第2話「令嬢からの依頼」
前回のあらすじ
いつもの薬草採取依頼を受け、東の森林地帯へ向かったリント。
そこで、すでに深い傷を負ったゴブリンに襲われ、討伐には成功するものの、自身も左脇腹に傷を負ってしまう。さらに森の奥では、何者かに殺されたウルフの死体を発見した。
一人での調査は危険と判断してギルドへ戻ったリントは、ミレイユの治療を受け、森で起きた異変を報告する。
そして依頼の手続きを終えようとした、その時――。
銀髪と青い瞳を持つ美しい女性が、リントへ声をかけた。
「……少し、お話を伺ってもよろしいでしょうか」
透き通るような声に振り返る。
そこに立っていたのは、銀色の髪を背中まで流した女性だった。
澄んだ青い瞳に、整った顔立ち。白い指には紋章を刻んだ指輪がひとつ。
上品な衣服はもちろん、背筋を伸ばして立つ姿まで、このギルドでは嫌でも目を引く。年は自分とそう変わらないように見えるが、荒っぽい冒険者たちの中にいると、まるで違う場所から切り取られてきたようだった。
思わず見入ってしまい、リントは慌てて口を開く。
「あ、はい。俺にですか?」
「はい。先ほど、東の森林地帯でゴブリンとウルフを討伐されたと聞こえまして」
女性の目が、リントの首元に下がった黄色のタグへ向かう。
「お一人で、二体とも?」
「あ、いや。ウルフは俺が倒したわけじゃありませんよ」
「違うのですか?」
「見つけた時には、もう死んでました。ゴブリンの方も、俺が会った時には傷を負っていて」
「では、ゴブリンは……お一人で?」
「ええ。まあ、運よく手負いでしたから」
「一人で? ……お強いんですね」
「いや、運が良かっただけですよ」
素直な言葉を向けられ、リントはどう返していいか分からず頭を掻いた。
「それより、何か気になることでも?」
「実は、最近魔物の目撃が増えているんです。特に街道に近い場所でも見かけるようになっていて、その調査をお願いするために、今日はギルドへ伺っていました」
そこで女性はリントをまっすぐ見つめる。
「そんな折に、あなたのお話が聞こえてきたものですから」
女性はさらに何かを尋ねようとして、ふとリントの左脇腹へ目を止めた。
「そのお怪我……大丈夫なのですか?」
「ああ、これなら――」
答えながら女性へ目を戻し、リントの言葉が止まる。
脇腹とは反対側から、腰の辺りを何かにつままれた。
「痛っ」
ミレイユは何事もなかったような顔で手を離し、カウンターの向こうからリントを見る。
「まだ痛むのよね?治療が終わったからって、治ったわけじゃないんだからね。リントくん、今日はもう帰って休む」
「……はい」
女性はリントの傷を見て、すぐに頭を下げた。
「申し訳ありません。お怪我をされているのに、引き止めてしまって」
「いえ、大丈夫ですよ。もう帰るだけですから」
「そうですか。もしよろしければ、明日改めてお話を伺っても?」
「明日ですか?」
「はい。今日の状況を、もう少し詳しくお聞きしたいんです」
「……分かりました。昼前にはギルドに来ます」
「ありがとうございます」
女性が丁寧に頭を下げる。
そのまま顔を上げ――何かに気づいたように目を瞬いた。
「あ……」
頬に赤みが差す。
「すみません。お話を聞くことに夢中になってしまって……。まだ名乗ってもいませんでした」
気恥ずかしそうに銀髪を耳へかけ、それから改めて姿勢を正す。
そして、コートの裾をわずかにつまみ、優雅に一礼した。
その動きは滑らかで、幼い頃から何度も繰り返してきたことが伝わってくる。
「ヴェルナ・ローズベルグと申します」
ローズベルグ。
聞き覚えのある家名に、リントは一瞬だけ言葉を止めた。
「……貴族の方だったんですね」
「はい。でも、あまりお気になさらないでください」
ヴェルナは柔らかい笑顔で受け止める。
