表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

第十五話

 アルバロに与えた罰の一刻が過ぎた後、輿の中は混沌としていた。

 混沌の由来である故事のように、のっぺらぼうの混沌さんに目と鼻と口、おまけに耳を開けた──というわけではもちろんない。

 ただ単に、迫り来る痺れに負け、椅子に縋りつくようして蹲るアルバロと、それを見て心配するエリオットと、笑い転げる皐月がいるだけである。大変面白いことになった、と思ってしまう皐月は多分悪くない。本人は未知の痛み、というか痺れという感覚で大変だろうが、傍から見る分には面白いのだから。


 そんな状況の輿の中、不意に扉が開いた。どうやら輿が止まってたのだ、と皐月はこの時気づいた。揺れなさ過ぎて外を見ていなければ全く変化がわからなかった。揺れないのも良し悪しである。

 扉を開けたフォルナートは強張った表情をして輿に乗り込んできた。多分状況が飲み込めなかったのだろう。小さな布袋を小脇に抱えたまま、くるりと室内を見回す。ちなみに輿は四人乗りなので、一応彼を入れても狭くはない。普通なら。今はアルバロが椅子に腰掛けられずスペースを取っているので手狭だが。


「それで、どうして彼はこのような状態になっているのです?」

「それは……」


 一周見回して、出た問いかけ。エリオットを真っすぐに見てのそれに、彼は口ごもる。多分なんと言っていいのかわからないのだろう。エリオットは短時間だけの正座しかしていなかったから、足が痺れていなかった。自分に起きなかったことがアルバロに起きたことが不思議で、けれどそれが罰正座の結果だと繋がらないのだろう。

 だから皐月が彼の代わりにきっぱり言った。ちょっとにやけていたような気もしたが、そこはそれほど問題ないはずである。


「悪いことをしたアルバロを懲らしめただけですよ」

「──うう……お前だって同罪じゃねえかよ……」

「こう言っていますが……まあ、いいでしょう。エリオット、済みませんが少々アルバロを連れて表に出ていていただけますか? 私はこれから彼女を磨かねばなりませんので」

「磨くってなんですか?」


 ちゃんとお風呂入ったの知ってますよね、とは続けられない雰囲気だった。しかも皐月の問いかけはさっくり無視された。


「わかった。やはり村に寄ることにしたのか?」

「ええ、そうなりました。ですので、彼女にはこちらに変えて頂きたいのです。このままの姿でいてもらっては困るのでね」

「まあ、そうだな。ほどほどにするんだぞ、フォルナート」


 皐月にはなんだかよくわからないまま、エリオットとフォルナートの間だけで話が進んでいる。アルバロがそれに加わらないのは多分痺れがきつすぎるからだろうけれど。輿を止めて、わざわざアルバロとエリオットを降ろしてまで何かをするって、理由はなんですか。なんてことも聞けそうにない。


「わかっておりますよ、エリオット。ではアルバロ、早く輿から出ていただけますか?」

「お前……」

「いい、俺が連れて行く。立てるか、アルバロ」


 傍観するしか出来ないままでいれば、アルバロはエリオットに抱えられて輿を降りて行く。そんな二人の背中を見送りながら皐月は思う。私も連れて行ってもらえないか、と。なんとなく、そうなんとなくなのだが、この広くはない輿の中でフォルナートと二人きりでいるのは嫌な予感がしてならない。勘違いだといいと浮かべながら、彼を見上げる。

 フォルナートはそれはもう、楽しげな笑みを浮かべている。あ、怒ってる。無意識に目を逸らしたけれど、意味はないようだった。


「さて、サツキさん。その服を脱いでいただけますか?」


 問いかけの形をしていながら、有無を言わさぬ語気の強さ。皐月は今身に纏う服を見下ろした。

 薄緑の七分袖のチュニックに幅広な生成りのキュロットパンツ。神殿で眠る前に着ていたものと同型色違いの品である。動きやすく着心地も悪くないのにどうして脱ぐのか。というかフォルナートの前で脱がなければいけないのか。そんな思いが問いかけになった。


