第12話『いきなり噂』
「ねぇねぇ!聞いた!?今年の特待生ね、前から噂されてたアトリア様じゃないらしいよ!!」
「えっ、嘘!?絶対アトリア様だと思ってた!って事は誰!?」
「それがね…噂によるとなんと…あぁっ!ほら!!あの子!」
「え…まさか…あれがあの噂のっ!?」
情報網の速い人は、一体どこからその情報というものを得ているのだろう。
私は思うよ。その情報は果たして、正しく綺麗な情報なのかい?ってね。
さてさて…今日は実に晴れているね。
春先なのに、暑いくらい…。
うん…本当に…。
ふぅ…。
少し溜め息をついてしまっている理由はなぜかというと、時は数時間前に遡る。
ー《数時間前》ー
「ベル様…ですね。私は王立クレアスカイ学園で教師をしております、タルティアと申します。担当魔法学は家庭魔法です。」
数時間前、ママと私が自宅前で学園の使いの者を待っていると、タルティアと名乗るとても優しい顔立ちの男性が現れたのだ。
「よ、よろしくお願いします!ベルと申します…!」
「娘をどうか、よろしくお願いいたします。ベルちゃん、無理せずに身体に気を付けてね!いってらっしゃい♪」
「ママ…ありがとう!休暇に戻ってくるからね!」
少し泣き腫れていた顔を隠しながらも、笑顔で私を見送ってくれたママと別れ、私は迎えに来てくれたタルティア先生と共に、この我が家を後にした。
ーーーーーー
受け取った学園の制服に身を包んで、いよいよこの日が来たのだと実感する。
学園の制服はデザインがとても可愛く、着用するとふわっと裾が広がる大きめのワンピースタイプに加え、服の下には動きやすい機能性のあるスボンを履いている為、めちゃモチべ上がる!!と感動する。
それから私は、タルティア先生と共に箒に乗って学園へと向かう。
道中何気ない会話をしながらも、私は心穏やかに学園へと近付いていた。
そう…。
タルティア先生からのをある噂を耳にするまでは。
「そういえば最近ですね、生徒達が噂しているんですよ。あ…でもなぁ…ベルさんに言ってもいいのかな…。」
「噂…ですか?まさかなにか良くない噂だったり…?」
まっ…まさか、入学前に私の悪い噂が流れていて入学したばかりなのにすでにどこにも居場所がないパターンの学園生活ルートですか!?
落ちついて、私!
STOP!ネガティブ思考!
急にだらだらと冷や汗が出てきた私を見て、先生はすぐに付け足して言った。
「あぁ!いえいえ!!すみません、違うんです、悪い噂では全くなくて!その逆。真逆なんですよ。」
「ま、真逆…?」
「ええ…その…我が校の特待生は、毎年新入生を含め、二、三年生の注目を集める存在なんですよ。最初の入学式までは、生徒達は誰が特待生なのかを予想をして楽しみにしているんです。」
ほ、ほう…?
「今年度は、王族の"アトリア第一王子"が特待生なのでは?と、多くの生徒が噂していたのですよ。」
お、王子様…?
「我々学園側は、入学してくる生徒達の身の安全とプライバシーは守るように動いていますが、つい先日、今年度の特待生は"ベルという天才魔法使いだ"という噂が広がり始めてしまいまして…。」
「…え…?」
「”ベルはとても可愛らしい少女だ“など…。」
「っ!?」
「なんだかすみません…。流れている噂が、褒めるものばかりで、噂を断とうにも断てず…。結局どこから広まった噂なのかを特定できず申し訳ないです…。ですが、何か気になる事や不安な事があれば、我々教師にすぐに話してくださいね!」
ーーーーー。
《現在》
「お!お前、あの子じゃね?噂の特待生って!」
「本当だ!!なんかあの子っぽいな!あれ…確かに可愛いけど…噂より顔に貫禄出てないか?」
ごめんなさい。顔に貫禄が出ていても、これは
不可抗力です。




