一週間後
決闘から一週間が過ぎた。決闘の後、それまでの光の学校での生活が変化した。
「ねえ、あの子」「前の決闘で癒世さんに敗けた」「あいつ、捨て子だってよ」「苗字だけ騙った偽者だ」「でもよ。あいつ、結構いい闘いしてたぜ」「あんなのまぐれさ」
と廊下を歩くとそういった話が耳に入ってくる。そして、ある生徒からは侮蔑や見下すような視線を向けられ、ある生徒からは興味や羨望に似た視線を向けられる。しかし、そのほとんどは光を見下す視線の方が多い。
はじめの頃は、光も多少キツイ所であったが今では慣れていた。
そして、教室に入ってもそれは変わらない。
光は、慣れたとはいえため息を吐きながら自分の席についた。
「相変わらずだな」
健太が近づいてきて話してくる。
「いい加減に止めて欲しいよ」
光は、ぐったりと答えた。
「そこまで、ぐったりするなよ」
「代わる?」
「遠慮する」
いつもと変わらない会話が続く。
健太は、決闘の後も光に気軽に話してくるのであった。
「でもさ、お前、魔力がないのに武術だけであんな展開ができるなんてな」
「何度も言うけどあれはあれでギリギリなんだよ。魔法使う相手にやるのは」
「でも、俺の見た感じ善戦しているように見えたぜ」
「僕から見たらギリギリなのさ」
「ふーん」
健太は、まだ納得がいかなかったが追求するのを止めた。しかし、それとは別の事を聞いて見た。
「お前、〝体〟大丈夫か?」
「え、大丈夫だけど」
「いや、にしては、治るのが〝早すぎないか〟」
それに関しては光も思っている。
健太の言うとおり決闘が終った後の光は、ボロボロで全治一週間以上はかかる程であった。しかし、保健室に運ばれて治療を受けた時にはほとんどの傷が無くなっていたのだ。それに関しては神無月も驚いていた。しかし、たいした事ではなかったので保留になったのだ。
「たぶん、治癒魔法が効いたんだよ。きっと」
「そうか」
「そうだよ」
そして、ちょうど授業を告げるチャイムが鳴った。
「お、始まるか。じゃあな、光」
「うん、じゃあ」
健太は、そう言って自分の席の方へ戻っていった。
全ての授業が終った放課後。
「終ったな」
「うん、終ったね」。この後、どうする?」
「悪い、俺、部活があるからさ。先に出させてもらう。じゃあな」
「うん、じゃあね」
健太と別れた光は、荷物をまとめると校門に向かうために教室を後にした。
校門に向かうといつもように茜と明里が待っていた。
二人は、光に気づくと明里は、満面の笑顔で手を振り、茜は、何もしていないが笑っているのだと光は感じた。
光は、その二人に向かって歩き出した。
しかし、光は、気づいていなかった。これから起こる出来事に。そして、この日常が遠い存在になってしまう事に。




