【第46話】 影の中心が“紬の名前の核を複製し始める”とき
街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。
影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。
だが――今日は、渦が“紬の名前を複製しようとしていた”。
紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。
胸の奥の「風花」という響きが、昨日よりも強く震えている。
まるで渦が紬の名前の核を“コピーして、自分の心臓にしようとしている”かのように。
蓮は紬の隣で言った。
「紬……影の中心が、紬の名前の核を“複製”し始めてる。
奪えない、書き換えられない、消せない……だから次は“コピー”だよ」
紬は息を飲んだ。
「名前を……複製……?」
ルクは紬の肩で震えながら言った。
「紬……渦の奥から“風花の核をつくれ”って響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」
■影の中心が“紬の名前の核のコピー”を作り始める
渦の中心がゆっくりと形を変えた。
黒い粒が集まり、影の欠片が重なり、ひとつの“黒い核”になっていく。
その核は――
紬の胸の奥に直接響いた。
――ふうか
――ふうか
――ふうかの、かくを
――つくれ
紬は震えた。
「……私の名前の核を……複製しようとしてる……?」
ユイは風を揺らしながら叫んだ。
「紬! 影の中心が紬の“名前の核そのもの”をコピーしようとしてる!
コピーされたら……影は紬と同じ名前の核を持つ“偽の心臓”を作れる!」
真白は紬の手を握り、震える声で言った。
「紬ちゃん……名前の核が二つに引き裂かれそうになってる……!」
ミナは渦を見つめながら言った。
「影の残滓は、紬の名前の核を複製して“影の心臓”にしようとしてる。
複製された核は……紬の名前の影になる」
蓮は紬の肩を抱き、強く言った。
「紬……絶対に名前の核を複製させない。
影が紬の名前をコピーしても、俺が紬の名前を呼ぶ」
紬は胸の奥が強く揺れた。
「蓮……」
■影の中心が紬の“名前の核の響き”を引き抜こうとする
渦の中心から黒い糸が伸びた。
昨日までの影の欠片とは違う。
核でも未来でも意味でも存在でもない。
――名前の核の“響きそのもの”を複製する糸。
糸は紬の胸の奥に触れようとしている。
「紬、避けて!」
蓮が叫んだ。
だが――
紬の名前の核の響きが、影の中心に引っ張られていた。
ユイが風を送り、糸の動きを乱す。
「紬! 影の中心は紬の名前の核の響きをコピーする気だよ!」
真白は治癒の光で紬の輪郭を支える。
「紬ちゃん……名前の核の響きが二つに割れそう……!」
ミナは糸の根元を切り裂こうとするが、糸は形を変えて避ける。
「紬! 影の中心は“核の響き”を真似してる!
紬の名前の核に直接触れられる!」
紬は胸の奥の響きを感じた。
「風花」という名前の核が揺れ、薄くなる。
蓮が紬の名前を呼んだ。
「紬!」
その声が紬の胸の奥に灯りを戻す。
紬はステッキを握りしめた。
「名前の核まで……絶対に複製させない!」
■紬が“自分の名前の核の響き”を呼ぶ
紬は深呼吸し、胸の奥に手を当てた。
「風花――!」
影の中心が揺れた。
だが、糸はまだ紬の名前の核の響きを複製しようとしている。
紬はさらに強く叫んだ。
「風花――!!
私の名前の核は……私だけのもの!!
影なんかにコピーさせない!!」
その瞬間、紬の胸の奥が強く光った。
ユイが風で影の中心を乱し、
真白が治癒の光で紬の輪郭を支え、
ミナが糸の根元を切り裂く。
蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。
「紬、もう一度!」
紬は叫んだ。
「風花――!!!
私の名前の核は……唯一のもの!!
影には絶対に複製させない!!」
影の中心は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。
渦の中心が――
初めて、完全に沈黙した。
■影の中心は“紬の名前の核の複製”を諦めていない
ユイは風を揺らしながら言った。
「紬……影の中心は壊れたけど、渦はまだ残ってる……」
真白は紬の手を握り、震える声で言った。
「紬ちゃん……名前の核を複製されかけたのは初めてだよ……」
ミナは渦を見つめながら言った。
「影の残滓は、紬の名前の核をコピーして新しい心臓を作ろうとしてる。
影の原型がいなくても、影は紬を中心に再生できる」
蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。
「紬……影の中心を封じる方法を見つけないと、紬の名前が狙われ続ける」
紬は胸の奥の響きを感じながら言った。
「影の中心……必ず止める」
蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。
「紬、一緒にやろう。
影の残滓を封じる方法を見つける」
紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。
「うん。絶対に」
あとがき(紬の日記)
影の中心は、私の“名前の核そのもの”を複製しようとしていた。
呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。
影は私の名前の核をコピーして心臓にしようとしている。
渦はまだ消えていない。
明日は影の中心を封じる方法を探す。