「えと、ここでですか?」

「おや、外でお脱ぎになりたいのですか? それでも私は構いませんが、衆目を集めるのがお好きなのですかね。……ふむ、それではご希望通りに外にしますか」

「は? ち、違いますよ! ここで、フォルナートさんの前で脱ぐのかって意味で聞いたんです!」

「ああ、そちらでしたか。嫌ですね、そんな心配をなさらなくても私があなたの着替えを見るわけも、手伝うわけもないでしょう? 自意識過剰がすぎるのではないですか?」


 どんな嫌味ですか。女子相手にならそのくらい気を使うものじゃないんですか。心の中ではそんな叫びが生まれたが、口から出ることはない。今は多分、フォルナートの言葉に従わねばならないのだろう、と本能が言うのだ。危険回避能力はかなり低い自覚があるので、本能に従う。


「き、着替えます! 着替えますけど、どれにですか?」

「ではこちらを。私は四半刻ほど外に出ますので、その間に着替えを済ませてください」


 一人輿に残された皐月は、手渡された布袋を開き見た。


 中には淡いピンクのワンピースが一枚と、タンクトップのようなシャツが一つにかぼちゃパンツが伸びたもの、と皐月が思うものが一つ入っていた。

 ワンピースは赤い蔦模様が襟元、袖、裾の三箇所にぐるりと細かい刺繍が施されている。シンプルながらどこか民族衣装的で可愛い。丈だってミモレで、歩くと揺れるようなふわりとしたスカートもいい。どこをとっても可愛いとは思うが可愛すぎるとも思う。

 ぴらりとそれを目の前に広げ、皐月は暫し固まった。何故今ここでこれを彼が渡してきたのかがわからない。今自分が着ている服も女性ものである、と思っているからだろう。

 疑問は絶えないが、早く着替えなければならないことも理解している。なにせフォルナートは四半刻で済ませてください、と言い切った。つまり二十分と少しで着替えなくては彼が輿に戻ってきてしまう。

 よくあるベタな展開であれば、着替えを覗かれるのは必須事項かもしれないが、そんなドキドキハプニングはいらない。女は度胸だ、と皐月は勢いよく着ているチュニックを脱ぎ捨てた。ちなみに皐月は夕べの風呂の後、精霊に頼んで自前の下着を洗濯した。ネットに入れて洗ったものよりもふんわりしていた。精霊クリーニングのクオリティはとても高いようだ。


 なんだか少し外が騒がしいような気がするけれど、多分足の痺れが取れたアルバロが喚いているのだろう。そんな予想をつけながら外したブラを丁寧に畳む。それから手に取るのはタンクトップのようなものである。

 皐月の知るものよりも丈が少し短い。スポーツブラに近いかもしれない。同じように胸に当たる部分が厚みがあるけれど、胸下を紐で絞るようになっている。それでサイズを整えるようだが、それはもう心許ない。幾ら厚くとも布でしかないので、寄せて上げる効果もなければ、色々な意味でのカバー力がない。しかもサイズがかなりキツイ。もしかしてこれは子供用下着なのではないか、と浮かんだくらいに。

 皐月の身長は平均を多少下回るのだが、胸は人並みより少しだけ多い。と言っても人並みがどの程度であるのかわからないが。カップ数だけなら友人よりも大きかったことは覚えている皐月は、サイズを言うたび毎回驚かれていたのは多分きっと着痩せして見えるから、なのだと思いたかった。別に見た目が子供っぽいからじゃないはずなのだ。

 友人が昔見せた驚き顔を思い出しながら緩く紐を結ぶ。が、タンクトップの裾が全く肌に裾が触れていないので、結ぶ意味があるかわからない。

 そんなタンクトップを着て、かぼちゃパンツ(ドロワーズ)に手を伸ばす。とりあえず下着の上から履くのでいいか。でもこれも下着なら脱ぐべきか。一瞬悩んだが、心許なさすぎるのでパンツは履いたままにした。さらりと滑らかな肌触りが気持ちいい。が、見た目はかぼちゃパンツ。もしくはフリルのあるステテコ。楽なのでいいが。