「……リント・グレイブです。よろしくお願いします、ヴェルナ様」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
ごつん。
後頭部に何かが当たった。
「痛っ!」
振り返ると、ミレイユが書類の束を片手に立っている。
「ほら。帰るんじゃなかったの?」
「今の絶対わざとですよね?」
にっこりと笑うミレイユに追い立てられ、リントはギルドをあとにした。
扉が閉じ、その姿が見えなくなる。
ヴェルナはしばらくそちらを見ていたが、やがてカウンターへ向き直った。
「あの、一つお願いがあるのですが」
「はい?」
「先ほどのリントさんについて、過去の依頼記録を拝見することはできますか?」
ミレイユはすぐには答えなかった。
「……あたしの判断ではお見せできません。ギルド長へ確認いたしますので、別室でお待ちいただけますか?」
「もちろんです。無理を言って申し訳ありません」
「今回の調査に関係することでしたら、許可が下りる範囲もあると思います」
ヴェルナは案内された別室へ向かう。
しばらくして、ギルド長から開示を許可された数枚の依頼記録と報告書が、ヴェルナの前へ運ばれた。
ヴェルナは一枚目を手に取る。
紙面へ落とした青い瞳が、文字を追い始めた。
***
翌日。
約束した時間より少し早くギルドへ着くと、ヴェルナはすでに来ていた。
窓際の席に腰掛け、手元の書類に目を通している。
リントに気づいたヴェルナが書類から顔を上げ、席を立った。
「おはようございます、リントさん」
「お、おはようございます、ヴェルナ様。……すみません、お待たせしましたか?」
「いいえ。私が早く来ただけですから」
柔らかな声で返され、リントは内心で息をつく。
「お怪我の具合はいかがですか?」
「昨日よりはだいぶ楽です。まだ痛みはありますけど、歩く分には問題ありません」
「そうですか。それならよかったです」
安心したように頷くと、ヴェルナはギルドの奥へ手を向けた。
「落ち着いてお話しできるよう、部屋をお借りしています。よろしいですか?」
「はい。お願いします」
案内されたのは、小さな応接室だった。向かい合って席につく。
「昨日は突然お声をかけてしまい、申し訳ありませんでした。お怪我をされていたのに、引き止めてしまって」
「いえ、大丈夫ですよ。なにかお聞きになりたいことがあるんですよね?」
自分でも分かる程度には言葉を選んでしまっている。
「はい。昨日のゴブリンとウルフの件を、覚えている範囲で構いませんので、教えていただけますか?」
リントは昨日の出来事を順に話した。
薬草を探して森へ入り、傷を負ったゴブリンと遭遇したこと。その先で、すでに死んでいるウルフを見つけたこと。
そして、どちらの身体にも自分がつけたものではない傷が残されていたこと。
「ほかに、何か気になったことはありませんでしたか?」
「そうですね……途中から鳥の声が聞こえなくなったくらいです。森に入った時は普通だったんですけど」
ヴェルナはそれも書き留めたが、特にそこで質問を重ねることはなかった。
「ウルフを見つけてからは?」
「そこで戻りました。何がいるか分からなかったので、それ以上進むのは危ないと思って」
「正しい判断だと思います。傷や周囲の状態については、やはり実際に現場を見て確認してみないとダメですね」
話を聞きながら書き留めていく手つきには迷いがない。
「……ヴェルナ様って、こういう調査に慣れてるんですか?」
「慣れている、というほどではありません。ただ、魔物については以前から学んでいますので。生息域や習性だけでも、実際の状況と照らし合わせることで分かることがあります。残された傷や足跡から何が起きたのか推測することもできますし、生息している場所によっては――」
言葉が次々と続いていく。
