梅雨と夏の思い出
今日の登場人物
元木木葉「ござるガールは植物博士。」
若松愛理「寛容で一途なお医者さん。」
7月の10日、赤と青の融合。
憎たらしく思う初夏の暑さは大人の特権といつの日か父上がそう言っていた気がする。
我々大人には夏休みなど無いからなと……これから夏休みを控える子どもたちならこの暑さを感じるごとにワクワク感が増すものだと。
冬はとてつもなく夏はたまに暑い時雨地方の街並みにて。
「うむ、やはりこの季節はアジサイが咲き誇っているにござるなぁ。」
花壇には赤や青、紫色の大輪のアジサイが。
梅雨と初夏の象徴、これを見れば心が踊るもの。
「普段は意識して見てなかったけどいろんな色があるのね。 これってランダムなの? それともオスとかメスとか?」
愛理が不思議そうに見つめる。
「アジサイは土壌の成分によって色が変わるもの。 元々は赤い色素のアントシアニンにござるが土壌のアルミニウムを吸うと青色に……。 あまり吸わなければ半々の紫といった具合にござるな。」
「へぇー、なんか不思議ね。」
「そんなアジサイの花言葉の一つには【浮気】というのが。 皮肉なものにござろうなぁ。」
もちろんネガティブなもの以外にも【団らん】や【家族】などもある。
色にもよって言葉はさらに複雑になるのでここでは割愛しておくことに。
「あっ、あっちには白いアジサイが!!」
噴水広場の花壇の一角に白いものが。
なにか思うものがあったのかかけだす彼女。
「もしかしてアジサイのアルビノ個体とか? あぁ、アルビノってのは色素を持たない変異個体みたいなものでね。」
「それはもともとそういうものにござる。 アナベルという品種であって元々アントシアニンを持っていないもの。 花は白や薄緑となかなかの逸品。」
「へぇー、こういうのって意識して観察しないと通り過ぎるだけじゃわからないものね。 アジサイが何色かなんて聞かれたら普通は青や赤に紫の3種類しか頭に浮かばないもの。 よくよく考えれば白とかもあったかなーってね。」
何が珍しいのかはわからないが愛理は端末で写真を取って保存しては頷く。
「そんな白色の花言葉は【寛容】にて。」
「あら、私にぴったりじゃない!!」
「いうほど愛理殿は寛容……?」
普段は少し意地っ張りで我欲が強く観葉とは程遠い一面が見られる。
しかし、もう一つの花言葉に例えるとなれば【一途な愛情】は彼女によく似合うものではないだろうか?
特にそんな一面はあまり感じたことはないが直感的にそう思えただけ。
誰よりも七刻を愛して止まない二代目の七曜神は寛容で一途な愛情を分け隔てなくこの世界に恩恵をもたらすのだろう……と、二代目の木曜神の拙者は思うのである。
よく観察すれば違うものが見えてくる。




