第15話『太陽の光』
私が料理を待っている間、とある券売機の手前で固まっている一人の男子生徒が目に留まった。
どうしたんだろう…?
その男子生徒はどこか辺りを見回しながら、何故か券売機の前から動く様子がない。
すると次の瞬間、私は予想外の場面を目撃する。
挙動不審な男子生徒「…クリア・ソール…。」
彼はスボンのポケットから魔法の杖を取り出したのだ。
そして、拡大魔法で杖を大きくすると、券売機に向かって何かの呪文を唱え始めていた。
(!?あ、あの人…明らかに怪しいよね…!?)
早く寮部屋に戻るはずだったけれど、気付けば私は駆け足で彼に近付き、彼に声を掛けていた。
「あの…どうかされました…?」
「ひぃ!!えっと…。」
彼は驚いた様子で手を止め、一瞬だけこちらに視線を向けてから、すぐに目を逸らしてしまった。
けれど、その一瞬の間に見えた瞳の色が。
まるで、太陽の光のように輝やいていて。
私は無意識に言葉を口に出していた。
「…綺麗。」
「!?」
彼はまた驚いたような動きを見せる。
あれ…私今口に出して…?ん、、?
大丈夫、大丈夫。心の中で思っただけ…だ、よね…?
彼が興味ありげに、じーっと見てくる気がするけど気のせい、気のせい。
心の中でぶつぶつと呟く私の声に反応するように、彼が応える。
「君…もしかして僕のこと知らない…?」
彼の口から初めて聞いた言葉は、私の想像していたものではなかった。
てっきり、“さっきの口に出したかもしれない発言”を指摘されるのかと思ってしまった。
…って!
やっぱり私、声に出しちゃってたのかな!?
だとしたら恥ずかしすぎる!
なんて、またぐるぐると考えてしまいそうに
なりながらも、彼の質問に私は正直に応える。
「えっと…すみません…存じ上げなくて…。あっ、もしかしてゆ、有名な方なんですか?」
そう私が正直に応えると、今度ははっきりと
彼が驚くのが分かった。
それと同時にどこか嬉しそうに、くすっと少しだけ笑った気がした。
一瞬だった。
彼の長い前髪で隠れていた瞳がはっきりと見えたその時。
気持ちが、まるで海の波のように流れてくるように思ってしまった。やっぱりとても…。
とても、
とても…!!
「綺麗っ!」
「!?」
口に出してから何かと葛藤するように頭を抱えてその場をくるくると回り出した私に、彼は太陽の光のような笑顔を向けてくれた。




