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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第52話】 影の中心が“紬の名前の核を外へ引きずり出す最終・最終段階”に入るとき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。


だが――今日は、渦が“紬の名前の核を外へ引きずり出すために紬の身体そのものを変形させようとしていた”。


紬は胸の奥を押さえた。

「風花」という響きが、昨日よりも強く震えている。

まるで名前の核が、胸の奥から“皮膚を突き破り、外へ飛び出そうとしている”かのように。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の中心が、紬の名前の核を“外へ引きずり出す最終・最終段階”に入った。

出口を描くでも、穴を開けるでもなく……今度は紬の身体そのものを“核が出やすい形”に変えようとしてる」


紬は息を飲んだ。

「身体を……変える……?」


ルクは紬の肩で震えながら言った。

「紬……渦の奥から“風花を外へ押し出す形にしろ”って響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の中心が“紬の胸の形”を変えようとする

渦の中心がゆっくりと形を変えた。

黒い粒が集まり、影の欠片が重なり、ひとつの“黒い核”になっていく。


その核は――

紬の胸の奥に直接響いた。


――ふうか

――ふうか

――かたちを、かえろ

――かくを、だしやすく


紬は震えた。

「……胸の形を……変えて……核を出しやすくする気……?」


ユイは風を揺らしながら叫んだ。

「紬! 影の中心が紬の“胸の形そのもの”を変えようとしてる!

形が変わったら……核は勝手に外へ流れ出す!」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……胸の奥が押し広げられてる……形が変わりかけてる……!」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の身体を“核が出やすい形”にして奪うつもりだ。

形が変われば……紬の名前は影に直接触れられる」


蓮は紬の肩を抱き、強く言った。

「紬……絶対に身体を変えさせない。

影が紬の名前を外へ流し出そうとしても、俺が紬を呼び続ける」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「蓮……」


■影の中心が紬の“胸の骨格”に黒い線を走らせる

渦の中心から黒い糸が伸びた。

昨日までの影の欠片とは違う。

皮膚を裂くでも、出口を描くでもない。


――紬の胸の骨格そのものを“変形させる”糸。


糸は紬の胸の奥に触れようとしている。


「紬、避けて!」

蓮が叫んだ。


だが――

紬の胸の内側に、黒い線が走った。

まるで“骨格を変形させるための線”を描かれているように。


ユイが風を送り、糸の動きを乱す。

「紬! 影の中心は紬の胸の骨格を変えようとしてる!」


真白は治癒の光で紬の輪郭を支える。

「紬ちゃん……胸の奥が歪みかけてる……核が外へ出る形にされてる……!」


ミナは糸の根元を切り裂こうとするが、糸は形を変えて避ける。

「紬! 影の中心は“身体の構造”を真似してる!

紬の身体を核の出口にするために変形させようとしてる!」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「風花」という名前の核が揺れ、黒い線に沿って外へ押し出されかけている。


蓮が紬の名前を呼んだ。

「紬!」


その声が紬の胸の奥に灯りを戻す。


紬はステッキを握りしめた。

「身体まで……絶対に変形させない!」


■紬が“自分の身体を名前の核の砦として固定する”ために叫ぶ

紬は深呼吸し、胸の奥に手を当てた。


「風花――!」


影の中心が揺れた。

だが、黒い線はまだ紬の胸の内側に残っている。


紬はさらに強く叫んだ。

「風花――!!

私の身体は……名前の核を守る砦!!

影なんかに形を変えさせない!!

核は……ここにある!!」


その瞬間、紬の胸の奥が強く光った。


ユイが風で影の中心を乱し、

真白が治癒の光で紬の輪郭を支え、

ミナが黒い線の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「風花――!!!

私の身体は……私の名前の核を守る形!!

影には絶対に“核が出やすい形”にさせない!!」


影の中心は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


渦の中心が――

初めて、完全に沈黙した。


黒い線も、紬の胸の内側から消えた。


■影の中心は完全に沈黙した

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の中心が……完全に止まった……!」


真白は紬の手を握り、涙を浮かべた。

「紬ちゃん……もう胸の奥の響きが揺れてない……!」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は……紬の身体を変形させることに失敗した。

これで“名前の核を奪う攻撃”は全部出尽くしたはず」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……よく耐えた。

影の中心は……もう紬の名前を奪えない」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「風花……ここにある……

絶対に……奪わせない」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬……次は、影の渦そのものを止めよう」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の中心は、私の身体を“核が出やすい形”に変えようとしていた。

胸の奥が光った瞬間、影の中心は完全に沈黙した。

影は私の名前の核を奪う手段をすべて使い果たした。

渦はまだ残っている。

明日は渦そのものを止める方法を探す。

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