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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第36話】 影の残滓が“名前の記憶”を喰らうとき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は広がり続け、街の空気そのものが名前の響きを揺らしやすくしている。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きは安定している。

だが、渦の近くに立つと――その響きがわずかに震えた。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の残滓、昨日よりも“記憶”に触れ始めてる。

名前の形、音だけじゃなくて……名前の“記憶”まで奪おうとしてる」


紬は息を飲んだ。

「名前の記憶……?」


ルクは震えながら言った。

「紬……渦の奥から“忘れた名前”みたいな響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の欠片が“名前の記憶”を奪い始める

ユイが風を揺らしながら渦を見つめた。

「紬……影の残滓が、誰かの名前の“記憶”を奪ってる。

名前を呼ばれても、思い出せなくなる……そんな揺れ方をしてる」


真白は胸を押さえ、苦しそうに言った。

「名前の響きが……渦に吸われてる……誰かの名前の“記憶”が使われてる……」


ミナは渦の周囲を観察しながら言った。

「影の原型は消えたけど、残滓は進化してる。

名前の形、音に続いて……記憶まで奪えるようになってる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「名前の記憶を奪われたら……呼ばれても思い出せない……」


蓮は静かに言った。

「紬……影の欠片は、名前の記憶を奪えば“呼ばれた名前”でも消せる。

昨日よりもずっと危険だよ」


紬は頷いた。

「影の欠片を……止める」


■名前を思い出せない少年

そのとき――

渦の近くで、弱い声が聞こえた。


「……ぼく……名前……なんだっけ……?」


紬たちは振り向いた。


そこには、紬より少し年下の少年が立っていた。

彼は胸を押さえ、苦しそうに息をしている。


ユイは息を飲んだ。

「紬……この子、名前を思い出せない……!」


真白は駆け寄り、少年の肩に触れた。

「大丈夫……? 名前の響きが……ほとんど消えてる……」


ミナは周囲を見回しながら言った。

「影の残滓が、この子の名前の“記憶”を奪ったんだ。

名前を呼ばれても、思い出せない状態になってる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「名前の記憶が奪われたら……呼んでも響かない……」


蓮は静かに言った。

「紬……この子の名前を取り戻すには、影が奪った“名前の記憶”を壊すしかない」


紬は少年の目を見つめた。

「君の名前……覚えてる?」


少年は震える声で言った。

「……わからない……」


紬は息を飲んだ。


■影の欠片が“名前の記憶”を模倣する

渦の中心から黒い影が立ち上がった。


その影は――

少年の名前の“記憶”を真似していた。


「……■■■……」


紬は震えた。

「名前の記憶を……真似してる……!」


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬! 影がこの子の名前の記憶を奪ってる!

だから名前を呼んでも思い出せない!」


真白は涙を浮かべながら言った。

「紬ちゃん……名前の響きが……影の中に閉じ込められてる……!」


ミナは影を見つめながら言った。

「名前の影が、名前の記憶を奪ってる。

名前の形や音よりもずっと厄介だよ……!」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……この子の名前を取り戻すには、影が奪った“記憶の響き”を壊さないと」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「名前の記憶を……取り戻す」


■紬が“名前の記憶”を呼ぶ

紬は深呼吸し、ステッキを握りしめた。


「君の名前は――」


だが、少年の胸の奥は光らない。


紬はさらに強く言った。

「君の名前は……絶対に消えてない!」


影は揺れた。


ユイが風で影の記憶を乱し、真白が治癒の光で少年の輪郭を支え、ミナが影の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「君の名前は――“あお”!!」


影は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


少年の胸の奥が光った。


「……あお……ぼく……蒼……!」


紬は微笑んだ。

「思い出せたね……」


■影の残滓は“名前の記憶”まで狙う

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の残滓は名前の記憶まで奪えるようになってる。

昨日よりもずっと危険だよ」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……街の名前の響きが、もっと不安定になってる……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の欠片は、名前の形・音・記憶を真似できる。

影の原型がいなくても、影は進化してる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の残滓を止める方法を見つけないと、街の名前が全部揺れる」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の残滓……全部集めて、止めなきゃ」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。街の名前を守る」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の欠片は“名前の記憶”まで奪えるようになっていた。

蒼の名前を呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は進化している。

街の名前の響きが不安定になっている。

明日は影の残滓を封じる方法を探す。

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