表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
PR
51/98

【第51話】 影の中心が“紬の名前の核を外へ引きずり出す最終段階”に入るとき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。


だが――今日は、渦が“紬の身体の外側に強制的に穴を開けようとしていた”。


紬は胸の奥を押さえた。

「風花」という響きが、昨日よりも強く震えている。

まるで名前の核が、胸の奥から“皮膚を突き破ろうとしている”かのように。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の中心が、紬の名前の核を“外へ引きずり出す最終段階”に入った。

出口を描くんじゃなくて……今度は“強制的に穴を開ける”つもりだ」


紬は息を飲んだ。

「穴を……開ける……?」


ルクは紬の肩で震えながら言った。

「紬……渦の奥から“風花を外へ押し出せ”って響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の中心が“紬の胸の表面”を押し広げ始める

渦の中心がゆっくりと形を変えた。

黒い粒が集まり、影の欠片が重なり、ひとつの“黒い核”になっていく。


その核は――

紬の胸の奥に直接響いた。


――ふうか

――ふうか

――ひらけ

――でぐちを、つくれ


紬は震えた。

「……胸の表面を……開こうとしてる……?」


ユイは風を揺らしながら叫んだ。

「紬! 影の中心が紬の“皮膚そのもの”を押し広げて出口を作ろうとしてる!

穴が開いたら……核は勝手に外へ流れ出す!」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……胸の表面が熱くなってる……皮膚が押し広げられてる……!」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の身体の外側に“強制的な出口”を作って奪うつもりだ。

出口が完成したら……紬の名前は影に直接触れられる」


蓮は紬の肩を抱き、強く言った。

「紬……絶対に穴を開けさせない。

影が紬の名前を外へ流し出そうとしても、俺が紬を呼び続ける」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「蓮……」


■影の中心が紬の“皮膚の表面”を裂こうとする

渦の中心から黒い糸が伸びた。

昨日までの影の欠片とは違う。

円を描くだけではない。


――紬の皮膚そのものを“裂く”糸。


糸は紬の胸の表面に触れようとしている。


「紬、避けて!」

蓮が叫んだ。


だが――

紬の胸の表面に、黒い亀裂が走った。

まるで“核が外へ出る穴”を強制的に開けられているように。


ユイが風を送り、糸の動きを乱す。

「紬! 影の中心は紬の皮膚を裂いて出口を作ってる!」


真白は治癒の光で紬の輪郭を支える。

「紬ちゃん……胸の表面が裂けかけてる……核が外へ出る穴だよ……!」


ミナは糸の根元を切り裂こうとするが、糸は形を変えて避ける。

「紬! 影の中心は“皮膚の構造”を真似してる!

紬の身体の外側に強制的な出口を作ろうとしてる!」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「風花」という名前の核が揺れ、黒い亀裂に向かって押し出されかけている。


蓮が紬の名前を呼んだ。

「紬!」


その声が紬の胸の奥に灯りを戻す。


紬はステッキを握りしめた。

「皮膚まで……絶対に裂かせない!」


■紬が“自分の身体を名前の核の砦にする”ために叫ぶ

紬は深呼吸し、胸の奥に手を当てた。


「風花――!」


影の中心が揺れた。

だが、黒い亀裂はまだ紬の胸の表面に残っている。


紬はさらに強く叫んだ。

「風花――!!

私の名前の核は……胸の奥にある!!

身体は……核を守る砦!!

影なんかに穴を開けさせない!!」


その瞬間、紬の胸の奥が強く光った。


ユイが風で影の中心を乱し、

真白が治癒の光で紬の輪郭を支え、

ミナが黒い亀裂の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「風花――!!!

私の身体は……名前の核を守る砦!!

影には絶対に“出口”を作らせない!!」


影の中心は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


渦の中心が――

初めて、完全に沈黙した。


黒い亀裂も、紬の胸の表面から消えた。


■影の中心は“紬の身体に穴を開ける”ことを諦めていない

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の中心は壊れたけど、渦はまだ残ってる……」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……身体の外側を裂かれかけたのは初めてだよ……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の身体に穴を開けて名前の核を奪おうとしてる。

影の原型がいなくても、影は紬を中心に再生できる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の中心を封じる方法を見つけないと、紬の名前が狙われ続ける」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の中心……必ず止める」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。

影の残滓を封じる方法を見つける」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の中心は、私の“身体そのものに穴を開けて”名前の核を奪おうとしていた。

呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は核を外へ流し出すために強制的な出口を作ろうとしている。

渦はまだ消えていない。

明日は影の中心を封じる方法を探す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