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深い青色  作者: Yasu
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第五章 底へ

警報の赤色灯が通路を染め、地下全体に鳴り響く警報音と激しい機械の唸りが、悠也とアヤメを急き立てた。

二人は、コア制御室と緊急脱出装置がある最下層を目指し、裏通路を走り続けた。


通路のカーブを曲がるたびに、惨状が目に飛び込んでくる。

そこには、完全武装の警備員たちが、無残にも引き裂かれて転がっていた。アヤメはそれが暴走したナノマシン適合体による破壊だと断言した。


次の通路を抜けた瞬間、二人の動きが完全に停止した。

通路の先に、それがいた。人間がねじれて異形化したかのような姿。

全身から青いナノマシンの光が漏れ、背中からは巨大で無骨な四本の触手が伸びている。

「グルルル……」

適合体は、悠也たちに気づき、四本の触手を振り上げた。二人は絶体絶命の窮地に立たされる。

その時、二人の背後から、閃光と、甲高い電子音が響いた。

キィン!

適合体の背後から、何らかのビームが発射されたのだ。適合体の灰色の体表に直撃し、ナノマシンの青い光が乱れる。適合体は、予想外の攻撃に、一瞬動きを止めた。

「動かないでよ…」

甲高い、若い男性の声が響いた。しかし、その声には、場違いなほどの明るさが混じっていた。

悠也とアヤメが驚いて振り返ると、通路の曲がり角に、一人の人物が立っていた。


彼は、この地下の暗闇に不似合いな、白衣を着ていた。年齢は三十代前半に見えるが、極度に痩せており、目の下には深い隈がある。何よりも異様だったのは、その表情だ。彼は、激しい銃撃戦の最中にもかかわらず、口元を緩めたまま、常にニコニコと笑っている。

その笑みは、救世主というより、気味の悪い人形のようだった。

「おやおや、こんなところで再会とはねぇ。いやぁ、驚いた、驚いた」

白衣の男は、そう軽やかに言いながら、その手には、自作と見えるほど無骨で巨大なレーザーライフルを構えていた。

「君たち、こんな場所で立ってちゃダメじゃないか」

男はそう口では言いながらも、ニコニコとした笑みを崩さず、銃を適合体に向けて連射した。

キィン、キィン、キィン!

男は痩せた体を俊敏に動かし、瓦礫の影に身を隠しながら、レーザーを的確に急所へと撃ち込む。適合体は苦悶の唸りを上げ、体から青いナノマシンを撒き散らしながら、一歩、また一歩と後退していった。


「さあ、急いで!私はすぐに追いつくから!ハハハ!」

白衣の男は、まるで子供の遊びのように笑い声を上げながら、適合体が逃げ去った通路の奥へと、単身、踏み込んでいった。

悠也とアヤメは、その場に立ち尽くしていた。恐怖から救われた安堵と、この謎めいた男の不気味さで、全身の力が抜けている。

「今の人は……誰?」悠也が尋ねた。

アヤメは、その場で震えながら、絞り出すような声で答えた。

「わからない……!私はこの島の人間は知っているはずなのに、彼の顔に記憶がない。でも、ナノマシンの仕組みを熟知している」

アヤメは、彼の笑顔の裏に潜む狂気を感じ取ったかのように、顔を青ざめさせた。

「彼は、私たちを助けたのではない。彼は、私たち『適合者』に興味があるだけよ……!」

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