カンカンハット
今日の登場人物
石蕗恋「からかうのが好きな母親。」
石蕗蜜柑「三度の飯より裁縫とプログラミング。」
夏原ひな「名前しか出てこない。」
7月の11日、お帽子カンカン。
こんなにも晴れているのだから絶好のお出かけ日和以外に何というのだろう。
そう思う反面……こんなクソ暑い中わざわざ出かけなくともと心の中の天使と悪夢が小競り合い。
「んー、どの帽子を被っていくべきだろうか。 悩むねぇ。」
ウォークインクローゼットの中を歩きながらキョロキョロと眺める。
マネキンやトルソーに着飾られた洋服などはオリジナルメイドの手作りなどであり、自信作。
誰がどう着こなそうともナイスになれる。
「たまにはこいつも被ってみるか。」
もちろん帽子も手作り。
この俺に抜かりはない。
麦わら帽子なようなものだが上の方は真っ平らで不思議な帽子でありながらもモダンさを感じる。
「あらー、カンカン帽じゃない!! とっても素敵じゃない!!」
ウォークインクローゼットからモデルのように歩いて出てくるとちょうど母親と出くわしてしまう。
見られて恥ずかしさで死にそうなくらい。
口元に手を当ててオホホって感じの言い方。
「普段はキャスケットだがたまにはこういうのもいいかなって。 せっかく作っても使わないんじゃコイツも可哀想だからな。」
帽子を脱いでは良く出来てるだろと見せつける。
作りたいと思ったから作っただけでいざ被ろうと思うとやはりいつもながらのキャスケットを被らなきゃ気がすまないタイプ。
「そう言えばこのカンカン帽は色違いをひなにあげたっけか。 元は確か水兵の帽子だからぴったりかなーってさ。 濡れたり破れたりしないようにニスで固めてるから叩くとカンカンなるんだ。」
叩いてみるとカンカンなる。
それほど硬い帽子なわけだ。
「へー、私も被ってみてもいい?」
「良いぜー。」
「どれどれ? なるほど、似合う?」
母親はくるっと一回転してポーズをとってみせる。
自慢じゃないがよく色んな人から可愛いとうちの母は評判が高い……のできっと可愛いのだろう。
俺にはよくわからないが。
「さてさて、ミカンはどこへおでかけ? もしかして彼女とデートね!!」
「なっ、そんなわけないだろ!! 一人で散歩だ。」
ちなみに本当に散歩目的ででかける。
あとちなみに今はいないが、彼女は作ろうと思えばいつだって作れる。
俺は多少お金があるから金目的の女が苦手なだけ。
「んじゃ、今日はよろしく頼むぜ!!」
相手は物言わぬ帽子だが俺にとっては可愛い相棒のうちの一品。
返してもらうと頭に被り、ゴキゲンな様子で街へと繰り出す。
さて、今日はどんな発見があるのだろうかと、胸を躍らせながら。
帽子は必ず被って熱中症対策を!!




