうとした時だった。

一瞬にして、私の魔法が解けてしまい。

闇属性の姿の私は。

本来の姿の私へと変わる。

それは、今まさに“噂の特待生”の姿で。

彼がその噂を知らない可能性を考えたけれど。



「…!君…!もしかして特待生の…?」



 やっぱり知ってたかーーー!



 ああもうこうなったら、いろいろと追いかけられる前に逃げるしかないと考えていた時、まさかの先程2階の廊下で巻いてきた、男子生徒がこの学食エリアに再び現れた。


「!!おい、あの子!こんな所にいたぞ!!今度こそ捕まえて話するぞ!」


 彼らは私の存在に気が付くと足早(あしばや)にこちらへ向かってくる。

 一度彼らから逃げてしまったからか、目が一層(いっそう)怖い。というか捕まえるってなんですか!?


 なぜだか、珍獣扱(ちんじゅうあつか)いされていて怖い…!!

 ならばもう一度透明になる魔法で逃げきってやる!

 そう思い、杖を空間から取り出して透明になる魔法を唱えたけれど…。


「クリア・トランスペアレント!……あ、あれ?」


 私の身に変化なし。どうして!?

 私の魔力コントロールがどうやら乱(みだ)れているのか、魔法は失敗。

 さっきは出来たのに…!!


 彼らがどんどん近付いてくる。

 大柄(おおがら)な彼らのことが怖くて目をぎゅっと瞑(つむ)った、その時。





   「クリア・トランスペアレント。」

 



 すぐ間近で聴こえた優しいその声のその後に。




    優しく、手を引かれた。


   

     隣に居た彼(・)に。



 彼が唱えた魔法は、私と同じ透明になる魔法だったけれど、彼も私も周囲から見て、完全に透明になっている。す、すごい!!

 その場から消えた私達に対して、男子生徒2人組は驚き、また悔しそうな声を上げていた。 



     ーーーーーーーー



 そのまま彼に手を引かれて、私達は透明な姿のまま、学食エリアから離れていく。


 ずっと手を引かれたままで、なんだか恥ずかしくなっていた私は、少し熱くなった自分の顔が彼にバレないように声を掛ける。


 「あ…あの手!もうだ、大丈夫です…。」


 「ん?……っ、ごめん…!!」



 彼は私の手を離してくれると同時に彼は透明な魔法を解いてくれた。


そして、彼も自身にかけていた魔(・)法(・)を解いた。


 そしてそこに現れたのは、先程の挙動不審の男子生徒だった姿ではなく、太陽のような美しい瞳の色と同じくらいの、眩(まぶ)しい光の色の髪を持った彼だった。



その姿はまさしく。



どこかの国の。



お伽噺(とぎばなし)話に出てくるような。




「…王子様(おうじさま)みたい…。」


 彼は私の一声(ひとこえ)を聞いて、優しく、そして少しだけ迷ってから応えてくれた。



「その通り。僕はライズレインスカイ王国の第一王子、アトリアと申します。君はもしかして、新入生で特待生のベルさんかな?」



 どことなく溢(あふ)れる育ちの良さを感じては居たけれど…。



「ほ、本物の王子様なんですか!?」


 まさか何気なく声をかけた相手が、国の王子様だったとは思うまい。


 先程の長い前髪と黒髪の彼の面影はまるでなく、目の前に居るのは、光のような眩しさを持った人だった。

 私は気付けば、心で思ったことを真っ先に彼に伝えていた。



「ところであなたはさっきまで上級魔法を使っていたんですか!?全然気付かなかったです!すごい!そういえばさっき私の魔力のことも何か感じるって言っていたしというか透明になるあの魔法って自分以外にもかけることができるんですね?!それと…。」



「ま、待って、待って!一つずつ答えるね!というか君、すごい喋るね!?」



 どうしよう私、わくわくが止まらないよ。

 

  

     知りたいが止まらないよ。


       

      もっと、もっと。


        


       魔法のこと!!!



きらきらと目を輝かせながら早口で話し出した私は、まるで先程の彼のようになっていたと思う。


私、こんなに魔法の事知りたいんだな。


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