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ダンジョンマスターの仕事

「ん・・・」


意識に絡みつく眠気を振り払って、ゆっくりと目を開ける。

俺は壁から頭を出した状態で寝ていた。


ちなみに実験したところあまり深く壁や地面に潜ることは出来ないということがわかった。

じゃあ、どれくらい潜れるのかと言うとせいぜい2、3メートルぐらい。

さらに壁の中に完全に潜っても微かに外は見えるということもわかった。

視界の中心だけうっすらだが透けて見える。


「・・・」


俺は部屋をきょろきょろと見渡してあるものを見てしまう。


「(これは魔法なのか!?目を離すことが出来ない・・・!!)」


いや、ふざけている場合ではない。

そこには見たこともない美少女がいた。

特徴としては、白い髪、赤い瞳・・・そして、全裸。


一つ言っておくと、俺はロリコンではない。

暗くてボロボロの遺跡にポツンと一人裸の美少女がいた場合君ならどうする?

え?って見るだろ。

え?って。


今、まさにそれが起きているんだ。


別にやましい気持ちがあって見ているんじゃない。

そこだけまるで別世界のような空間があるから!

不自然だから見ているんだ!

果物屋に肉が一つ売ってたら見るだろ?

つまりそういうことなんだよ!


「(俺は誰に言い訳してるんだ・・・?どうするか・・・)」


「・・・」


あ、こっち見てる。

めちゃめちゃこっち見てる・・・。


「えーと・・・」


「おはようございます、マイマスター」


「え?・・・ああ、おはよう」


ん?マイマスター?


つまり、彼女は・・・。


「ミミか?」


「はい、マイマスター」


えぇぇえええええええ!?

ミミックって人型なの?

てか、こんな美少女なの?


いや、それよりも気になることがあるだろ。


「なんで・・・裸なんだ?」


「物に寄生するさいに邪魔になるので」


「ああ・・・今、何してるの?」


「たまに外に出て寄生している物を点検するんです、壊れていれば修復、もしくは別の物に寄生します」


「そうなんだ・・・はは」


「本に戻ります」


「ああ、うん」


なんだろう・・・気まずい。

ミミはまったく気にしている様子がないけど。


「(ふぅ・・・忘れろ忘れろ!・・・今日はちゃんと仕事しないと・・・何するかわからないけど)」


ミミはだんだんと透明な液体状になり、にゅるんと崩れたかと思うと、本の中に染み込んだ。

そして本はゆっくりと浮き上がる。


崩れるところなんかはなかなか衝撃的な絵面だった。


「マスター?」


先ほどの光景を思い返していると、ミミが心配した様子でたずねてくる。


「ああ・・・そういえば俺は何をすればいいんだ?」


「はい、魔物やトラップの設置、部屋・階層の追加です」


「えっと、どうやるんだ?」


「私に言ってくれれば追加します、追加のさいにはお金を消費するので注意してください」


「お金?俺持ってないよ?」


「ダンジョンの貯蔵庫に金貨10枚、銀貨102枚、銅貨520枚があります」


「そうなんだ、魔物とかトラップのカタログ?見たいのはないの?」


「私に載っています」


「そうなんだ、見せてもらえる?」


「はい」


魔力の手でページをペラペラとめくる。

絵や細かい説明まで記載されていてとても見やすい。


「(金貨20枚・・・こっちは15枚・・・)」


現在貯蔵してあるお金も結構あるのかと思っていたが全然だった。

探してみたところ、今買えるのはスライム5体、もしくはゴブリン2体、トラップだと落とし穴一つだけ。

魔物はやられてしまえば終わりだがトラップは何回でもチャンスがまわってくる。

その点を考慮すると魔物よりもトラップがいいだろうか。


「・・・ん・・・あっ・・・・・・優しく・・・」


「え!?ごめん!!」


「いえ・・・」


なぜかミミは息を切らしている。

気まずい・・・。


「き、金貨とかはどうやったら増えるんだ?」


声が裏返った・・・はずい。


「・・・冒険者を倒せばダンジョンが冒険者の死体を食べて金貨に換えてくれます」


「そっか・・・じゃあ、落とし穴を設置してくれ」


「はい・・・」


ミミは空中でピタリと動きを止めた。


「・・・ん?」


・・・ゴゴ・・・ゴゴゴゴゴゴゴッ!!


何っ!?

地震!?


ゴゴゴゴゴ・・・ゴゴ・・・。


「完了しました、マイマスター」


「今、揺れたのは・・・?」


「設置のさいには揺れが生じます、ですが崩れることはありませんのでご安心を」


「ああ、そうなんだ」


びびった・・・。


「じゃあ、あとは冒険者っていうのが来るのを待てばいいんだな?」


「はい、マイマスター」


昨日は誰も来なかったのでかなり待つという心の準備をしていたのだが無駄だった。

一人の女性がダンジョンの入り口にやってきたから。


ミミの能力で様子が見れる。

何か独り言を言っている。


「ふふふ、うまい仕事だ・・・魔力反応が出たらしいけど、どうせ小さなダンジョンだろ?ボスの姿を確認して逃げ帰るだけだからな」


その女性はホクホク顔でダンジョンに入ってくる。

そして、トラップに・・・。


ガシャ・・・。


「えっ・・・」


見事に引っかかった。


最近おかしなことが多すぎてこんなことを考える余裕すらなかった。

いや・・・考えないようにしていたのか。

どんな言い訳を並べたって、俺がやろうとしていることは人殺しじゃないか。


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