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一度きりのリボン  作者: 矢満田太郎
第4章:影の残滓と新しい名前の脅威
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【第31話】 影の残滓が揺れる街で

影の心臓が止まった翌日。

街は静かだった。

昨日まで地下に響いていた黒い鼓動は消え、空気は軽く、風は穏やかに流れている。


紬は観察ノートを胸に抱え、学校へ向かう道を歩いていた。

胸の奥の「風花」という響きは、昨日よりもずっと安定している。

影の心臓が止まったことで、名前の揺らぎがほとんど消えたのだ。


蓮が隣で歩きながら言った。

「紬……街の名前の揺れ、ほとんどなくなったよ。影の心臓が止まった影響だね」


紬は頷いた。

「うん。でも……まだ“影の残滓”が残ってる気がする」


蓮は少しだけ表情を引き締めた。

「紬の勘は当たるからね。気をつけよう」


■影の残滓の気配

学校に着くと、ユイが駆け寄ってきた。

「紬! 風が変な流れ方してる。影の心臓は止まったはずなのに……」


真白も心配そうに言った。

「紬ちゃん……名前の響きが、少しだけざわついてるよ」


ミナは窓の外を見つめながら言った。

「影の原型は消えた。でも“影の残滓”は街に散らばってる。完全に消えるには時間がかかる」


紬は胸の奥が少しだけ揺れるのを感じた。

「影の残滓……名前の響きに触れてるのかな」


蓮は静かに言った。

「紬、今日は街の名前の揺れを調べよう。影の残滓がどこに集まってるか探すんだ」


紬は頷いた。

「うん。影の心臓が止まった後の世界を、ちゃんと見なきゃ」


■放課後、街の名前を調べる

放課後。

紬たちは街を歩きながら、名前の響きを探った。


ユイは風を揺らしながら言った。

「紬……風が少しだけ黒い粒を運んでる。影の残滓だよ」


真白は胸を押さえ、苦しそうに言った。

「名前の響きが……少しだけ重くなる場所がある……」


ミナは地面に落ちた黒い粒を拾いながら言った。

「影の残滓は、影の心臓が壊れたときに散ったもの。名前を奪う力は弱いけど……集まれば危険」


蓮は紬の肩に手を置き、静かに言った。

「紬……影の残滓が集まる場所を見つけよう。そこが“次の影”の発生源になるかもしれない」


紬は胸の奥の響きを感じながら言った。

「影の残滓……どこに集まってるんだろう」


そのとき――

ルクが震えた。


「紬……すごく嫌な響きがするよ……街の中心の方から……」


紬は息を飲んだ。

「街の中心……?」


蓮は表情を引き締めた。

「紬、行こう。影の残滓が集まってる場所がある」


■街の中心で見つけた“黒い影”

街の中心にある広場。

そこは普段、子どもたちが遊ぶ場所だ。


だが――

今日は違った。


広場の中央に、黒い粒が渦を巻いていた。

影の心臓の残滓が、まるで“新しい影”を作ろうとしているかのように集まっている。


ユイは震える声で言った。

「紬……影の残滓が……集まってる……」


真白は胸を押さえ、苦しそうに言った。

「名前の響きが……吸われてる……」


ミナは黒い渦を見つめながら言った。

「影の原型は消えた。でも残滓が集まれば“影の欠片”が生まれる」


蓮は紬の肩を抱き、静かに言った。

「紬……影の心臓を止めた後の世界は、まだ終わってない。

影の残滓が新しい影を生む前に、止めなきゃ」


紬はステッキを握りしめた。

「うん。影の残滓を……止める」


黒い渦がゆっくりと形を成し始める。


影の心臓が止まったはずなのに――

影はまだ、名前を狙っていた。

あとがき(紬の日記)

影の心臓が止まっても、影の残滓は街に残っていた。

名前の響きが少しだけ揺れている。

影の残滓が集まれば、新しい影が生まれるかもしれない。

胸の奥が強く揺れた。

明日は影の残滓の中心を調べる。

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