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辞書と分数⑨




 漢字が苦手な子も多い。1度習った漢字、覚えたはずの漢字、小テストでちゃんと書けたはずの漢字もすぐに忘れてしまう、かもしれない。これも勉強が嫌になる原因のひとつ。ドリルを頑張って明日の小テストの漢字は覚えたけれど、先月習った漢字は頭にどれだけ残っているだろうか。今日覚えた漢字もどうせ忘れてしまうのか。そんなことを考えると嫌になってしまう―傷口に塩を塗ろうか―国・数・英・理・社、全部だよ、全部。覚えては忘れ忘れては覚え直してまた忘れての繰り返し。この憎らしい循環を初めて痛感するのが、漢字かもしれない。テスト中に天井を見上げている子は思い出そうとしている子。脳ミソの裏側にこびりついている記憶の影を、どうにかして引っぺがそうとしている子。もどかしいよな。3年生までに覚えたはずの漢字がどれだけ身についているか。100パーセントは厳しいにしても90パーセント、85、80・・・75・・・・・・現実は残酷だぞ。このパーセンテージを上げるコツ、記憶を定着させる方法。それは「間」を置くことだ。

 間を置く、というのは言うほど簡単ではない。やること自体は明白で、例えば1ヶ月に1度、その月に学習した内容の総復習ができれば相応の効果が期待できよう。長期休暇にまとめてという手もあろうが、間隔が空きすぎればそれだけ復習に時間がかかる。忘れた分だけ荷物は増える。効率が悪くなって手の回らない箇所が多くなる。後回しにしたり、飛ばしたり。付きに1度―復習に汗を流そうとしても授業は進むし、予定もあるし、疲れるし、眠たくなるし、遊びたい。世界と君が止まることを許されない環境でどうにか間を置いて、間と記憶を取り戻さなくてはならない。この時間と信念を確保できるかどうか―この癖付けが、社会人になってからも勉強を続けられるかどうかに繋がってくる。やっと勉強を卒業したんだから、もういいやって?そんな事、言いなさんな。仕事に就けば仕事で手一杯、家族を築けば家族が最優先、休日や空いた時間くらい自分の好きなことに費やしたい。そこをどうにか踏ん張るのだ。大人になって机に向かう習慣をゼロにしてしまうのは勿体ない、学生時代など無かったかのように。

 慣れてくると、また勉強に十分ついていくことができていれば間を置いて取り戻す、すなわち総復習にかかる時間を短縮することができる。月に1度、教科書をざっと流し読み―下手したら読んでもいない―流し見するだけで内容を理解できれば、例題なんかも悩むことなく解けてしまえば、自信と共に記憶を定着させることができる。初見の時以上に自分の血となり知となり肉となり、実力となろう。繰り返しになるが、学習のインプットがストップすることはない。集団で学んでいる限り、漏れようが零れようが溢れようが、前から前から入ってくる。だから、受け止めきれなかった内容をいかにすくい上げるかが肝になる。夏休み、冬休みは大きなチャンスに違いないが、やっぱり自分の時間を自分の好きなことに使いたいだろう。山積みの宿題もあろう。自由研究にも腰を据えて取り組んでほしい。で、あるからして、日頃の間の置き方が重要なのだ。たまにでいいのだが、定期的である必要がある。『継続は力なり』とはよく言ったものだ。継続することで力になる。継続するには力が要る。

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