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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第37話】 影の残滓が“名前の未来”を揺らすとき

街の中心に残った黒い渦は、昨日よりもさらに濃く、深く、重くなっていた。

影響域は広がり続け、街の空気そのものが名前の響きを揺らしやすくしている。


紬は観察ノートを胸に抱え、渦の中心を見つめた。

胸の奥の「風花」という響きは安定している。

だが、渦の近くに立つと――その響きがわずかに震えた。


蓮は紬の隣で言った。

「紬……影の残滓、昨日よりも“未来の名前”に触れ始めてる。

名前の形、音、記憶に続いて……名前の“未来”まで揺らそうとしてる」


紬は息を飲んだ。

「未来の名前……?」


ルクは震えながら言った。

「紬……渦の奥から“まだ呼ばれてない名前”みたいな響きがするよ……昨日よりずっと強いよ……」


■影の欠片が“未来の名前”を奪い始める

ユイが風を揺らしながら渦を見つめた。

「紬……影の残滓が、誰かの“未来の名前”を奪ってる。

まだ呼ばれていない名前……これから呼ばれるはずの響き……それが揺れてる」


真白は胸を押さえ、苦しそうに言った。

「名前の響きが……渦に吸われてる……未来の名前が使われてる……」


ミナは渦の周囲を観察しながら言った。

「影の原型は消えたけど、残滓は進化してる。

名前の形、音、記憶に続いて……未来の名前まで奪えるようになってる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「未来の名前を奪われたら……その人は“これから呼ばれるはずの自分”を失う……」


蓮は静かに言った。

「紬……影の欠片は、未来の名前を奪えば“存在の未来”を揺らせる。

昨日よりもずっと危険だよ」


紬は頷いた。

「影の欠片を……止める」


■未来の名前が揺れた少女

そのとき――

渦の近くで、弱い声が聞こえた。


「……わたし……これから……どう呼ばれるんだろ……?」


紬たちは振り向いた。


そこには、紬と同じくらいの年齢の少女が立っていた。

彼女は胸を押さえ、苦しそうに息をしている。


ユイは息を飲んだ。

「紬……この子、“未来の名前”が揺れてる……!」


真白は駆け寄り、少女の肩に触れた。

「大丈夫……? 名前の響きが……未来の方で揺れてる……」


ミナは周囲を見回しながら言った。

「影の残滓が、この子の“未来の名前”を奪ったんだ。

これから呼ばれるはずの名前が揺れてる」


紬は胸の奥が強く揺れた。

「未来の名前が揺れたら……その子は“これからの自分”を失う……」


蓮は静かに言った。

「紬……この子の未来の名前を取り戻すには、影が奪った“未来の響き”を壊すしかない」


紬は少女の目を見つめた。

「君の名前……今はなんて呼ばれてる?」


少女は震える声で言った。

「……ひまり……」


紬は頷いた。

「ひまり……未来の名前も、絶対に消えてない」


■影の欠片が“未来の名前”を模倣する

渦の中心から黒い影が立ち上がった。


その影は――

ひまりの“未来の名前”を真似していた。


「……ひま……り……?」


紬は震えた。

「未来の名前を……真似してる……!」


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬! 影がひまりの未来の名前を奪ってる!

だからひまりの“これからの響き”が揺れてる!」


真白は涙を浮かべながら言った。

「紬ちゃん……ひまりちゃんの未来の名前が……影の中に閉じ込められてる……!」


ミナは影を見つめながら言った。

「名前の影が、未来の名前を奪ってる。

名前の形・音・記憶よりもずっと厄介だよ……!」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……未来の名前を取り戻すには、影が奪った“未来の響き”を壊さないと」


紬は胸の奥の響きを感じた。

「ひまりの未来を……取り戻す」


■紬が“未来の名前”を呼ぶ

紬は深呼吸し、ステッキを握りしめた。


「ひまり――!」


影は揺れた。

だが、ひまりの胸の奥は光らない。


紬はさらに強く叫んだ。

「ひまり――!!」


その瞬間、影の中心が大きく揺れた。


ユイが風で影の未来を乱し、真白が治癒の光でひまりの輪郭を支え、ミナが影の根元を切り裂く。


蓮は紬の肩に手を置き、強く言った。

「紬、もう一度!」


紬は叫んだ。

「ひまり――!!!

君の未来の名前は……“陽葵ひまり”!!」


影は大きく揺れ、黒い霧となって崩れ落ちた。


ひまりの胸の奥が光った。


「……わたし……未来……戻った……!」


紬は微笑んだ。

「よかった……」


■影の残滓は“名前の未来”まで狙う

ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……影の残滓は未来の名前まで奪えるようになってる。

昨日よりもずっと危険だよ」


真白は紬の手を握り、震える声で言った。

「紬ちゃん……街の名前の響きが、もっと不安定になってる……」


ミナは渦を見つめながら言った。

「影の欠片は、名前の形・音・記憶・未来を真似できる。

影の原型がいなくても、影は進化してる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の残滓を止める方法を見つけないと、街の名前が全部揺れる」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の残滓……全部集めて、止めなきゃ」


蓮は紬の手を握り返し、強く頷いた。

「紬、一緒にやろう。街の名前を守る」


紬は蓮の瞳を見つめ、静かに頷いた。

「うん。絶対に」

あとがき(紬の日記)

影の欠片は“未来の名前”まで奪えるようになっていた。

ひまりの未来の名前を呼んだ瞬間、胸の奥が強く光った。

影は進化している。

街の名前の響きがさらに不安定になっている。

明日は影の残滓を封じる方法を探す。

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