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言い渡された言葉に光は、驚きもせず、反論もせず、ただ、続きを待つだけであった。
「反論はしないのか」
明里達の父は少し驚いた様子で光を見ていた。
「発言を認めていただけるのですか」
「許可しよう」
許可がおりた。
「では、質問させていただきます。何故、僕が追放されなければならないのですか」
「質問に答えよう。それは、お前という存在を隠し通せなくなったためだ」
やっぱり、この前の風戸の魔法院での発言が原因か。
その時、左側に正座している三人の奥にいる人がニヤニヤといやらしく光を見ていた。体型は、当主だけに引き締まっているのが見てとれるが顔は、人を見下すような笑みを浮かべていた。
「しかし、君は、酷い事をしてくれたね」
酷い事?
「いくら、癒世家と関係ないとはいえ、あんな無様な敗北をするとは」
「それは、面目次第もありません。家の名に泥を塗ってしまったのなら謝罪します」
「すいませんでした」
言葉を切り、当主達に向かって頭を下げた。正座のため、向こうから見たら土下座に見えていただろう。
すると、向こうからかすかであるが小さく笑っている声が聞こえてきた。
「まあいい。今日は、それを非難するために呼んだのではない」
言葉を切り、続きが言われる。
「お前は、来週を持ってこの家の者では、無くなる。それを伝えるために呼んだのだ」
来週。
光は、その言葉を心の中で繰り返していた。
「どうした」
「いいえ。何も」
冷然と投げ掛けられる言葉に光は、そう言うだけであった。
光が部屋を出ていった後。
当主達は、喜びの笑みを浮かべていた。
「やっと。厄介者が消えますな」
「ええ、これで癒世家は、安泰安泰ですな」
「そうだ」
当主達は、喜びいさんで言いたい事を言い合っていた。彼らにとって光は、邪魔者の何者でもなかった。そのため、光には早く消えてほしいと願っていた。
そして、その願いが現実になった。
当主達の顔には笑顔があった。
「よし、今日は、飲むぞ」
「いいですねぇ」
誰のその一言に全員が喜んだ。
「ここまで、堕ちたか。この家は」
襖が開き、一人の老人が入ってきた。
先代当主。癒世 宗治である。
「父上。どうしたのですか?」
「お前達は、恥ずかしくないのか」
「恥ずかしい?何を?」
「あの子にあんな事をして」
あの子と言われて、当主達は誰の事か、察した。
「彼は、充分に成長しました。これからは自分の力で道を進むべきでしょう。私、いや、私達はその道を示しただけです」
「上手い、言葉じゃな」
宗治は、その言葉に嫌気がさした気分になった。
「よいか。老人の戯れ言かと思うがよく聞け。お前達があの子に何を恐れてこんな事をしてきたか知らんがいずれ今日の判断がどういう結果に繋がるか。よく考えておく事じゃな」
宗治は、その言葉を言うと部屋を出ていった。
宗治が出ていった後、現当主達は、先代当主の言葉をただの戯れ言だと判断し、今日の事を祝うかのように酒を飲み交わすのであった。
その様子が聞こえた先代当主は、自分の部屋で歴戦の強者とは思えない程、力なくため息をつくのであった。
「わしらは、どこで、道を違えてしまったのじゃろう」
彼の呟きは、虚しく響くだけであった。
そして、心の中で自分達とは血のつながりのない孫の未来を幸せである事を願うのだった。