 そこまで着て、一旦自分の姿を見下ろす。質実剛健な雰囲気のスポーツブラ、しかもサイズ小さめをつけて、乙女なフリル付きステテコを履く。上下で違和感がありまくりだ、とは思うがまあいい。今は早くワンピースを着なくては。時間は有限ではないのである。


「うー…後ろ釦で、これだけの数……無理でしょ」


 前からしか見ていなかったワンピースは、後ろに縦一列で釦がついている。その数は十個。多分半分ほど外せば着れるだろうが、自分では外したうちの半分も留められる自信がない。が、着ないわけにもいかない。プチプチとプラスチックとは違う素材の釦を外し、さらりとした生地のそれを頭からかぶってみる。


「ああ、そこまで着れましたか」

「え? あ、ちょ、まだ早くない、ですか?」

「まあ少し早いですが、窓からそちらを着始めたところが見えましたので」

「え? ま、ど……ですか?」


 フォルナートの言葉に輿にある窓を見る。左右に一つずつ、計二つの窓は穴を開けただけの簡素なものだ。硝子が嵌められていることも、カーテンがかかっているということもない。完全な素通し状態である。そしてその窓は座った状態で外が覗けるようになっている。皐月は思考回路が停止した。


「おや、気づいていなかったのですね。まあ、そうでしょうね。ああ、そのまま後ろを向いて……そこでいいですよ」


 くるりと体を反転させられ、プチプチと音がするのを聞いていても、皐月は何も言えず、できずの状態だった。自分がどんなところで着替えていたのか考えることに精一杯になってしまったのだ。

 顔は見えていなかっただろう。でも多分首から下はしっかり外に見えていたはず。どんな露出狂なのだ。や、でも私は露出狂なんかじゃないし──と迷宮に入り込んでいる。

 そんな皐月の様子を気にすることもなく、フォルナートはサクサクと釦を閉め終え、次いで髪に手を伸ばした。一つにだけ結わいていた髪では、この服に似合わない、という独断と偏見で整えるのである。ちなみにフォルナートはどんな場にも似合う髪型を作ることができる小器用な男である。

 するすると櫛削り、編み込みを幾つか作り、目的の場を訪れる年齢に似合いの髪型にする。皐月がしてもきっと違和感はないだろう、という判断の元に。存外皐月を飾り付けるのは楽しいことかもしれない、と思うフォルナートは普段見せるものとは違う笑みをその口元に浮かべていた。



***********



 そこは緑だけでなく、赤や黄色に染まった枝葉に囲まれた村だった。

 王都にもっとも近い街道沿い最初にして最後になる村はコントラット村、というらしい。村と街道との境も、森との境も皐月にはよくわからなかったから、どこからどこまでが村であるのかは知らない。が、街道沿いにあるものの中では一番広く、そして一番賑わう村なのだと聞いた。

 確かに一大観光地になれそうなくらい、村は綺麗だ。

 紅葉し始める樹々とのコントラストも美しい、煉瓦や木造の建物。どれもそこかしこに、旧神殿のような繊細な模様が彫り込まれている。聞けば建物を守るための(まじな)いのようなものなのだとか。まあ、気休めだ、とアルバロが言っていたが。そんな家々の周囲には幾つもの花壇があって、秋になるというらしいのにどこにも花が咲き乱れている。

 風に揺れる八重咲きの花。細く嫋やかに見えるその茎と、その上に誇るように咲く花の姿は秋桜のようだ。


「これは秋咲きの花でね、この時期のこの村は普段よりも綺麗なんだ」

「たしかに綺麗です。なんだか懐かしくなってきます、この花を見ると」


 皐月が幼い頃遊んでいた土手には、秋桜の畑があった。といっても自生してのものだったので、正確には畑とは言えないかもしれないが。とにかく毎年変わらず咲いて、季節が変わったことを教えてくれていた。