先ほどまで丁寧に一つずつ質問していた時とは違い、声にも熱がこもっていた。
だが途中で、ヴェルナがはっと口を閉じる。
「……すみません。つい夢中になってしまって」
名前を告げるのを忘れていた時とよく似た顔をしている。
「いえ。昨日もそうでしたけど、魔物の話になると楽しそうですね」
「……そう見えましたか?」
「はい」
ヴェルナは少しだけ間を置いた。
「研究することは……好きです」
今度は素直に認めた。
その姿を見ていると、さっきまで感じていた緊張が和らいだ。
「それと、リントさん。ギルド長にお願いして、開示できる範囲で過去の依頼記録を拝見しました」
「俺の記録を?」
「はい。勝手に見てしまって、申し訳ありません。ただ……ほとんどの依頼を、お一人で受けていらっしゃるんですね」
「ああ……そうですね。基本は一人です」
「魔物と遭遇する可能性のある依頼も、ですよね。普通なら何人かと組んで受ける依頼も……何か理由があるのですか?」
「危険なのは分かってます。でも……なんていうか、一人の方が俺には気楽なんです」
ヴェルナは何かを尋ねかけたように見えたが、結局その先を口にすることはなかった。
「……そうですか」
それだけ言って、話を切り替える。
「では、本題に入りますね」
一枚の依頼書が、リントの前へ差し出された。
「昨日お話しした通り、最近、東の森林地帯を通る街道付近で魔物の目撃が増えています。そのため、周辺の状況を調査することになりました。そこで、リントさんがゴブリンとウルフを発見した場所まで案内をお願いしたいんです」
リントは依頼書へ目を落とす。場所を案内するだけなら難しくはない。
「それと――私も同行して、現場を確認したいと考えています」
「……ヴェルナ様も、ご一緒に?」
「はい」
その返事に迷いはなかった。だが、リントの方はすぐに頷けなかった。
血を流したゴブリン。すでに息絶えていたウルフ。
そして、自分の左脇腹に残る傷。何がいるのか、まだ分かっていない。
「失礼ですが……昨日の森は、安全とは言えません。俺も実際に怪我をして戻ってきています。冒険者に調査を任せることはできませんか?」
できるだけ失礼にならないよう言葉を選んだ。依頼主に対して、行かない方がいいと言っているのだ。
しかし、ヴェルナは気分を害した様子もなく、静かに首を横へ振る。
「自分の目で現場を確認したいんです。危険があることも承知しています。そのうえでお願いしています」
声は穏やかだった。
彼女が行くと決めている以上、自分が断れば状況を知らない誰かを連れて向かうことになる。
「……分かりました。俺でよければ、ご案内します」
「ありがとうございます」
「それと、安全を考えて、もう一名冒険者の方にも同行をお願いしたいと考えています。調査そのものならDランクの方でも問題ないと思いますが、万一に備えてCランクの方にお願いするつもりです」
「もう一人、ですか……」
安全を考えれば、ヴェルナの提案が正しい。
それでも――。
「……その方にも、同行してもらう必要がありますか?」
「私は、その方が安全だと考えています」
「そうですよね……」
リントはしばらく迷ってから、口を開いた。
「できれば……二人では駄目ですか?」
ヴェルナが意外そうに目を瞬く。
「リントさんと、私の二人で、ということですか?」
「はい。すみません。勝手を言ってるのは分かってるんですけど……俺、あまり人と組むのが得意じゃなくて」
ヴェルナの顔には、まだ心配が残っている。それを見て、リントは言葉を付け足した。
「もちろん、ヴェルナ様が必要だと判断されるなら従います。ただ……できれば、今回は二人でお願いできませんか……」
ヴェルナは依頼書へ目を落とした。
安全を考えれば、もう一人いた方がいい。それでもしばらく考えた末、顔を上げた。
