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ぶいちゃ!  作者: 藍雨ゼラ / 松木秀憲 / emu-v
第2章 ビジターさん?

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第8話 「これがチュートリアルワールド……?」

※本作は執筆ストック50,000字以上を確保しており、毎日安定して更新いたします。

遅めの朝食を済ませた慎太郎は、自室に戻る。

ずっと寝ていた休職当初に比べれば、最近は午前中には起きているのでずいぶんマシな生活リズムになっていた。しかし父も弟妹もそれぞれとっくに仕事や学校に行っており顔を合わせられる時間ではない。


「もう少し早起きしないとな」

そう思いながらPCを起動した。ゲームばかりしているのも問題かもしれないが、医者にも両親にもまずはゆっくり休んで好きなことをしろと言われていた。今はその言葉に甘えさせてもらおう。


ヘッドフォンをつけてPCのログインが終わるのを待つと、やがてゲームプラットフォーム「Spark」の画面が開く。

早速「Verse Chat」のスタートボタンを押した。昨日と同じ宇宙の中に浮かぶバーをみていると、昨日より明らかに早く読み込みが終わる。昨日は初回だから長く時間がかかったのかもしれない。


今回は大きな矢印は表示されず、昨日たどり着いた鏡のある部屋に最初から出た。移動方法は他のゲームと同じなので戸惑うことはない。鏡の前に移動すると昨日と同じアバターが映る。どうやら一旦はこのアバターに固定されてしまったらしい。早くアバターを変えたい。


「さて、チュートリアルワールドとやらに行ってみますか」

気を取り直して昨日動画で見つけたワールドに向かう。まずはスマートフォンを取り出し動画を確認だ。


「えっと、メニューを開いて……」

手をPCに戻しエスケープキーを押す。

「あったあった、ワールド、と……」

スマートフォンで動画を一時停止し、ここまでの説明通りに「ワールド」と書かれたボタンを押すとメニュー画面が広がり画像が並んだ。この画像の一つ一つがワールドなのだろう。


慎太郎、シンタは画像を軽く眺めると目当ての項目を探す。

あった。これが検索ボタンだ。早速押して出てきた入力欄におすすめされていたキーワードを打ち込む。

「J、P、……」


表示された検索結果から左上の画像を選ぶとメニュー画面いっぱいにワールドの情報と思しき画像や文字列、そしていくつかのボタンが表示される。

「『ジョイン』ボタンを押せばいいのか?」

ボタンを押した瞬間、シンタの視界がまた宇宙になった。今回も進捗を示すバーはちゃんと進んでいるようだ。


「これがチュートリアルワールド……?」

やがてバーが伸び切ると宇宙空間を抜けて紫色の空間に出た。動画で見たのもこんな色だった。

スマートフォンを手に取り動画を再生すると、同じく紫色の空間に出たあたりで一時停止した。


「こっちが入り口だろうな」

PC画面とスマートフォンの画面で観る動画では感覚が違うが、目の前の矢印通りに進めばいいだろう。さすがチュートリアルワールド、分かりやすくて助かる。


矢印に倣って進み角を曲がると目の前に文章が現れる。

「桜が咲くのは?」

動画でも説明されていたが、中に入るにはクイズを解く必要があるようだ。問題文の下に「←春」「夏→」と書かれており、左右にドアが見える。正しい回答の方に進めということだろう。


シンタは左手のドアに近づいていく。どうすれば入れるのだろう?そんなことを考えているとドアを通り過ぎてしまった。どうやら開ける操作などはいらないらしい。

ドアを抜けた先でまた問題文が表示されている。何度か同じようにして左右を選んで回答すると広い空間に出た。


「動画でみた景色だ」

どうやら予習動画と同じ空間にこれたらしい。よかった。安堵したシンタはその場で軽く息を吐く。


「さて、たどり着いたはいいものの何をすればいいのか……」

逡巡しその場を回りながら辺りを見渡す。

少し落ち着いてきたところで壁の上の方に大きく文字が書かれていることに気づく。

「最初はここから」なるほど、とにかくあっちに行けばいいらしい。


壁に向かっていくと、変わった模様の壁だと思っていたものが画像と文章だとわかる。

さらに壁に近づくとゲームのメニュー画面とその説明書きだと気づいた。

「あ、壁が説明書になってるんだ」


早速目の前の壁の文章を読んでみる。そこにはエスケープキーを押した時のメニューと同じ画像が表示されており、手書きのような矢印で番号が振ってある。

画像の下には番号と説明文が書かれている。

なるほど、番号でどの項目の説明かわかるようになっているのか。


「え、『ゲーム終了はここから』?」

画像の右上、歯車アイコンの説明にゲーム終了について書かれている。難しい設定をするためのアイコンなのだろう思って選んだことがなかった。

メニューを出して歯車アイコンを選んでみる。本当だ、1番上に「終了」と書かれたボタンがある。

「なんだここから終了できたんだ」

シンタは終了ボタンを押し、表示された確認ボタンも押す。


「しまった、ゲーム落ちちゃった」

ゲームのウィンドウが閉じ慎太郎は我に返った。


「せっかく辿り着けたのに」

チュートリアルワールドに辿り着いたばかりで即ゲームを終了してしまった自分に呆れながら、もう一度ゲームを起動する。

ロード時間がもどかしい。


初期のワールドに入ると移動もせずにすぐエスケープキーを押す。メニューから「ワールド」を選び同じ検索キーワードを打ち込む。

「あった、これだ」

先ほどと同じようにジョインボタンを押すと、今度は一瞬で宇宙空間を抜け再び紫の空間に出た。


「よし、今度こそ」

シンタは意気込み、入り口のクイズを左右に進んで抜ける。

今日2回目のチュートリアルワールドだ。


「さっき見た壁は……あった」

順路の先頭と思しき壁に向かう。

壁に沿って画像と説明書きを読んでいくと、ゲームの終了の仕方以外にも「フレンド登録」「ワールド」などゲームの基礎知識を知ることができた。


「ここを最初のワールド?にしてくれないかな……」

そう愚痴りながらシンタは壁伝いに半周ほど歩いた。


【読んでくださったあなたへ】

お読みいただきありがとうございます!

本作は毎日19時頃に更新していきます。


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