 すらりと高く伸びたそれを揺らしながら、隠れんぼをしたこと。必ず迷子のようになって、泣いていたこと。今なら自分の腰くらいの背しかないその中で迷子になることはないだろうけれど、その頃の皐月はとても小さかったからよく迷った。入って来た方向も、出た後の場所もどこだかわからなくなった。まるで、今の自分のような気持ちを味わった──ということは忘れることにして、皐月は隣を歩くレオを見上げる。


「君のいたところでも似た花があったのかな」


 花が揺れる様を見つめながら、ぽつりと届く言葉。答えるべきか、聞き流すべきか少し悩んだ。レオの目はとても遠くを、ここではないどこかを見ているようにすら思えた。青い瞳がほんの少し曇っているようにも。

 皐月はレオから花へと視線を移し、そうして呟く。


「ありましたよ。ちっちゃい頃よく遊んだところに。毎年、毎年見てました」

「そうなんだ……。僕も毎年暇を作ってはこの花を見に来るんだ」

「これだけ綺麗なら、毎年見にきたくなりますね」


 なんて黄昏ているけれど、本当はそんな状況ではない。この花を見に来たわけではないのだから、そちらの方に行かねばならないはず。それなのに案内をすると言っていたレオが動かない。皐月にはどう言えばいいのかもわからない。とりあえず時間は大丈夫なのか、と思いながらも立ち尽くしてみる。

 観光は時間をかけてゆっくりする派、なのである。


「レオ、サツキさん、お二人で楽しんでらっしゃるところ申し訳ありませんがそろそろ宜しいですか? 早く済ませてここをでなければならないのですからね」

「あ、ああ。そうだったね……ごめんね、サツキ。行こうか」

「あ、はーい。で……どこに何をしに行くんですか?」


 こてり、と首を傾げて問う。なんだか皐月はこの界とやらに来てから自分は流されに流されているんじゃないか。と思ってしまうくらい、行き先もわからずに行動している気がした。この村然り、旧神殿然り、王都も然り。まあ、良くしてもらっている、という自覚はあるので特に文句はないのだが。


 輿の中での一件の後、夕方すぎにこの村に着いた。輿の中ではフォルナートと二人きりで、息詰まる攻防──があったなんてことはなく、終始和やかに過ごした。約一刻ほどの時間であったけれど、今まで皐月が対面してきたフォルナートとは全く違う態度な気がした。

 言葉遣いは同じなのに笑顔が違う。雰囲気が違う気がしていたが、まあ優しいのでいいかと思っていた。が、それが違う意味で怖く思えたのは、いつの間にか髪型まで変えられた自分がどんな姿になっているのか気づいた時である。輿を降りて知った自分の姿。皐月はフォルナートって幼女趣味ロリコンなのか、と思うほど幼気な少女のような姿になっていた。


 まず以ってミモレ丈の服は成人前の年齢が纏うものらしい。この段階でアウトである。何が悲しくて最小で八つもサバを読まなくてはいけないのか。しかもフォルナートが整えてくれた髪はある一定の条件下の少女の髪型なのだとか。蕩けるような笑顔と共にそんなことを言われても、正直恐怖しか感じられませんよ、と言いたかったが言えるはずもなかった。


「門に向かうのですよ」

「門、ですか? えと……なんのために?」

「ふふ、それは着いてからのお楽しみですね。さあ、向かいましょう?」

「え、あ、れ、レオさんも、ですよね?」

「あ、ああ。僕も行くよ」


 フォルナートがそれはもう笑顔で皐月の手を取って歩き出す。が、レオが連れて行くことに決まったのではなかったか、と困惑してしまう。そのためにエリオットもアルバロもジョルジェットも輿に残っているのだ。それに皐月は自分に笑顔を向けるフォルナートに違和感しか感じられない。やっぱりフォルナートは幼女趣味なのか、と無意識に見上げる。