「……分かりました。今回は、二人で行きましょう。ただし、危険を感じた場合はすぐに撤退します。それだけは約束してください」
「ありがとうございます。変なこと言ってすみません」
依頼がまとまると、ヴェルナは契約の手続きのため応接室に残り、リントは一足先に部屋を出た。
カウンターへ戻ると、ちょうど手の空いたミレイユと目が合う。
「あら。話、終わったの?」
「はい。依頼を受けることになりました」
「そう……って、受けたの?数日は無理しないって、昨日言ったわよね?」
思いのほか大きな声が響き、近くにいた冒険者が何人かこちらを見る。
リントはぎょっとして周囲を見回すと、慌ててカウンターへ寄り、声を潜めた。
「ちょっと、声大きいですよ」
「誰のせいよ」
悪びれる様子もない。そのままミレイユの目が、リントの左脇腹へ落ちた。
「怪我、まだ治ってないでしょ?」
「まあ……完全には。でも今回は戦いに行くわけじゃないですよ。昨日の場所まで案内するだけです。危なくなったらすぐ戻りますから」
呆れたような目でじっと見られる。
「……なんですか」
「べつに?」
どう見ても別に、という顔ではない。黙っていると、ミレイユの目がふと腰元で止まった。
「それ、気づいてる?」
指先で示された先を見る。腰のポーチを固定している補助紐が擦れ、途中まで裂けていた。
「あー……全然気づいてませんでした」
「でしょうね。昨日あれだけ派手にやったんだから、装備みといた方がいいわよ」
「帰ったら直しておきます」
「ふーん、帰ったら?」
聞き返す声が、不意に柔らかくなる。リントは顔を上げた。
カウンターに頬杖をついたミレイユが、こちらを見ている。艶のある髪が頬にかかり、薄く笑みを浮かべた唇がやけに目についた。からかわれているのは分かっている。
それでも、あの目を真正面から向けられると――すぐには言葉が出てこない。
「切れないといいわね?」
「……怖いこと言わないでくださいよ」
「あたしは教えてあげただけよ?」
何食わぬ顔で言っているが、目は楽しそうにリントを見ている。
それからほどなくして、応接室の扉が開いた。
手続きを終えたヴェルナが姿を見せ、カウンター前にいるリントを見つける。
「お待たせしました」
「終わりましたか?」
「はい。これで正式に依頼成立です」
あとは明日の予定を決めるだけだった。
現場での確認にどれほど時間がかかるかは分からない。余裕を持って朝に出発することにし、ギルド前で落ち合う時刻を決める。
「では、明日よろしくお願いいたします」
「はい。こちらこそ」
***
翌朝。
ギルド前へ着くと、ヴェルナはすでに待っていた。
昨日までの上品な装いとは違い、今日は森へ入るための格好をしている。動きやすそうな服に、足元もしっかりとした革靴へ変わっていた。それでも、銀色の髪と青い瞳は朝の人通りの中ですぐに見つけられた。
リントに気づいたヴェルナもこちらへ歩み寄り、朝の挨拶を交わす。
「お身体は大丈夫ですか?」
「昨日より楽になってます。これなら問題ありません」
そう答えたものの、傷が消えたわけではない。歩く程度なら気にならないが、身体を捻れば左脇腹にはまだ鈍い痛みが残っている。
「分かりました。でも、痛みが強くなったら教えてくださいね」
「はい」
朝のシルヴァハイムは、すでに一日を始めている。店先では荷を運び込む者の声が飛び交い、通りには仕事へ向かう人々や、依頼へ出るらしい冒険者たちの姿もあった。
その中をヴェルナと並んで東へ向かう。
昨日は向かい合って依頼について話していた。聞かれたことに答えていれば、会話に困ることもなかった。
けれど、こうして二人きりで歩くとなると勝手が違う。
リントは何気なく隣へ目を向けた。銀色の髪が歩みに合わせて揺れている。
前へ向き直り、しばらく歩く。
もう一度横を見ると、今度は青い瞳と目が合った。
