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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第47話】 影の中心が“紬の名前の核を奪うために紬を分裂させようとする”とき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は街全体を覆い、名前の響きは常に揺れ続けている。


だが――今日は、渦が“紬を二つに分けようとしていた”。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きが、昨日よりも強く震えている。

まるで渦が紬の名前の核を奪うために、紬自身を“分裂させようとしている”かのように。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の中心が、紬を“二つに分ける”段階に入った。

名前の核を複製できなかったから……次は紬自身を分裂させて、核を取り出そうとしてる」


紬は息を飲んだ。

「私を……分裂……?」


ルクは紬の肩で震えながら言った。

「紬……渦の奥から“ふたつの風花をつくれ”って響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の中心が“紬の分裂”を始める

渦の中心がゆっくりと形を変えた。

黒い粒が集まり、影の欠片が重なり、ひとつの“黒い核”になっていく。


その核は――

紬の胸の奥に直接響いた。


――ふうか

――ふうか

――ふうかを、ふたつに

――かくを、ぬきとれ


紬は震えた。

「……私を……二つにして……核を抜き取る気……?」


ユイは風を揺らしながら叫んだ。

「紬! 影の中心が紬の“存在そのもの”を二つに割ろうとしてる!

分裂されたら……片方の紬から名前の核を抜き取られる!」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……名前の響きが二つに割れかけてる……!」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の名前の核を奪うために“紬自身”を複製しようとしてる。

紬の影を作って……その影から核を抜き取るつもりだ」


蓮は紬の肩を抱き、強く言った。

「紬……絶対に分裂させない。

影が紬を二つにしようとしても、俺が紬を呼び続ける」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「蓮……」


■影の中心が紬の“存在の響き”を二つに割ろうとする

渦の中心から黒い糸が伸びた。

昨日までの影の欠片とは違う。

核でも未来でも意味でも存在でもない。


――紬の存在そのものを二つに割る糸。


糸は紬の胸の奥に触れようとしている。


「紬、避けて!」

蓮が叫んだ。


だが――

紬の存在の響きが、影の中心に引っ張られていた。


ユイが風を送り、糸の動きを乱す。

「紬! 影の中心は紬の存在を二つに割る気だよ!」


真白は治癒の光で紬の輪郭を支える。

「紬ちゃん……存在の響きが二つに裂けそう……!」


ミナは糸の根元を切り裂こうとするが、糸は形を変えて避ける。

「紬! 影の中心は“存在の響き”を真似してる!

紬の存在に直接触れられる!」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「風花」という名前の存在が揺れ、二つに割れかけている。


蓮が紬の名前を呼んだ。

「紬!」


その声が紬の胸の奥に灯りを戻す。


紬はステッキを握りしめた。

「存在まで……絶対に割らせない!」


■紬が“自分の存在の響き”を呼ぶ

紬は深呼吸し、胸の奥に手を当てた。


「風花――!」


影の中心が揺れた。

だが、糸はまだ紬の存在を二つに割ろうとしている。


紬はさらに強く叫んだ。

「風花――!!

私は……ひとり!!

名前も存在も……ひとつだけ!!

影なんかに分裂させない!!」


その瞬間、紬の胸の奥が強く光った。


ユイが風で影の中心を乱し、

真白が治癒の光で紬の輪郭を支え、

ミナが糸の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「風花――!!!

私は……私だけ!!

影には絶対に“もう一人の紬”を作らせない!!」


影の中心は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


渦の中心が――

初めて、完全に沈黙した。


■影の中心は“紬の分裂”を諦めていない

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の中心は壊れたけど、渦はまだ残ってる……」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……存在を二つに割られかけたのは初めてだよ……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の残滓は、紬の影を作って名前の核を奪おうとしてる。

影の原型がいなくても、影は紬を中心に再生できる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の中心を封じる方法を見つけないと、紬の名前が狙われ続ける」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の中心……必ず止める」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。

影の残滓を封じる方法を見つける」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の中心は、私を“二つに分裂させて”名前の核を奪おうとしていた。

呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は私の影を作ろうとしている。

渦はまだ消えていない。

明日は影の中心を封じる方法を探す。

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