「どうかなさいましたか? そのように見つめられても残念ですが私は何も持っていませんよ? 予定が済みましたら食事にしますから少し我慢してくださいね」

「お、お腹は空いてない、ですよ。ただちょっと……」

「なんでしょう? あなたのような方にそのような目で見つめられると困ってしまいますよ?」


 するりと頬を撫で、嫣然という形容がぴったりの笑みを浮かべる。皐月ははくはくと口を開閉させるだけで何も言えなくなった。頬が熱い。皐月の経験値は高くないのだ。こんな突発事態を華麗に切り抜けられる術など持たない。というか輿の中でよりたちが悪くなっているのではないか、とすら思ってしまう。それに気づいても余計に固まるだけなのだが。


「……フォルナート、そろそろサツキで遊ぶのは止めるんだ。サツキが困っているだろう」

「────フォルナートさん、私で遊んでたんですか?」

「さあ、どうでしょうね」


 妖艶な色気を纏った美形がクスクスと笑う姿ははっきり言って公害だと思う。皐月はフォルナートを振り切るように視線を逸らし、向かう先を見た。進む先にあるのはただの森にしか見えない。僅かばかりに獣道があるだけの森。その先に何があるのかはわからない。大体において、彼らは言葉が足りなさすぎる。

 どこへ向かうのか、何をするのか、どうするのか。全てその場にならなければわからない状態なのだ。まあ、もうそんなことを何度も経験したお陰か、多少なりとも免疫はできたけれど。

 皐月は『門』という場所で自分が何をするのだろうか、とぼんやり考えながら足を進めた。ちなみに未だにフォルナートと手を繋いだままであることは忘却の彼方である。


 四半刻も歩かぬうちに拓けた場所に出た。

 森の中、樹々のない丸い広場のようなそこには、旧神殿のような石を使った門があった。見上げるほどに高いそれ。皐月は丸い柱の模様も、旧神殿のような蔦模様なのだと魅入ってしまう。

 四本の円柱が等間隔に並び、その上に三角形の屋根状のものが乗っている。破風部分にはメダリオンがあるが、曖昧な線のそれが何を示しているのかまではわからない。


「来たか。随分遅かったな」


 門の脇に佇んでいた男性が一人、レオへと声をかけている。焦げ茶の短髪に、レオたちが纏う神官近衛の服に似た物を纏う人物。色と僅かな意匠の違いしかないその服が何を表す物なのか皐月は知らない。というか、皐月は彼が歩み寄っていたことにすらまだ気づいていない。


「ああ、少しね。まあ範疇内だろう?」

「まあな、で、その子か?」

「そう。試しのようなものだけれど、門を潜るのは一種のステータスだからね」

「子供の我儘を叶えるのは神官の仕事じゃない、とは言わないんだな」

「仕方ないよ、上からの頼みだからね」


 門の先は森の中。ここを潜ることで何があるのか。内心で首を傾げたまま見つめる。レオと誰かとが話している声が聞こえるが、その内容までは頭に届いていない。皐月はそっと傍を見上げ、問うてみる。


「ね、私どうしたらいいの?」

「何も心配はいりませんよ。危険なことはありませんから。何かあれば私かレオがあなたを守りますから何も考えず門を潜れば良いのですよ」

「っ……フォルナートさん、えと……」

「ほら、では向かいましょう? この門を潜り抜けるとあなたには新しい力が手に入るかもしれませんし、手に入らないかもしれません。けれどあなたは素晴らしい存在なのですから、何も考えず進んでください」


 ゆっくりと足を進め、門の真下に来ての一言。しかも相変わらず蕩けるような笑みを浮かべながら。余計に不安になるのはどうしてなのか。門で何が手に入るのか詳しい説明はなしですか、とは問いかけられないまま、皐月は背を押され門の中に進んだ。

こぼれ話が活動報告にあります。エリオット目線の着替え話。エリオットは純情です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