第二戦
決闘場に向かうとさっきと同じように風戸がそこにいた。
「遅かったですね。何か作戦でも思いつきましたか」
「さあ、どうですかね」
光は、誤魔化すように返すだけであった。
『第二戦目。始め!』
決闘開始の合図がされた。
合図とともに風戸が一気に詰めてきた。しかし、光にとって避けられない攻撃ではなかった。
そのため光は、横に移動しようと動こうとした。
しかし、
「!?」
「はぁっ」
「ぐあ!」
光は、避ける事ができず風戸の拳をまともに受けた。
「どうしました?動きが鈍いですよ」
風戸は笑みを浮かべながら光を見ていた。
光は、なんとか耐えると立ち上がり、身構えた。
再び、風戸が光に迫る、光は再び移動して避けようとした。
(今度こそ、うっ)
「でやぁ」
再び、風戸の攻撃をまともにくらった。
光は、数メートル飛ばされた。
(な、なんだ。今、体にビリッて)
光は、攻撃を受けた痛みよりも自分の身の変化に驚いていた。
そして、光は、自分の体の異変がさっきよりも酷くなっているのに気づいた。
(さっきの痺れが全体にきているっ!)
光は、立ち上がろうとしたが痺れが全体にいっているので中腰になるのがやっとの状態であった。
「どうしました?最初の時のいきおいは、どうしたんですか」
風戸が嘲笑うかのように光を見据える。
何も言い返せない光は風戸を見るだけであった。
「終わりにしましょう」
風戸は、止めとばかりに左手に魔力で創られた緑色の弾を光に投げつけた。
光は自分の中に残っていた力を出し切るかのように地面を転がってそれを回避した。
「しぶといですね。偽者の分際で」
風戸は、吐き捨てるようにその言葉を言った。
「まあ、いいでしょう。ここで最初にやられた分をきっちり返させてもらいますよ」
風戸は、そう言って光に迫っていった。
それからの展開は一方的といった展開であった。
動けない光に次々と風戸は攻撃をくわえていったのだ。
蹴り、拳、魔力の弾、それが光の体に叩き込まれていくのであった。
そして、光の姿はボロボロであった。決闘用に着けていた防具は壊れ、服も所々破けていた。そして、所々から血が出ていた。
光は立ち上がろうとしたが、痺れと全身に受けた攻撃による痛みで立ち上がることさえできなかった。
「もう終わりですか。呆気ないですね」
風戸が、動けない光に近づいて言ってきた。
しかし、何もできない光は風戸を睨みつける事しかできなかった。
「睨みつけても無駄ですよ」
「くっ」
「しかし、たいしたものですね」
「何が」
「ああ、あなたに言ったわけではありませんよ」
「私が褒めたのは〝あなたに飲ませた薬〟に褒めたのですよ」
風戸の発言に衝撃を受けた。
「くっ、薬・・・・だって」
「まあ、麻痺性の薬ですが」
「じゃあ、さっきまでの体の痺れは!」
「ええ、その薬の効果の表れですよ」
風戸は、何でもないように言うのであった。
「そこまでして僕に勝ちたいか、倒したいのか」
「ええ、」
短く呟いた風戸の声は、殺意に近いものを感じて光はゾッとした。
「あなたさえいなくなれば、癒世家は安泰、そして、お前を倒せば、私は認められ、晴れて本家に入れる」
「待っ、て、そんな事をし、な、くても」
「自分はいなくなる、そう言いたいのでしょう」
言葉を引き継ぐように風戸は言う。
「しかし、待てません。私は、あなたみたいな偽者が、のうのうといるのが」
光は、風戸の顔を見てゾッとした以上に恐怖した。風戸の顔は、自分を亡き者にしようとした顔をしていたからだ。
そして、風戸は、魔法陣を展開し始めた。
体がボロボロの光は防ぐ事もできず、ただ、見ているだけであった。
しかし、決して逃げずに、風戸を見ていた。
「終われ」
風戸から、丁寧な口調が消え、殺意のこもった言葉が光に放たれる。
それと同時に魔法陣が発動して地面が緑色に発光した。そして、光は、自分が空中に飛ばされるのを感じながら意識を失った。
しかし、意識を失う寸前、光は、誰かの声を聞いていた。
もうすぐですーーー。
言葉の意味は理解できなかったがそれはとても優しく、温かい響きを持っているのを光は意識を失う中で感じ続けるのであった。