「どうかされましたか?」
「あ、いや……ヴェルナ様って、おいくつなんですか?」
唐突だったのだろう。ヴェルナが目を瞬く。
「二十歳です」
「え? 俺も二十歳です。同い年だったんですね」
「そうだったんですか」
ヴェルナも少し驚いたようにリントを見る。
「ヴェルナ様の方が年上なのかと思ってました」
「もっと年上に見えましたか?」
「いや、見た目じゃなくて……しっかりしてるからですかね」
「私が、ですか?」
本気で意外そうな顔をされ、昨日のことが頭をよぎる。
名前を名乗り忘れて恥ずかしがっていた姿。研究の話になると、こちらが口を挟む間もなく話し続けていたこと。
「……やっぱり、今のは忘れてください」
「そう言われると、余計に気になるのですが」
「いや……悪い意味じゃないですよ。もっと近寄りがたい人なのかと思ってたんです」
「……近寄りがたい」
ヴェルナが、自分に向けられた言葉を確かめるように呟く。
「ローズベルグ家のご令嬢だって聞いたので。俺みたいな冒険者とは住む世界が違うというか……」
うまく言えている気はしない。それでもヴェルナは急かさず、リントの言葉を待っていた。
「でも、話してみたら魔物のことになると止まらなくなるし、名前を名乗り忘れて恥ずかしがってるし……」
そこまで言って、リントは口を止めた。隣から返事がない。
恐る恐る見ると、ヴェルナがこちらを見ていた。
「……よく覚えていらっしゃるんですね」
「あ」
今度はリントが言葉に詰まった。
別にからかうつもりはなかった。ただ、思ったことをそのまま口にしただけだ。
「すみません」
「いえ。私が聞いたことですから」
横顔にかかった銀髪へ手を伸ばしかけ――途中でやめる。行き場をなくした指先が胸元へ落ち、手のひらを握りしめた。
「ただ……私、それほど前のめりになっていましたか?」
「いや、そこまでじゃないですよ」
「そうですか」
ほっとしたような声に、リントは何も付け足さなかった。
「ヴェルナ様は、ずっとローズベルグ領に?」
「はい。生まれも育ちもローゼンフェルトです」
「シルヴァハイムには、今回の調査で?」
「今回はそうですが、ギルドの資料を閲覧するために訪れることもあります」
「資料?」
「魔物に関する記録です。生息域や目撃情報、討伐された個体の特徴などですね。領内で得られる情報だけでは偏りがありますし、地域によって同じ魔物でも行動に差が見られることがあります」
「同じ魔物でも?」
「はい。餌となる動物や水場、人の往来によっても変わります。過去の記録と照らし合わせれば、その土地で普段とは違う行動をしているのか、それとも――」
そこで、ヴェルナの言葉が途切れた。リントが隣を見ると、ヴェルナもこちらを見ていた。
「……また、話しすぎていますね」
「いや。今のは俺が聞いたんですから」
ヴェルナは何か言おうとして、口を閉じた。
「それに、知らないことばっかりなんで。俺は聞いてて面白いですよ」
ヴェルナは前を向いたまま、銀色の毛先に指を添えている。
「……本当ですか?」
「はい」
横を歩きながら、リントも何を言うでもなく街道を進む。
さっきまでなら、何か話した方がいいのかと考えていたはずだった。けれど今は、不思議とそうは思わない。
それからしばらく街道を歩いた。
二人の足音に混じっていた街の喧騒はとうに聞こえなくなり、道の両脇には草原が広がっている。
森が近づくにつれ、ヴェルナも自然と口数が減っていた。
「この辺りからですか?」
青い瞳が、木々の奥へ向けられている。
「はい。この前もここからです」
リントが街道を外れる。
数歩進んだところで振り返ると、ヴェルナは足元を確かめながらこちらへ向かっていた。
「足元、気をつけてください。街道より歩きにくいんで」
「はい」
ヴェルナがあとに続く。




