光という存在。
光は、元々、癒世家の人間ではない。
光は明里達の母親、癒世美輝が何処からか拾ってきた子どもであった。つまり、捨て子である。
祖父や義理の母の美輝の話によると光はその時ひどく衰弱していたらしかった。しかし、拾った美輝自身も光が何処からやってきた子どもなのか全くわからなかったらしい。
美輝は光を養子として育てていこうと思った。しかし、癒世家はその子を邪魔だと言った。
その理由は光という存在は癒世家にとっては迷惑な事であったからだ。
癒世家はその頃、魔法師として戦闘技能の優秀性が認められ、門下生から優秀な人材を輩出していていわば黄金期であった。そんなおりに突如、何処からか拾ってきた子どもなど癒世家にとっては邪魔者の何者でもなかった。
つまり、スキャンダルや家の問題になると思ったのだ。そして、分家や本家の者の中には当主の座を奪う存在になると危惧したのも一つの理由でもあった。さらには美輝の隠し子ではないかと疑われ出してもいた。
しかし。
その時、現在の光の義母、美輝は大いに反対したらしい。その頃の美輝は癒世家の有力候補者と結婚してすでに茜がいた。
しかし、その婚約した人は大いに反対したらしい。訳のわからない子どもなど癒世家にとって傷になると言ったのだ。
癒世家は家の面子の方を大事したのだ。
家の者からも大いに反対されて美輝の立場は危うくなっていった。
しかし、光がこうしていられるのは目の前にいる祖父でおかげであった。
その頃の当主は祖父で全員の前で「わしが預かる」と言って光を引き取ったのであった。そして、現在に到っていた。
しかし、光は今に至るまでに家の人から門下生の人からも邪魔者扱いされてきた。分家の人からは癒世家に巣食う〝疫病神〟とも呼ばれていた。家の者からはいじめを受けたり、門下生や癒世家の武術を継承する親族の子供から稽古と称した暴力を受けたりもしていた。
そして、魔法技能検査を受けて魔力がゼロとわかった時からさらに激しくなっていった。
しかし、そんな中でも光が今までやってこられたのは祖父と義理の母となった美輝のおかげであった。
祖父と義理の母の美輝だけは光を実の子のように育ててくれたのだ。
さらに、義理の姉となった茜や義理の妹になった明里も光に好意的に実の家族のように接してくれていた。
光はその事が唯一の支えであった。
しかし。
「光よ。お前さんに伝えなければならない事がある」
光はその後にくる言葉を理解していた。
「光よ。お前は、この家にいるのは危険じゃ。お前はこの家にいない方がよい」
(きた)
確信した。
そして
光は改めて理解した。
自分がこの家を追い出される日がとうとうきたのだと。




