100/102
絶対⑦
何と声を掛けるか迷う野口コーチ。時間はない。相手ベンチに礼したらすぐに戻ってくる。結果は完勝。自分達の形、やりたいサッカー、練習の成果が現れていた。けど、違う。だから十分な結果を残した選手達の何かを変えたいと思っている。だのに語る言葉が見つからない。
整理のつかない内に4年生が戻ってきた。ベンチと応援席にありがとうございました。で、野口コーチの話を待つ。と、ここでちょっとおせっかいなお母さんが一言。
「みんな、岡部先生も応援に来てくれてるわよ。」
全員が正徳幼稚園の出身という訳ではないのだが、流れで4年生に一言、ということになった。
「1試合目、お疲れ様でした。みんなとっても上手で驚きました。昔は負けてばっかりだったのにね。ふふふ・・・でもまだ緊張しているのかな、表情が少し硬い気がします。リラックス、リラックス。2試合目、3試合目も楽しみにしています。」
そう、1試合目には笑顔がなかったのだ。点を取った時ですら、抱き合ったりハイタッチはするものの、無表情。確かに集中はしていたが、笑顔と気合いは同居できる。事情は誰もが知っているのだから、野口コーチも避ける必要はない。避けてはきっと後悔する。




