襲撃
「今日は、ここまでかな?」
「はい。お疲れ様です。マスター」
ベンチに腰を下ろし、ふう、と息を吐く。
力を抜いた瞬間。疲れがドッと体にのし掛かってきた。
「どうだった?シャイニー。今日は」
「はい。魔力の操作も以前に比べて効率が良くなってきました。魔力も相当上がってきています」
にこやかに結果を伝えてくる。
「そっか。良かった」
光も順調な事だと知り安堵した。
「さ。帰って夕飯を作らないと」
「はい!」
二人で寮に戻ろうと歩き出した。
「!」
光は、咄嗟にバックステップをとった。
すると光がいた場所に触手のような物が突き刺さっていた。
「マスター!?」
「大丈夫!」
シャイニーも同じように避けて光を心配する。
光は彼女に安心させるように叫んだ。そして直ぐ様相手がいるであろう方向を睨んだ。
「誰だ!?」
相手にむかって叫ぶ。
しかし、襲ってきた相手は再び触手のような物を鞭のように振るってくるだけ。
「うわっ!?」
それを鞭の動きを見極めて避ける。
「く、なんだ。この鞭のような物は」
「マスター。あれは、鞭ではありません。触手です」
「触手!?」
「はい」
よく見ると確かに触手だった。
そして、その触手の先には
「あの人………人…なのか」
光はその姿を見てゾッとした。
「グォーーーーッ!」
怪物はうめき声をあげて腕の触手を振るってきた。
「ぐぁ!?」
触手が光の腹を直撃し、光を吹き飛ばした。
「マスター!」
シャイニーは魔力弾を放ち怪物を牽制させた。
「シャイニー」
「はい。マスター」
「このままだとやれる。だから」
光の意図にシャイニーは驚いた。
「確かに、できます。ですが、マスターに対しての調整は、」
「まだ、なんでしょう。けど、このままだと僕達は危ない。だから、お願い。頼む」
シャイニーは光の表情を見ていてゆっくりと頷いた。
「わかりました。マスター。では、詠唱を」
彼女の言葉に頷き、光は大きく息を吐き、精神を落ち着かせる。
「我、受け継ぎし力を解放し、今唱える。汝を纏いて、聖なる衣、聖なる武具を用いて、この世にその姿を現さん」
詠唱を唱えた瞬間。二人は光の中へと消えた。そして、次には、白き装束を纏った少年の姿がそこにあった。
「やっぱり、この姿か」
光は自分の着ている装束を見て呟いた。
『はい。まだ、マスターに適した魔法装束はできていませんので』
申し訳なさそうにシャイニーの声が頭に響いてくる。
「ううん。責めてはいないよ。それよりも力を貸してくれてありがとう」
礼を言い、自分の調子を確かめる。
さっきまで魔法の訓練をしていたがそれでも魔力や体力に十分な余裕があった。
(訓練や修行をしておいて良かった)
光はこれまでにやってきた事に感謝した。
魔法装束を纏った光は怪物に相対した。
怪物は両手の触手を槍のように飛ばしてきた。
それと同時に光は地を蹴った。




