であい
暗闇だ、わざわいだ。
バカ……!! コウキのバカ!
違う、バカは私。逃げ出した私。
☆
「で……キミはなんでこんな所で倒れてるわけ?」
「ん……?」
私は、まるで悪夢から開放される様な気持ちで、目を開けた。
最初に目に付いたのは光。
余りにも眩しい光に、せっかく開いた瞼をまた薄く閉じる。
そして、次に目に入ったのはそんな日の光を背に私に微笑みかけてくる青年の姿だった。
「ン……ここ、は?」
私は気怠い躯に鞭打って上体を上げた。
その拍子に髪の毛にくっついていた葉っぱが地面に落ちる。
どうやら私は昨日、水の国を飛び出した時からずっと走って来て、そして何時の間にか眠ってしまっていたらしい。
それまで誰にも襲われなかったのは奇跡と言えるかもしれない。
「はぁ……キミ、此処が何処だかも解らずに行き倒れてたわけ?」
呆れた様な声を上げる青年に私はほんの少しだけカチンと来た。
「別に……おまえには関係ない……」
寝起きのせいなのかもしれないけど、とても初対面の人間に対してとる態度ではない。
そうは自覚しながらも私はそいつの顔をみて話す気分にはならないで、ずっとうつむいていた。
それでも、青年の声は明るいまま、私の頭上で鳴った。
「此処光の国、“暁の街”テンペ、世界で一番早く朝を迎える国の……その入り口だよ」
青年が、うつむいたままの私にも見える様に真っ直ぐ指をさした。
その指し示す方向を惰性に引っ張られるママ見つめる私……
そこには……
「ぅ……わぁ……」
思わず、そんな声が上がるほど、大理石で作られた絢爛な門がそびえていた。
「ははっ、ビックリした?」
楽しそうな青年の声にハッとなる私。
「べ…別に」
その時、たまたま、本当にたまたま。
私はその青年の顔をみた。
今までけして意識してみないようにしていたわけではなかったのだけれど。
私は、その時に始めて彼と目を合わせた。
「ぁ……」
その声は、自分でもビックリするくらい情けのないものだった。
「……?」
朗らかな笑みを浮かべたまま、私の顔を真っ直ぐに覗き込んでくる青年。
顔に、熱が集中する。
「まぁ、キミが此処で倒れてるわけ理由は知らないけど、話はボクの家に行ってしようか」
私は、青年に手を引かれるまま“暁の街”へと踏み込んで行った。




