魅惑の赤いヤツ
今日の登場人物
末永椛「蚊にやられた。」
若松愛理「絶対治させたガール。」
7月の12日、はた迷惑な贈り物。
なんとなく歯を磨いていたときだ、鏡越しに映る俺の腕には赤いポッチは蚊に血を吸われてしまった名残のもの。
起床してから数時間は経過していたがこういうのは見つけてしまったが最後、気になって痒くてしかたがないんだ。
森に囲まれた神社の方に昨晩はお邪魔して泊まっていたから当たり前といえばそこまでだが、あいにく基本燎煉地方で生活してる俺にとってはあまり蚊にやられることはない。
というのも、蚊は暑さに弱いため溶岩がそこらかしこで流れている場所では生活どころか生きていくことすら厳しい。
「クソーっ、痒いぜ。」
戸棚に入ってる薬箱から虫刺されのかゆみ止めを見つけると早速塗りたくる。
冷たくて気持ちいいのなんの。
「はひー……。 蚊なんて絶滅希望種だろうが。」
塗ったとしても効果はわずかで痒みなんてまたすぐにやってくる。
かいて気持ちよくなりたいものだが……後ろにはアイリが立っている。
つまり薬箱を必要とするなら看護婦も必要……という思考にたどり着く彼女は何かと看病したがる。
そしてそれは誰にも邪魔させない。
「なに? なんか怪我とかしたわけ?」
「蚊にやられただけだ。 怪我したわけじゃないぜ。」
少し安堵した表情で彼女はホッとしている。
まぁ、日常生活で医者の世話になることなんてめったにない俺なので。
「絶対にかいちゃダメよ。 痕が残ったら大変だもの。」
「ん? 虫刺されとか痕が残るのか? 初めて知ったぜ。」
意外と子供の頃はボリボリしてたものだが身体のどこにも痕なんて見えない。
かいてはいけないというのは単なる脅しかどうだか。
「でもかくと気持ちいいじゃん? ちょーっとくらいバチ当たらんと思わん?」
「かきむしったりすると皮膚が傷ついて色素が沈着してしばらくは消えない痕が残るのよ。 かいちゃいけないのはそのせい。 それに子供の頃は代謝が活発だから沈着した色素は新しい皮膚の再生とともに押し上げられて垢として排出されるけど……ね。」
「なるほどな。」
「一ヶ月は残るのを覚悟する? 酷ければ半年や一年。 そんなこともあるからかくのはオススメしないわね。」
俺の美しい筋肉にそんなものを残されるのはたまったものじゃない……ならば我慢するしかないだろう。
「我慢するぜ……。」
「賢明な判断ね!!」
痒いのはもちろんだが気にしなければ案外どうってことないかもしれないし、気がついたときには数日経って思い出すときだってある。
蚊に吸われたところはどうなったかと見てみるともう既になかったり……だからこういうのは気にしないのが一番の薬だ。
蚊は絶滅するべき。




