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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第45話】 影の中心が“紬の名前を奪う最後の段階”に入るとき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。


だが――今日は、渦が“紬の名前を完全に奪う準備”をしていた。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きが、昨日よりも強く震えている。

まるで渦が紬の名前を“最終段階で奪いに来ている”かのように。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の中心が、紬の名前を“完全に消す”段階に入った。

名前を書き換えることもできなかったから……最後は“名前の消去”だよ」


紬は息を飲んだ。

「名前を……消す……?」


ルクは紬の肩で震えながら言った。

「紬……渦の奥から“風花を消せ”って響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の中心が“紬の名前を消す”ための響きを放つ

渦の中心がゆっくりと形を変えた。

黒い粒が集まり、影の欠片が重なり、ひとつの“核”になっていく。


その核は――

紬の胸の奥に直接響いた。


――ふうか

――ふうか

――ふうかを、けせ

――なまえを、むこうにしろ


紬は震えた。

「……名前そのものを……消そうとしてる……?」


ユイは風を揺らしながら叫んだ。

「紬! 影の中心が紬の“名前の存在そのもの”を消そうとしてる!

名前が消えたら……紬は紬じゃなくなる!」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……名前の響きが全部薄くなってる……!」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の名前を“無名の核”にして新しい心臓を作ろうとしてる。

名前を消されたら……紬は影の中心に吸われる」


蓮は紬の肩を抱き、強く言った。

「紬……絶対に名前を消させない。

影が紬の名前を消そうとしても、俺が呼び続ける」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「蓮……」


■影の中心が紬の“名前の存在”を消そうとする

渦の中心から黒い糸が伸びた。

昨日までの影の欠片とは違う。

核でも未来でも意味でもない。


――名前の存在そのものを消す糸。


糸は紬の胸の奥に触れようとしている。


「紬、避けて!」

蓮が叫んだ。


だが――

紬の名前の存在が、影の中心に引っ張られていた。


ユイが風を送り、糸の動きを乱す。

「紬! 影の中心は紬の名前の存在を消す気だよ!」


真白は治癒の光で紬の輪郭を支える。

「紬ちゃん……名前の存在が薄くなってる……!」


ミナは糸の根元を切り裂こうとするが、糸は形を変えて避ける。

「紬! 影の中心は“名前の存在”を真似してる!

紬の名前の存在に直接触れられる!」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「風花」という名前の存在が揺れ、薄くなる。


蓮が紬の名前を呼んだ。

「紬!」


その声が紬の胸の奥に灯りを戻す。


紬はステッキを握りしめた。

「名前の存在まで……絶対に消させない!」


■紬が“自分の名前の存在”を呼ぶ

紬は深呼吸し、胸の奥に手を当てた。


「風花――!」


影の中心が揺れた。

だが、糸はまだ紬の名前の存在を消そうとしている。


紬はさらに強く叫んだ。

「風花――!!

私は……風花!!

名前の存在は……ここにある!!

影なんかに消させない!!」


その瞬間、紬の胸の奥が強く光った。


ユイが風で影の中心を乱し、

真白が治癒の光で紬の輪郭を支え、

ミナが糸の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「風花――!!!

私の名前の存在は……私が守る!!

影には絶対に渡さない!!」


影の中心は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


渦の中心が――

初めて、完全に沈黙した。


■影の中心は“紬の名前の消去”を諦めていない

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の中心は壊れたけど、渦はまだ残ってる……」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……名前の存在まで狙われたのは初めてだよ……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の名前を“無名の核”にして新しい心臓を作ろうとしてる。

影の原型がいなくても、影は紬を中心に再生できる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の中心を封じる方法を見つけないと、紬の名前が狙われ続ける」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の中心……必ず止める」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。

影の残滓を封じる方法を見つける」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の中心は、私の“名前の存在そのもの”を消そうとしていた。

呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は私を無名の核にしようとしている。

渦はまだ消えていない。

明日は影の中心を封じる方法を探す。

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