呼び出し
「ぼ、僕を!?」
光は、その場で驚いて声をあげた。
「う、うん」
明里も状況を呑み込めないのか表情は困惑していた。
「ああ、本当だ。今日の夜に始まるらしい」
茜が付け足すように言う。しかし、茜も明里と同じ表情をしていた。
「思っていたよりも早くないかな」
光は、疑問を感じた。
光がそう感じるのには理由があった。
「まさか、今日始めるなんてね。〝会議〟を」
会議。それは、分家や本家の当主達が集結して家に関する事を審議する事である。
光は、その話を聞いた時、真っ先に思った。
自分の事かと。
そして、何故この時期になったのかも理解した。
一週間前の決闘で光は、学院全体に自分の事を知られてしまった。そして、決闘でも大敗北してより光の立場は危うくなった。恐らく、その事が引き金となり、今回の会議が開催されたのであろう。
「ついに、来てしまったって、感じだね」
「お兄ちゃん」
明里が心配そうに見てくる。
「大丈夫だよ。殺されるわけじゃないんだから」
「でも、お父さん達、何をするかわからないんだよ」
明里は、そう言った。目には、涙が貯まっていた。
「そうだぞ。光、何するか、わからないんだよ」
茜も、心配して言う。
そんな二人に。
「大丈夫だよ」
光は、優しく言うのであった。
そう言うしかなかった。光は、内心、不安でいっぱいになっていたのだ。
「いざ、来ると。恐いな」
光は、誰にも聞こえないように小さく呟くのであった。
その日の夜。夕飯の仕度をしている時に、光は、呼ばれた。
(来た)
廊下を歩いていくと一室の前に立たされた。
「入りなさい」
「失礼します」
呼ばれた光は、そう言って襖を開けた。
襖の先には、一人の男性がいた。そして、その人を中心に左右に三人ずつ正座している。
光が見る限り、全くの隙のない気が伝わってきていた。
光の前にいた人達は、癒世家の分家、本家の当主達である。
暫く、部屋は、静かで重苦しい気が支配していた。
しかし、そう感じていたのは光だけであった。何故なら、当主達、全員が光に視線を飛ばしていたからだ。そして、その視線には、全員の殺気、憎悪、侮蔑といったものが注がれていた。
「さて、何故、お前がここに呼ばれたか。解るか」
ついに、沈黙を破り、口を開いた男が言う。
「いいえ、わかりません
光は、答えた。
「本当に、わからないのか」
語気を強めて聞いてくる。
「はい」
「いい加減にしないか!」
光がそう答えた瞬間。語気を荒げて光から見て左側の男が立ち上がって光を睨みつけていた。
「落ち着くんだ。」
中心にいる男がたしなめる。
「くっ」
男は、なおも気に入らない様子であったが同意して座りなおした。
「話がずれたが、もう一度聞く。心当たりがないのか」
「はい」
「そうか。ならば言おう。今日、ここに呼んだのは、お前の〝処分〟についてだ」
部屋に、男の声が響くのであった。




