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愛国 二十六

 義勇軍の兵に命じ、敵味方分け隔てなく、睨み合う源龍と度宇から遠ざけて。義勇軍の兵で人の壁を作り、にわかの闘技場をこさえてしまった。

「貴志殿の言う通り、男同士、存分にあい戦わせようではないか! ことはその決着がついてからでもよかろう!」

 その小柄な身体にあわぬ気迫ある大喝。強引に一騎打ちにもってゆこうとする。

「ご意見あらば、この刃にてお受け申す!」

 槍を高々と掲げる。穂先は敵兵の血で赤く濡れていた。

「しかし、敵総大将の首を目の前にして、何を悠長なことを……!」

「王臣、甲芭之申す!」

 黙って成り行きに身を任せていた甲芭之だったが、にわかに大喝した。

「我が命、配下の度宇に預けた! 度宇敗れるならば、我が命運尽きたと潔く認め、この老い首を差し出そう。それでよいか!」

「承知! 我が方の源龍敗れるならば、夜討ちの軍を退こう!」

 なんと琴羽は、一介の義勇軍大将であるにもかかわらず、そんな約束を勝手にしてしまった。

「決まったな!」

「よし来た!」

 源龍と度宇同時に駆け出し、それぞれ得物を唸らせ、火花を散らせた。

「む、むむ! 勝手なことを!」

 南景勢の部将が苦虫を嚙み潰したような面持ちで一騎打ちを眺めるそのそばで、

「その心意気やよし! 今宵の戦、両名に預けた!」

 との声。驚いて誰だと思い、その声の主を見れば、慶子義であった。そのそばには記堂栄もいた。

 そのような、強引な成り行きで、今宵の合戦の勝敗は、この一騎打ちにかかることとなり。それが各所に伝えられて、一時休戦状態となった。

 にわかに静まる。その深更の静寂のくうを、勇士の咆哮と、得物の唸り声、見物者の喚声が揺らし、周囲に響かせていた。

 源龍の打龍鞭と、度宇の大刀、おおいに振るわれ。ぶつかり、火花を散らす。

 度宇の大刀は刃こぼれしているとはいえ、鉄の塊である。斬るというより、打龍鞭同様に、ぶつけるために振るわれた。

「おい、戦は遊びじゃねえとか言っといて、てめえも楽しそうな面してるじゃねえか」

「強者と戦うは、武人の誉れ! 心昂るもの!」

「それを楽しんでいるっていうんだよ!」

 その通り、源龍も、度宇も、乾いた返り血の着いた顔は、真剣そのものなれど、篝火にも負けず爛々と輝いていた。

 不思議と、そこに禍々しさは感じられなかった。

 命を懸けた果し合いであるというのに!

 打龍鞭は唸り、大刀とぶつかり。その衝撃は強く。度宇の手から弾けるように離れて、落ちた。

(やった!)

 度宇は得物を失って、そのままやられると多くが思ったが……。

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