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新たな生活4

「じゃあ。光君。かかってきなさい」

伊三美は、光に自分を攻めるように言った。

「お願いします」

光は挨拶すると一瞬にして伊三美に接近した。

その動きの早さは、風戸戦では比べ物にならない早さだった。

光は、遠慮することなく伊三美に腹に拳を打ち込んだ。

それを伊三美は体を横にずらして回避する。

「ッ」

光は、追撃はせず、後方に跳んで距離をとった。

「逃げてばかりじゃあ。だめよ」

伊三美は挑発するように呟く。

「まだまだ、これからです」

光は構え直し彼女の動きを伺った。

しかし。

「でも、すぐに終わっちゃうわよ」

「え!?」

突然、光の背後から、光の目の前にいる女性の声が光の耳に入ってきた。

「!」

光が背後を振り返ようとした。

その瞬間。

伊三美の右拳がとんできていた。光はそれをギリギリで避ける。

しかし、次の瞬間、光の視界は反転し、気づいた時には地面に倒れ、道場の天井を眺めていた。

それから、数秒後。

「まいりました」

光は状況を理解し、そう呟いた。


「大丈夫!」

香苗は光に近づいて起き上がらせる。

「ありがとうございます」

彼女の行為に光は礼を述べた。


「動きは、前より磨きがかかってきたわね」

伊三美は自分の娘に介抱されている弟子に言った。

「でも、その後の攻撃は、雑ね。強力だけど、形が雑になっていたわ」

褒めたが、直ぐ様、反省点を述べた。

「そうですか」

光は、残念そうな表情をした。

(まだまだ、僕は、師匠のようにはいかないか)

光は、内心で呟いた。


光は、癒世家から神無月家の後見を受けた後、伊三美の誘いで彼女の弟子になったのだ。

稽古が始まって、まだそんなにたってはいないが光は、黙々と励んでいた。


「でも、凄かったわ!あの移動速度、魔法が使えない人としては快挙よ」

香苗は興奮して光を称賛した。


「ありがとうございます。でも、使えるのは限られていますから」

「それでも」

二人の会話を聞いていた伊三美は苦笑した。


光の生活は、変わった。大きく。しかし、それと同時に光の運命も大きく動き出していた。

光は、知るはずもなかったが。

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